顧客行動の分析レポートをもとに広告効果を最大化
~「データ」と「現場の声」双方のバランス感覚が成功の鍵~

阪急阪神不動産株式会社

開発から販売、管理にいたるまで自社一貫体制が特徴の新築分譲マンションブランド「geo(ジオ)シリーズ」を関西圏と首都圏で展開する阪急阪神不動産株式会社。同社はSynergy!を起点として、Webの回遊情報と商談情報を紐づけることでオフラインとオンラインにおける顧客行動の可視化を行い、それらの分析をもとに効率的で効果的な広告プロモーションを実現しました。この記事では、これらの実現までのストーリーと、ご担当者様と当社が大切にしているスタンスをご紹介します。

インタビュー参加者写真

写真左より

山内 省吾
シナジーマーケティング株式会社 東日本事業部 東日本営業グループ リーダー

鈴木 英利佳
シナジーマーケティング株式会社 東日本事業部 コンサルティンググループ マネージャー

上地 圭典 氏
阪急阪神不動産株式会社 住宅事業本部 首都圏マンション事業部 販売グループ 販売担当 課長補佐

※部署名・役職は取材当時(2019年7月)のものです

1. 共通の指標づくりによる顧客行動の可視化

― 上地様は分譲マンションの「販売企画・営業」をご担当されていらっしゃいますが、具体的な業務内容を教えていただけますでしょうか。

業務内容について語る上池様

上地様 私が担当する業務は、どういったお客様を想定するかという市場分析から、販売価格やスケジュールの設定。また物件の間取りや設備の選定からモデルルームの設営。そして各種広告プロモーションの実施。さらには、お客様との商談から契約、鍵の引き渡しにいたるまで多岐にわたります。これらの業務は全てマーケティング計画に基づいて実施していますが、何を決めるにも分析が必要となってきます。シナジーさんには、とりわけ販売において重要となる顧客分析とWebプロモーションの部分を担ってもらっています。

― その顧客分析とプロモーションにおいて抱えていらっしゃった課題をお聞かせいただけますでしょうか。

上地様 分譲マンションの販売において出稿する広告媒体は、チラシ、冊子、Web、交通広告など多岐にわたります。それに伴い紙媒体や素材関係の制作を担当いただく総合広告代理店をはじめ、ホームページの運用を担当する会社や、不動産ポータル専門会社、Web関連の代理店など、広告プロモーションに関わる多くの会社とやりとりをしています。当然これらの多くの施策をしているということは、そこにお金が発生しています。そのため、効果的な広告プロモーションを実施するためには、結果の振り返りを含め精緻に分析をおこなうことが非常に重要であり、それらの数字に基づいた迅速な意志決定が求められます。しかし状況としては、それぞれの代理店が、それぞれの評価指標と報告レポートのフォーマットでプロモーションの状況を報告してくれている状態であり、どれが良かったのか、悪かったのか、また今後どうすべきなのか、という正確な判断がしにくい状況でした。そこで、同じ指標でこれらの広告プロモーションの成果を比較できないだろうか。例えば、各媒体の状況を一枚のシートで俯瞰的に検証できれば、効率的かつ効果的な広告出稿が実現するのではと考えシナジーさんに相談しました。

― ではシナジーは、これらの成果を評価するための共通の指標がなく、広告プロモーションの良し悪しの判断がつきにくかった課題をどのように解決しましたか。

広告プロモーションの評価指標の設定について語る山内

山内 阪急阪神不動産様には、以前より弊社のSynergy!をご利用いただいており、ホームページからの資料請求や来場予約などの情報はSynergy!のフォームを通じて同サービスに格納されています。これらは商談履歴を管理している、阪急阪神不動産様の顧客データベースとも連携しており、連携の際にSynergy! IDを付与しているため、Synergy!に格納されている方が成約に至ったか否かは従来から把握出来る状態になっていました。そこでさらにGoogle Analyticsとも連携をおこない、Synergy!を起点として、Webの回遊情報と商談情報の紐づけをおこないました。これにより、どのページを見た人が成約したのかという情報に、アンケートデータや商談履歴も紐づくため、同じ指標で広告媒体を比較することが可能となりました。

― 同じ指標で比較可能となったことで、例えばどのようなことが明らかになりましたか。

鈴木 以前から阪急阪神不動産様は単一集計でレポートを作られていましたが、そのレポートを拝見する中で、いくつか深掘りしたい点がありました。例えば、レポートでは来場したお客様が契約したかを重点的に見ておられたため、資料請求にいたった媒体は別集計となっており来場とつながっていませんでした。そのため、お客様がアンケートに記載する来場時の記入媒体が重視される傾向にあり、資料請求時の媒体が抜け落ちやすいと感じていました。そこで、Webで資料請求した方が何で認知したのかのアンケート結果を「顧客データベース」と「資料請求データベース」とをID単位で突き合わせて集計するようにしました。上地様へのレポートの際には、「ホームページを見ている人はこの媒体も見ています」また、「この媒体は認知が上がっていないので難しいです」というような報告ができるようになりました。

上地様 例えば、認知が同じ折り込みチラシだった方でも、直接モデルルームに来られた方と、ホームページを見て資料請求をされてから来場された方とでは、成約率には差が出ていましたね。後者の事前に物件に関してきちんと理解されたうえで来場される方のほうが、成約率が高いことが明らかでした。これまで自社で分析していたレポートでは、こうした資料請求から、来場、契約までの流れが見えづらかったのですが、これらの月別推移も含め横串で見やすいレポートフォーマットが完成したことで、オフライン・オンラインを含め顧客のストーリーを一気通貫で把握でき、当初抱えていた課題の解決に大きく近付きました。

2. 分析レポートをもとに広告効果を最大化

― レポートをどのように広告プロモーションに活用されていますか?

実際のレポートを見ながら効果検証の方法や、結果の活用について語る上池様

上地様 媒体ごとの「資料請求」「来場」「契約実績」の横串のレポートに加えて、資料請求されているエリアもレポートで明らかにしました。これまでも自社の顧客分析表で確認はしていましたが、とりまとめに時間がかかりますし、ついつい契約数が多いエリアに偏ってしまいがちです。そこで資料請求エリアと、接触媒体を掛け合わせて効果検証を行い(図1参照)資料請求、来場、契約を反応の良い上位から並べることで、全体的なエリア検証が可能となりました。これにより陥りやすい媒体特徴の思い込みが無くなり、データをエリアごとの広告費用分配の根拠とすることで、広告媒体選定及びエリア選定がしやすくなりました。例えば、マーケットの状況や販売価格に鑑み注力したエリアから思うような結果が出ない反面、優先順位を低く設定していたエリアからの反応が良い場合などは、効果の出るエリアへの予算のシフトもおこないました。(図2参照)

マンション販売をするうえでエリアは非常に重要です。全く購入に至らないエリアから資料請求を得られても売上にはつながりません。代理店が重視するのは「資料請求」のフェーズかもしれませんが、私たち売り主としては当然「成約」です。前提としてこの温度差を解消し、代理店・営業の双方がしっかりとコミュニケーションをおこない認識を合わせることも大切になります。

さらに、月ごとの広告施策が契約に貢献したかというレポートでは、単に広告の効果を見るだけでなく、俯瞰的に捉えて判断することにもつながりました。例えば、折り込みチラシが認知として効果が低いことが分かった場合、Webサイトのどの画面が多く見られているのかをチェックしながら、折り込みチラシのクリエイティブを変更します。それでも来場数が変わらない場合は、反応の良い別の交通広告等に予算を振り分けることをおこないました。このように最終レポートをもとに、予算のアロケーションやクリエイティブの変更で、効率よく集客を進めることができたと感じています。

図1
資料請求エリアと接触媒体を掛け合わせたレポートの例

図2
資料請求エリアに関するレポートの例

3. 相互の積極的な情報開示と密なコミュニケーションが大切

― 今回の取り組みを進めるにあたり、両社が大切に考え実践されたことは何でしょうか。

上地様 シナジーさんとは長いお付き合いで、数年前から今回の取り組みについて相談していました。私はこれまで不動産営業に携わっており、取り組みを始めた当時は、Google Analyticsという存在自体も知りませんでした。そのような手探りの状態で進めていかなければならない状況で、シナジーさんから「このようなレポートが必要ではないですか?」と、積極的に提案をしてもらえたことは非常に助かりました。そしてこの取り組みを進めていくうえで何より大切に考えたのは、シナジーさんへの積極的な情報共有でした。「どのようなお客様がモデルルームに来場され、どう感じていらっしゃるのか」このような内容をヒアリングしてフィードバックしました。私は営業現場の状況をお伝えし、鈴木さんからはWebの分析結果を教えてもらう。お互いの得意分野を活かし、まさにシナジーを生み出すことで今回のレポートができたのではないかと思います。

一方通行ではない密な連携について語る山内

山内 私たちからデータを提供させていただく中で、一方通行ではなく上地様のほうから現場の販売状況や営業の方の感覚値を教えていただいています。例えば資料請求があって、そこから来場されて成約されるというプロセスを辿る中で、資料請求から来場までいたるお客様が多くいたとしても、情報収集だけのような見込み顧客が多い場合もありえます。そのような情報も含め密に連携を取らせていただきながら進めました。

鈴木 ECサイトなどでは直接お客様にお聞きする場がないのでアンケートを取ることになります。上地様の場合は、お客様の声を直接聞く場があるので、施策にインサイトを取り入れていくということが可能でした。このような双方の密なコミュニケーションが、今回の施策の成功につながっているのだと思います。

4. データだけで語るのではなく現場の声とのバランスが大事

― 他にも大切に考えられていたことはありますか。

データと現場の声のバランスについて語る鈴木

鈴木 「データ」と「現場の声」の双方のバランスです。実際、「Webからは来場率が低いのでは」という声もあったのですが、本当にそうなのか疑問でしたので、それを見える化できればと思いました。しかし、結果(データ)だけの押し付けのような形になるとドラスティックな判断になってしまうので、「データ」と「現場の声」の両方のバランスを考えながら進めました。やはり、顧客のインサイトを最もご存じなのは現場の営業担当者様ですからね。

上地様 不動産の現場では、「資料請求はたくさん来るけれど来場に結びつかない」また、「来場はあるけど売れない」という状況にも遭遇します。そこで、問題点がどこなのかを見極める。そしてどの数値も悪くはないという話になれば、最終的には私の過去の経験と感覚でジャッジをしていくことになります。データだけではなく感覚も大事になってきますね。いくらデータとして見えていても、現場の感覚値とのズレが出てくることもあります。このように迷った場合は、自分の感覚値を優先することもあります。これはケースバイケースで判断をしています。「データ」だけで語るのではなく、「現場の経験やノウハウ」との両輪で進めていく必要があると思います。数字でドラスティックに変えていくのではなく、現場の感覚も大事にしているからこそ、営業も納得して一緒に進めていくことができていると思います。

今回の事例を振り返り、今後について語る一同

― 今後、他の物件でもこれらの取り組みを取り入れていく予定でしょうか?

上地様 今回のように顧客行動の可視化をおこない、それらの分析をもとに、さまざまな広告効果の最大化につなげたのは初めての試みだったので、「社内でもこういったことをやっていきましょう」という声が出ています。その意向は特に首都圏において顕著で、実際に取り組み始めた物件もあります。まだまだ改善の余地はあるので、今後よりよいものを作るために試行錯誤していきたいと思います。その際には、組織を横断する必要性もあると感じています。

― この度は貴重なお話をありがとうございました。

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

阪急阪神不動産株式会社
住宅事業本部 首都圏マンション事業部
販売グループ 販売担当 課長補佐
上地 圭典 氏

阪急阪神不動産株式会社

阪急阪神不動産株式会社は、阪急阪神ホールディングスグループにおいて住宅事業を担っている企業です。
新築マンションの分譲から宅地の開発・分譲、売買仲介、リフォーム、資産活用などの事業において、「すべてはお客様のために」という「お客様原点」の価値観のもと、快適な住まいによる理想の暮らしの実現をお手伝いしています。

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