第6回「CRM MEETUP」開催レポート
開催日:2018.03.14第6回は初の大阪での開催となりました。EC販促でのCRMコミュニケーションをテーマに、健康食品、製薬、化粧品、ドロップシッピング、アパレルといった幅広い企業の方に参加いただきました。
今回のLTは、ていねい通販というECサイトを運営されている生活総合サービスさまと、靴を中心とした日用品のディスカウント通販を手がけているヒラキさまの2社です。真逆!?ともいえるくらい企業文化の異なる2社さんで、各社の特徴や強みを活かしたCRMコミュニケーション事例を紹介いただきました。
第6回CRM MEETUP(大阪)開催概要
【テーマ】CRMコミュニケーションを語ろう!(EC販促編)
- ていねい通販の非効率CRM(株式会社生活総合サービス 戸田さん)
- 靴のヒラキが取り組むCRM(ヒラキ株式会社 真弓さん)
- ミートアップタイム!
ていねい通販の非効率CRM
1本目のライトニングトークは、ていねい通販というECサイトを運営されている生活総合サービスさまです。健康食品と化粧品の通信販売を行っており、“はがくれすっぽん”を使用した「すっぽん小町」が主力商品です。
「1人でも多く、1円でも高く」ではなく、「1日でも長く」に徹底的にこだわる、という企業です。
非効率なことを徹底的にやる
ていねい通販が大切にしていることが、「非効率=売上・利益に貢献しない」ことに徹底的に取り組むことです。
◆非効率3大要素:『時間をかける』『お金をかける』『心をこめる』
そして、それを代表する2大サービスが、「アンケート返信」と「誕生日プレゼント」です。
1.アンケート返信
定期的に実施しているお客様アンケートですが、おすすめの鍋料理は?学生時代の思い出は?といった、お客様のパーソナルな部分を知るための質問になっているのが特徴です。なんとこれ、1日400通くらい返信があるそうです!
またすごいのが、ていねい通販では社員全員で取り組むことでアンケートすべてに返信しているとのこと。その結果、お客様と文通のようにコミュニケーションが続き、時には実際会いに行かれたりすることもあるそうです。お客様との関係づくりをとても大切にされているんですね。
2.誕生日プレゼント
お客様のお誕生日当日に届くように、毎年オリジナルのプレゼントをお送りしています。なんと予算は年間1億円くらいかけており、売り要素はゼロ。すごすぎますね。
インスタなどに投稿してくれてるお客様も増えてるそうで、普及効果を感じているとのことでした。
▼戸田さんへのお客様からのお手紙やプレゼントの実物を見せていただきました
かなりの予算をかけてやられている施策ですが、どうやったら社内決済できるのか?という疑問。その答えはシンプルで、「僕たちがしたいから」という想い(=情)が1番重要とのことでした。
「すっぽん小町」LTV上昇施策(DM)
主力製品である「すっぽん小町」は、女性(特にママ)がメイン。お客様との長いお付き合いをする上でも、売上を向上させるためにも、初回から定期購入(毎月、2ヶ月、3ヶ月が選択可能)を推奨しており、中でも2ヵ月コースが多いそうです。
- 定期コース解約の課題抽出
タイミングを分析すると、「2か月目」「4か月目」あたりの解約が多かった - 2か月目:「効果を感じないから」
即効性への期待から、未実感の声が早期に目立つのではないか - 4か月目:「在庫過多」
2回目のお届け周期ではタイミングが早すぎるのではないか
↓
- 商品到着時のモチベーションを上げる施策
「即効性」を期待しちゃう期:毎日の積み重ねへの理解や小さな満足の発見
「習慣化」できずじまい期:モチベーションアップのためのゴールイメージの醸成を促す
▼クロスマーケティングを一切取っ払ったDMを4回打つ
- 結果
2回目、3回目ともに継続率がアップし、年間600万円の売上高アップの効果 - 2017年の第32回DM大賞で金賞受賞!!
「商品価値を高め、伴走でサービス満足を上げる丁寧DM」
Web-CRMへの挑戦
ていねい通販ではどちらかというとオフラインのCRMが得意で、オンラインの取り組みはまだまだこれからとのことです。その中で、2017年にシナジーマーケティングと共に取り組んだ「定期コースのお届け10日前メール」の改善施策について紹介いただきました。
「自動配信メールの修正だけで約2000万円の定期解約を回避」した事例
- メールの課題
お届け10日前メールのタイミングで定期コースの中止が増えている。
やめたら売り上げは下がらないけど、お客さんにとって必要なメールだからやめたくない。。。どうしたらいい? - 改善ポイント
ただ発送の「お知らせ」になっているため、業務連絡ではなく、「あなたのために私からお届けします」という演出をすること - 結果
年間売上2,000万円の売上アップの効果、約4,000人の一日でも長いお付き合いへつながった - 1番の成果
数字面の成果ではなく、ただの「業務連絡」のメールが「コミュニケーション」に変わったこと
スタッフが一丸となってCRM推進に取り組むことが何よりも大切であり、気持ちを共有することが一文字、一言、一動作を変え効果の最大化につながるんですね。非効率なことに徹底的に取り組む、ていねい通販「らしさ」の姿勢に圧巻の1時間でした!
靴のヒラキが取り組むCRM
2本目のライトニングトークは、靴を中心とした日用品のカタログ通販を手がけているヒラキさまです。カタログ通販ならではの「カタログ媒体費が非常に大きい」という課題(コスト削減)をWebマーケティングでどう解決していくか、取り組まれている施策についてお話しいただきました。
超低価格が最大の強み
ヒラキはカタログ通販の販売モデルですが、他大手カタログ総合通販との違いは、商品(PB)自体に強みがあること。また、「超低価格」という優位性が特徴で、そこに磨きをかけていくことを大切にしています。
- 徹底した品質へのこだわりとコストダウンへの取り組み
- ひとつひとつが低単価で送料が高いため、平均して7~8点のまとめ買いを推進している
カタログ通販の課題
カタログ通販はカタログ媒体費が非常に大きく、顧客が増えれば増えるほど費用は増していきます。
ヒラキさまは一人のお客様に対し、年間6回のカタログを送付されています。実物を見せていただきましたが、数十ページもある豪華なカタログでした!これを年6回送るとなるとかなりのコストがかかかりますね…。
なお、レディース・メンズ・子ども用品・生活用品まで幅広い品ぞろえがあるので、カタログの使われ方としては「商品を選ぶのはカタログで、注文はWebで」というパターンが多いそうです。送料無料にするためには複数選ばないといけないですし、確かにいろいろ探すにはカタログは便利ですよね。
単にカタログ数を減らせばいいという単純な話ではなく、いかに効果を落とさずにカタログのコストを削減するかは大きな課題で、この課題解決のために、カタログを送付しているお客様のうち、メールやLINEなど低コストでコミュニケーションができる割合を増やしていくことに注力されているそうです。
CRMの取り組み
「お客様のスマートフォンとの繋がりを広く強くすること」をテーマに取り組まれています。
- メールの購読者を増やす
会員登録時や商品の購入時に、メール購読訴求を工夫して大幅に購読者を増やすことができた。
- LINE@の友だちを増やす
LINE@は運用を開始してから約2年、現時点で15万人!!(当時)の友だち登録があります。特にスタンプを配布するわけでもなく、着々と登録数を伸ばされてきたそうです。すごいですね。
今後更に友だち数を増やしていきつつ、レスポンスを上げていくために、メールで構築した1to1配信プログラムをLINEにも展開していかれるそうです。※Synergy!も2018年4月にLINEへのメッセージ配信に対応しました。CRMデータを活用したセグメント配信が可能となります。
このように、アクティブなお客様のスマートフォンとのつながりをどんどん広げていくことで、カタログ通販モデルの抱える媒体費用問題を解消していきたいとのことでした。お客様の利便性を落とさず、売上も落とさず、マーケティングを効率化していくこと。クロスチャネルでカタログ通販の課題解決に取り組まれるヒラキさまの展開に、今後も期待です!
ミートアップタイム
健康食品の広告表現が難しい、商品開発に顧客の声を取り入れたい、SNSの活用どうしたらいい?、コールセンターの対応方法、カタログのコスト高…など、皆さんお持ちの課題を相談しあったり、活発に意見交換されていました。
同じECの企業でも持たれている課題が全く違ったり、顧客対応もさまざまで、異なる業態だからこその発見がたくさんあったようです!
異なる業態の方々のお話を伺えてとても刺激になりました。また機会があればおこえがけください。
同じECの企業様でも持たれている課題が全然違ったり、どういった経緯で今に至ったのかなど
普段知ることのできない貴重なお話を聞かせていただき大変勉強になりました。
次回の開催をお楽しみに!