新規顧客の集客だけでは難しい
基礎的なCRMでもECの売上が過去最高に

株式会社一蔵

ECサイトの売上を継続的に伸ばすためには、どのような方法があるでしょうか。大別すると、新規顧客を獲得するための集客と、既存顧客へのCRMのふたつとなるのではないでしょうか。どちらも重要な取り組みですが、ことCRMに関しては取り組み方がわからない企業さまが多いと思われます。その企業のひとつである株式会社一蔵は、ECサイト「いち利モール」でCRMに取り組み、大きな成果を上げています。同社の事例をもとにして、CRMへの取り組み方の一例をご紹介します。

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通常業務と兼務しながらのEC サイト運営

「着物は、従来の価値観では高価な品物だというイメージが強い商品です。それを打破するために、着物を製造する工房から商品を直接仕入れる、言わば “産地直送品” を店頭に並べることから当社の『いち利』のお店が始まりました。また、ライフスタイルの変化から着物を着る機会が少なくなっています。あったとしても着方もわからない。そんなお客様に、着物を着てお出かけできるイベント情報の提供や着付け教室などを通じて、“着物を着る楽しみ” を体験してもらうことで着物文化を活性化し、市場全体を大きくしていくことが当社の方針です。」

このように語るのは、株式会社一蔵 いち利プロジェクトの二階堂さまです。このように一蔵は、従来の方法や業界の慣習にとらわれない革新的な方法で呉服業界に新たな風を吹き込んでいます。
そんな同社が運営するECサイト「いち利モール」は、産地から直接仕入した商品を多数取り扱うECモールとして2012年6月にオープンしました。ECサイト運営に関わる二階堂さまは、その苦労をこのように語ります。

「当社にはECの専門部署はないため、全員兼任で業務を担当しています。私も普段は商品の画像加工や広告素材を作成したりしています。ECは伸びていますので、もっと注力していかねばならない分野です。」

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集客が順調だからこそ見えてきた課題

いち利モールにとって、Web広告による新規顧客の獲得は売上向上のための重要な取り組みです。その取り組みの成果とともに顕在化してきた課題があったと二階堂さまは明かします。

「ECサイトの業績はとても好調でした。着物は、Tシャツなどと比べれば商品単価がそれなりに高いので利用者のほとんどは年配の方が多く、今や高年齢層でもECの利用は一般的になってきていると感じますね。その流れに乗り、集客施策に積極的に投資し好調ではあるのですが、新規の流入数ほど成約が伸びるわけではないので、どうしても成約率が低下する傾向にあります。構造的な問題でもありますが、今期の目標をクリアするためにも解決したい課題でした。」

そこで、シナジーマーケティングが提案したのが “顧客のLTVを高める” ための施策です。それまでいち利モールで取り組んでいた、Web広告による新規顧客を獲得する施策だけでは、市場の成熟や競合の参入などの外部要因で広告単価が高騰し、費用対効果に見合わないものになることが多くあります。
今回は、新規の見込み客が大幅に増加したことで相対的に成約率が低下している状況でした。その結果だけからWeb広告による集客活動を制限すると、売り上げ自体が落ちてしまうというジレンマがあります。

しかしEC全体で見れば、新規顧客だけではなく既存顧客に対するコミュニケーションで売上を向上させる方法も考えられます。それまで、いち利モールにおける既存顧客に対する活動はリターゲティング広告とメールマガジンのみでした。
一体どのようなコミュニケーション施策が既存顧客のLTV向上につながるのか。そのインサイトを得るために、顧客データを分析から始めたのです。

既存顧客が買いたくなる要素に絞ってプラン設計

まず、いち利モールの顧客データと購買データを分析したところ、売上に強い影響を与えるポイントがあることが分かってきました。その結果を二階堂さまは語ります。

「いち利での初回購買のタイミング、それから2回目の購入タイミング。どちらも年に数回あるキャンペーンセールの期間に多いことが分かりました。つまりセールの時にプロモーションのリソースを集中させることが効果的であることが明確になりました。」

いち利モールでは、初売りや決算、周年記念などのキャンペーンセールが年に数回あります。そのセールに絞って、既存のプロモーションプラン全体を見直すことにしました。
まず注目したのはメールマガジンです。メールマガジンは、既存顧客とのコミュニケーションにおいて欠くことのできない重要なチャネルです。より多くの既存顧客にセールを認識してもらうためにメールマガジンの改善は絶対に必要でした。

改善ポイントのひとつは、配信タイミングです。それまで週2回配信していたメールマガジンをセール直前にはあえて減らし、セール開始直後に2回配信することにしました。目的は、セールを認知してもらうポイントを増やすことです。
ふたつめの改善ポイントは、コンテンツとそのクリエイティブです。それまではテキスト主体であったコンテンツを、セールのLPのデザインを用いて大幅に改善しました。また、開封者全員にセール情報が目につくように、メールマガジンのファーストビューにセール情報を掲載しました。
メルマガ以外にWeb広告でもセール情報を打ち出すことで、セール期間中はプロモーション全体をセール中心に展開することとなりました。

■リニューアルしたキャンペーンメール
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過去最高のEC売上を達成し、その後の取り組みも好調!

この取り組みによる成果は、想像以上であったと二階堂さまは語ります。

「今回の取り組みにより、ECでの売上は過去最高を記録しました。いち利モールでは、気になる商品を店舗に取り寄せるサービスも実施しているのですが、その売上も含めると昨年対比で130%の伸びにもなっています。社内的な評価もとても高かったです。
今回の取り組みを通じて、新規顧客の集客だけではなく既存顧客に対するコミュニケーションの重要性を感じましたね。」

今回の取り組み以降に取り組んだ、既存顧客データとYahoo! DMPを活用した広告配信では、通常出稿しているリターゲティング広告と比較して、単月実績としての獲得率は182%と伸ばしつつ獲得単価は65%に抑える結果となっています。
継続して大きく伸びており、既存顧客コミュニケーションの重要性を裏付ける結果となっています。

これらの結果を受けて、さらにECにおける取り組みを進め「売れる仕組み」を創り上げていきたいと二階堂さまは総括しました。

「インターネットを通じてモノを買うことは、ますます一般的になっていきます。当社の着物も例外ではないと思います。今回のような取り組みを通じて、現在のECの課題を解決し『売れる仕組み』をしっかりと創っていきたいと思います。
シナジーマーケティングは、私たち事業者に軸足を置いて支援してくれるので、CRM分野の優秀な担当を貸してくれていると思っています。これからも提案をお願いしたいです。」

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

株式会社 一蔵
いち利プロジェクト
二階堂 崇 氏

株式会社一蔵

一蔵は、カジュアル着物専門店「銀座いち利」、フォーマルまで揃う「きもの一蔵」、きもの着方教室「いち瑠」、振袖レンタル「オンディーヌ」等を日本全国に展開し、多くのお客様の和ライフをサポートしています。

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