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アプリはマーケティングに活用できない?

これまでも本ブログでスマートフォンの普及の状況については取り上げてきましたが、今回はアプリに焦点をあて、マーケティングでの活用方法を模索してみたいと思います。

まずは、ざっとスマホとアプリを取り巻く状況をおさらいしてみましょう。
ニールセンが発表しているデータによると、最近のスマートフォンの利用時間において、実に70%以上もの時間がアプリを経由してコンテンツ消費されています。

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Source: Nielsen Mobile NetView スマートフォンからの利用

 

しかし、この数値の裏にある事実をしっかりと認識することが重要です。同記事でも触れられていますが、実際に定常的に利用されているアプリはごくわずかで、ジャンルとしては、

  1. ゲーム
  2. Facebook、Twitter、Lineなどのソーシャルコミュニケーションツール
  3. ニュース/情報系

で大部分が占められています。
更にその内訳を見て行くと、実は数十個の上位勝ち組アプリが、全体の利用時間の半分以上を占めているのです。

それでは、残りの数万のアプリはマーケティングに活用できないのでしょうか。

アプリをマーケティングに活用する糸口

上記のような情報に触れると、本当にごく一部の限られた企業しかアプリをうまく活用できないのではないかと感じてしまいますが、私は決してそうではないと考えています。

なぜなら、アプリは能動的なコンテンツ消費を促すためのツールではなく、利用者へメッセージング(ダウンロードしたユーザーへのプッシュ通知)も可能とするため、うまく利用すれば非常に効果的な「利用者=自社の顧客」へ向けたコミュニケーションツールとなり得るからです。

このような顧客とのコミュニケーションツールとしてアプリを捉えると、一番重要なのは利用者=自社の顧客に、「必要な時に必要な情報が届けば良い」ということになるかと思います。
そうすれば、全世界で何百万ダウンロードを目指す必要もありませんし、毎日数時間使ってもらうことを求める必要もありません。自社サイトに来てくれた人、会員登録をしてくれている人、自分の店舗で消費行動をしてくれている人など、ターゲットとする人たちに届きさえすればよい、ということになります。

では、どうやったらこのような世界観を実現できるでしょうか。まず、よく耳にするアプリマーケティングの課題についてみてみましょう。

企業がアプリ制作を躊躇する3つの理由

①コードがわからない

開発者が自社に存在しないため、そもそも踏み出せないということが多くあるでしょう。また、OSによって開発言語が違っているため、複数のアプリマーケットに対応しようとすると習得すべき範囲がとてつもなく広くなってしまいます。

②外部制作の費用が高い

一般的に、1つのアプリ制作にかかる費用は300~1,000万円程度と言われています。どのくらい効果が期待できるか不明確な状態での初期費用としては大き過ぎる金額です。これでは外注での開発を躊躇するのも無理はありません。最近では初期費用は低めの制作会社も出てきていますが、その後の追加改修やメンテナンスでちょこちょことお金がかかってしまうのが実態です。
そしてiOS/Android共に定期的にバージョンアップがされていくため、それについていくことだけでもお金がかかってしまいます。

③効果測定の方法が不明確

実際のところ、オフラインの集客や購買行動も含めた精緻な効果測定のフレームは確立されていないと言ってもよいのではないでしょうか。
課金されるアプリであれば、ダウンロード数やARPUからからある程度計算式を立てられますが、マーケティングツールとしてのアプローチを取るのであれば、別の見方や指標が必要になってきますね。

更に、上記アプリ制作前の課題にケリをつけ、いざアプリ制作を始められても、成功への道はもうひとステップ残っているのです。

アプリの大きな壁

まずは「ダウンロードの壁」です。当たり前ながら、この最初の壁がとても高く感じられることが多いかと思います。利用者の端末にダウンロードされて初めてスタートラインに立つことになるため、この壁をどのように越えるかは非常に大きなポイントとなります。

そして、次に「継続利用の壁」があります。ダウンロードされた後は、継続して使われ続けなければなりません。多くのアプリは作って終わり、飽きられたら終わり、というパッケージになりがちで、一度削除されたアプリに利用者が戻ってくることがないことは、ご自身の経験上明白でしょう。

Webページにおいては新しい情報を発信する、コンテンツを追加するといった「運用」が当たり前なのに、アプリにはまだまだこの点が追いついていないのが現状です。

さて、これまでアプリ利用までの課題点と独自の環境について述べてきましたが、では、どうすればよいか、という部分を考えたいと思います。

失敗しないための4つのポイント

①初期費用は抑え、スモールスタートする

実現したいアイデアはたくさん出てきます。アプリをやるぞ!と考えている担当者の頭には、やりたいことがいっぱいあるでしょう。
しかし、現在持っている資産(Webサイトや商品写真、紙媒体で使っているコンテンツなど)を有効活用し、できるだけ目的を絞って始めることをお勧めします。

②ダウンロード促進はオウンドメディア、SNS、メルマガ、オフラインのオペレーションをフル活用する

ダウンロード促進にあたっては、出稿実績からみると一般的なネットワーク広告は費用対効果が合わないことが多いです。そのため、自社の資産を最大限に利用し、既にいる顧客をベースにダウンロードを促進させることが必要となってきます。

わかりやすいインセンティブを用意するといった仕掛けが必要となりますが、ここが成功への一番大きなポイントです。店頭でのダウンロード促進時に何か割引や景品を付けるなど、明確に嬉しいと感じるものをご検討ください。

③アプリを運用するという考え方を取り入れる

Webページは情報の更新が当たり前となっていますが、現在のアプリ制作は作りっぱなしとなっているのが実情です。いくら最初のコンテンツが豊富且つ有益であっても、新しい情報が更新されないものは誕生と同時に腐り始めているといってもよいでしょう。

先にもアプリの現状で触れましたが、ニュースやSNSなど、利用者は新しい情報を求めてアプリを使っている側面があるので、頻度の高いコンテンツ更新、情報発信をすることが成功率を高めるひとつのポイントです。

また、アプリを運用して行くにあたっても好きになってもらうプロセスをしっかりと意識したアプローチが重要です。いくらプッシュ通知が可能なツールだからといって、一方的に送り続けられるとどうしても「ウザがられて」しまいます。
よくファンを増やすマーケティングは恋愛に例えられることがありますが、アプリを使ったメッセージ配信についても同様ですよね。デートの度に同じ服を来てくる彼/彼女なんてもう会いたくないと思いますし、毎日1日に何通も有益ではないメッセージを送ってきたらすぐに幻滅してしまいます。常に何か新しい、もしくは相手のためになる情報があることが重要です。

④効果はオンラインとオフライン併せたライフタイムバリューで見る

今テレビやネットで目にするヒットアプリというのは、数十万~数百万というダウンロード数です。しかし、ビジネスモデルが違うのですから、それらの規模を目指すことも期待することも必要ないと考えています。

マーケティングにアプリを活用するのであれば、アプリ自体でマネタイズを考える必要はなく、自社の顧客に対し適切にコミュニケーションを行い、継続的な関係性を構築して行くことに重きを置くべきです。
つまり、アプリダウンロードしてくれる顧客(もしくはファン)に対して、適切な情報を届けることで、自社サイトもしくは実店舗への誘導、そこからの購入など、気持ちよく次の行動を促せるのが本来目指すべき形です。

ただ、言うは易し、行うは難し。ではそのオフラインも交えた顧客とのコミュニケーションをどう効果的にできるでしょうか。まだまだこれ!という確立されたものは無いにせよ、その一助となり得る技術はいくつか出てきています。

iBeaconの可能性

iOS7から対応されているiBeaconというのをご存知でしょうか。現在国内外でテスト的な運用が活発に行われています。
この技術はオフラインの体験をよりリッチにしてくれる仕掛けです。個人的には、この技術に非常に期待をしています。まだ本格的に活用し、成功していると言えるものは少ないですが、今後はより活発に効果的な事例がでてくると思っていますし、これを応用した測定方法も登場するでしょう。

iBeaconを利用した事例

  • 美術館

Apple iBeacon technology applied to classical art in Antwerp Museum from ProphetsAgency on Vimeo.

  • 野球のスタジアム

http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/249/249482/

  • イベント

https://www.youtube.com/watch?v=ovuvcZ0nNKk

いかがでしょうか?結構いろいろなアイデアが湧いてきますよね。
私も以前協賛するイベントで、オフィシャルアプリをこのiBeaconも設定した上で制作したことがありましたが、やはり当日のアクティブ率は96%と非常に高く、会場で適切なプッシュ通知が行えればかなり有効な行動促進につながる手応えがありました。
まあ、その時はiBeaconをかなり多く設置してしまい、人に寄っては同じメッセージを数回受け取った方もいたみたいですので、ちょっとした失敗は結果オーライです(苦笑)。

DMP (Data Management Platform)の活用

データマネジメントプラットフォーム、というとなんだか仰々しい感じですが、小難しく考える必要なく、データを貯めておく箱をうまく活用できるかも、というお話です。ご自身の企業で自社会員組織をお持ちであれば、非常に相性がよいです。

この部分については結構ややこしい説明になるため、別の機会でご紹介させていただければと思います。

※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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