DX人材育成のカギは「発想の転換」!
銀行の個人ローン非対面受付が25%増加したデジタルマーケティングとは

株式会社長野銀行

インタビュー参加者※新型コロナウイルス感染予防のため取材は遠隔で行いました

写真左より半時計回り

宮嵜 哲 氏
株式会社長野銀行 営業統括部 営業企画・チャネル戦略グループ調査役

砂田 雅代 氏
株式会社長野銀行 営業統括部 営業企画・チャネル戦略グループ

藤吉 香葉子(デジタルマーケティング全般 営業担当)
シナジーマーケティング株式会社 金融ソリューション事業部 ビジネス開発グループ

前田 晴美(DX BOOSTERコンサルタント)
シナジーマーケティング株式会社 企画制作部 クリエイトグループ

足立 龍(DX BOOSTER営業担当)
シナジーマーケティング株式会社 企画制作部

※部署名・役職は取材当時(2022年3月)のものです

新型コロナウイルスの影響やデジタル化の波は、“銀行”にも大きな変化をもたらしています。

「コロナ禍で銀行業務の非対面化が促進され、営業環境が激変した…」
「担当者の異動が定期的にあり、デジタル施策を業者に任せきりになることで良い成果につなげられない」
「コロナ禍で事業者向け対応の割合が増え、個人向けローンの営業にマンパワーをかけられない」
「最近では銀行が地域の中小企業のDX支援を行うケースも…」

こんな時に課題となるのが、銀行内のデジタルマーケティング人材の育成・確保です。デジタル技術で生活やビジネスを変革する【DX(デジタルトランスフォーメーション)】が注目される近年、銀行のDX推進においても社内でデジタルリテラシーを持つ人材が不可欠になりつつあります。

1.異動による度重なる担当者変更で、ホームページのUXが良いとは言えない状態だった

▼長野銀行様の課題

デジタル施策関連担当者が各部署に散在して状態を、3つの機能を1部署に集結

足立 貴行の「個人向けローンのデジタルマーケティング」について簡単に教えていただけますか?

宮嵜氏 以前より、個人向けローンを中心に複数のWebサービスを提供していました。そして、2019年4月、第11次中期経営計画の中でデジタル技術を活用したお客さまサービス向上を掲げ、さらにデジタル化に注力するために2020年10月に非対面サービス推進の専門部隊が結成されました。これが、いま私たちが所属する「営業企画・チャネル戦略グループ」です。

藤吉 シナジーマーケティングとしては、以前から長野銀行様の業務をデジタル面でサポートしてきました。Web上で種類別に展開していた個人向けローンのプラットフォーム化(申込みフォームの統一)や、メールの配信、各種キャンペーンのWeb施策や来店予約受付フォームの制作など、多岐にわたります。

前田 DX BOOSTERを導入いただいたのは、たしかこの2020年10月以降ですよね。

宮嵜氏 はい。導入する前から、当行のデジタルマーケティングには課題を感じていました。いまのグループに配属される前は、ブランド推進部門におり、そこでもホームページ制作・運用に携わってはいたんです。しかし、CMSも微妙でホームページのUXも良くはなかった。どこの部署も大体3~4年で担当者が異動になり、その都度業者も変わったりするからか、ホームページが内側も外側もつぎはぎのような状態だったんです。その時から、これはどうにかしなきゃという思いがありました。

2.デジタル施策・Web広告をお任せしていた業者が何を話しているのかわからなかった

▼PDCAサイクルに対する現状の活動と課題

デジタル施策で特に大切と言われる「PDCA」。個人向けローンでは、このCとAができていない状態だっ

藤吉 営業企画・チャネル戦略グループに異動されてからはいかがですか?

宮嵜氏 さらに課題だらけでした。Web広告にも携わるようになり、専門の業者さんと話をするようになると『何の言葉をしゃべっているのか全くわからない』という状況で(笑)。こちら側にある程度知識がないと、どうしても業者さん任せになってしまう。そうしてコミュニケーションがうまく取れないと、良くしていきたいものもうまくいかない。それを何度も体験し、危機感が強まりました。

前田 個人向けローンのデジタルマーケティングとして、まずはホームページを立ち上げ広告も運用してはみたものの、ネクストステップである「改善」の段階で大きな課題を感じておられたんですね。

宮嵜氏 はい。広告代理店の人が使う言葉の意味がよくわからないまま、毎月のレポートをもらうだけで終わってしまう。それを見ても、どんな広告をしてどんなホームページにすれば、Webからのローン申し込みが増えるのかもわからない。これまで「ホームページの管理」だけで「課題分析」まではできていなかったことに気づかされました。つまり、PDCAで言うところの「P」と「D」しかできていなかった。そんな時にちょうど、藤吉さんからDX BOOSTERのお話があったんです。

藤吉 どのような点を評価いただいたんでしょうか?

宮嵜氏 まずは、チームで受講できること。個人の能力だけでなく、チームや会社としてのDX推進が必要だと考えていたので、参加者に制限がないのが良かった。もうひとつが、当行の個人向けローンサイトそのものを教材とし、その改善方法をDX BOOSTERで学べるという実務をしながらスキルも習得できる研修スタイル。自分たちが実際に運用しているホームページを実際に改善していくので研修内容のカスタマイズ性が高く、研修でやることの全てが無駄にならない。参加者が全員多忙なのでそこも良かった。ほかにも、専任コンサルが最後まで並走してノウハウを提供してくれる安心感もあり、受講期間や費用感もちょうど良かった

3.“人事部の研修予算”でデジタルマーケティングを改善するという「発想の転換」

足立 しかし、予算取りでいろいろご苦労されたとか…。

宮嵜氏 もともと自グループで予算計上していたものではなかったので、導入時にはいろいろ工夫しました(笑)。

足立 その辺りも、よろしければ詳しくお聞かせいただけますか?

宮嵜氏 DX BOOSTERが「サイトの分析・改善」だけではなく「DX人材の育成」に重きを置いている点がポイントでした。そこから、人事部の研修の予算がコロナ禍で余っているじゃないか?とひらめき、こっそり聞いてみたら、やはりどうやら余っていそうだとわかった(笑)。そこで、人事部に「DX人材の育成」という観点で訴えました。

足立 発想の転換ですね!

宮嵜氏 同時に、ホームページや組織の課題をまとめ研修の必要性を本部部長会で訴えました。当時はGoogle Analyticsの数字をもとにしたレポートで説明することが難しかったので、まずは文章で。DX BOOSTERをやる意味はあるのか?という話は出ました。ですが、Web広告を出してはいるが代理店任せになってしまいあまり成果が上げられていない、それはDX人材がいないからだと説得をして、じゃあとりあえずやってみろと。

4.各自の担当領域で具体的なデジタルマーケティングの改善案を出せるように

DX BOOSTERの人材育成プログラムの流れ

前田 DX BOOSTERを導入する前に、まずは私たちコンサルタントによる初期分析を実施しました。

宮嵜氏 STEP1の分析の前に、Google Analyticsは設置されていたのに、正しい指標が取れていなかった(計測の準備ができていなかった)のがわかった時も、自分たちだけでは解決できなかったのでご支援いただけて安心でしたね。あとはSTEP1の分析をもとに決められたルールに基づいてレポートに数字を埋めたり、そのレポートをフレームワークに沿って分析・考察を行ったり、コンサルタントの前田さんにもサポートいただきながら改善案を定例会で検討することを繰り返し、実践的に学んでいきました。

▼マニュアルからの資料一部抜粋

【STEP3 数値分析と考察】レポートを見ながらフレームワークに沿って分析・考察を実施

前田 個人・チーム・会社、それぞれに変化があったと伺っていますが、具体的には?

宮嵜氏 私個人としては、専門業者がWeb広告で何の話をしているか理解できるようになりました(笑)。ランディングページやバナーの表現など、さまざまな部分で具体的な指示が出せるようになり、業者さんとのコミュニケーションがスムーズになったことがすごく良かった。砂田さんはどう?

砂田氏 私はホームページ制作やSNSを投稿する時に、「流れ」を意識するようになりました。お客さまの流入元はどこか、ということです。それまでは、例えば「広告用のQRコードを教えてください」と業者の方に言われた時にそのままホームページのURLをお渡ししていたのですが、最近は流入元が判別できるようにURLにパラメーターをつけて反応を見るようになりました。SNSでもやっています。

足立 今回、SNSや広告まではプログラムには入っていなかったのに、応用してそこまでしてくださっているのですね!

砂田氏 このページ思ったより見られているな、見られてないな、というのが数字で見えると、お客さまがどういう情報を必要としているのかも見えてきて、それがすごく面白くて。これを出しても見られないだろうとか、これは出した方が絶対数字取れるっていう取捨選択がすごくやりやすくなりました。

前田 お客さまの反応が見えると、モチベーションも上がりますよね。また、DX BOOSTERの定例会を重ねるごとに、チャネル戦略グループ内でのコミュニケーションがどんどん活発になってきていると感じました。

5.チーム内外のコミュニケーションが活性化

各月の定例会はオンラインで実施

宮嵜氏 僕らが所属する「営業企画・チャネル戦略グループ」は総勢12名で、「営業企画」と「チャネル戦略」の2つのグループに分かれています。「営業企画グループ」は、商品・サービスの企画がメイン。そして「チャネル戦略グループ」が、そのPR全般をやります。僕らはこの「チャネル戦略グループ」ですね。SNSやサイトを担当する砂田、アプリやインターネットバンキング周りの担当者、そしてWeb広告と全体を見る私の3名。この3名が、DX BOOSTERのメイン参加者でした。チームみんなが同じスピードで学べたので、これまでわからなかったIT用語やWeb広告用語も、共通言語としてコミュニケーションできるようになりました。

砂田氏 定例会は意見を言う場でもあったので、そういう「チームで何でも話し合う」みたいな雰囲気ができたのも良かったです。小さなことでも、発言や相談をしやすくなりました。営業企画の方から相談されることも増えた気がします。

宮嵜氏 ですね。何度か営業企画側の担当者にも定例会に出席してもらったり、僕たちがデジタルマーケティング視点で話をしているのを普段から隣の席で聞いたりしていたからかな?これまでは商品やサービスができてから「じゃあ、あとはお願い」って感じだったのが、企画段階から「どう思う?」と気楽に声をかけられる機会が増えました。

前田 定例会に出てくださっているチーム内の皆様だけでなく、チーム外にまでそんな良い影響が波及していたんですね。

6.行内に散らばる課題意識を持った担当者を刺激し、全銀行をあげての取り組みへ

▼全社横断の取り組みイメージ

全社横断の取り組みとして、営業統括部以外の部門からも選抜メンバーがDX BOOSTERに参画

足立 DX BOOSTERの実施が決定した時に、行内で参加者を募集されたと伺っています。そういったチーム外への影響も、宮嵜様のこうした「周りを巻き込む活動」があってのことだと思いますが、他部門や全銀行というレベルでもそういうポジティブな影響はありましたか?

宮嵜氏 ホームページ全般を担当する経営企画部門や、地域貢献を担うソリューション営業部、システム関連の部門からも複数参加者がありました。出席はできなかったのですが人事部の採用部門も非常に関心が高かったです。

前田 やはり銀行内のあちこちにDXが必要だという課題を持っておられた方がいらっしゃったんですね。そのことでどんな変化がうまれましたか?

宮嵜氏 部門を横断して「WebやITの施策にはデジタルマーケティングやそれができる人材が必要だ」という共通の課題感は持てたと思います。DX BOOSTERを導入するまでは、それがいまほど見える化できていなかった。

前田 このままDX BOOSTERを継続してくださると聞きましたが、今後はどのような課題解決に取り組まれるご予定ですか?

宮嵜氏 定例会に参加してくれていた各部門から、具体的な声が出てきています。例えば、経営企画部門からはホームページのリニューアル、ソリューション事業部からはすでにある法人向けポータルサイトの活性化、人事部からもオリジナルの採用サイトの改善など、いろいろやりたいことはありますね。もちろん、僕らのグループも御社にもご協力いただきながらデジタルマーケティングを始めてから「個人ローン非対面受付25%増加」という結果は出せたものの、今回のDX BOOSTERの6か月で全てができるようになったわけでもないですし、チャネル戦略なんて延々と顧客接点について考えつづけなきゃいけないグループでもあるので、定例会に出席する主役は変わるかもしれませんが今後も必ず携わっていく形になると思います。

足立 今後ホームページのリニューアルやオリジナル採用サイトがDX BOOSTERのテーマになっていくのであれば、まさにその担当部門の方にこれまで宮嵜様がしておられたような中心的な役割を果たしていただく方が良さそうですね。

宮嵜氏 そうですね。当行の場合はやはり異動のこともありますので、より多くの担当者にデジタルマーケティングのノウハウをインストールしていくという意味でも、そういう動きが必要だなと思っています。

足立 私も、その方がDX BOOSTERをフル活用いただけ、銀行全体のDX人材の育成やノウハウの底上げにつながるのではないかと思います。今後もサポートさせていただくのが楽しみです。本日はありがとうございました!

DXBOOSTER

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

株式会社長野銀行
営業統括部 営業企画・チャネル戦略グループ調査役
宮嵜 哲 氏

株式会社長野銀行
営業統括部 営業企画・チャネル戦略グループ
砂田 雅代 氏

株式会社長野銀行

1950年創業の長野県松本市に本店を置く地域金融機関。長野県のマザーバンクをめざし、金融サービス業を通じ地域に根付いたサービスを展開している。