【対談】企業がブログを運営する意味
~企業ブログは本当に効果があるのか?~
コンテンツマーケティングやオウンドメディアの必要性が説かれる中、果たして企業がブログを運営するメリットは本当にあるのか?ブログを運営することで得られる成果とは?開始から約2年となる弊社ブログのこれまでを振り返りながら、ブログ運営を統括する櫻田と、当初から多数の記事を書いてきた安松がリアルな声を語ります。
2年でNo.1自社メディアに成長
安松 ブログを始めて2年ほどになりますよね、ここまで運営してどうでしたか?
櫻田 今年11月にはユーザー数とPV数が自社サイトの他のページを抜いて1番になり、今最もたくさんの人にリーチできる自社メディアに育ちました。
安松 そもそも、なぜブログを始めようと思ったのでしたっけ?
櫻田 きっかけは、きっと他の企業と似てると思うんですが、Googleの検索エンジンのペンギン・アップデートやパンダ・アップデートが大きかったです。いいコンテンツを蓄積して質の高いサイトを構えないと検索で上位に表示されないアルゴリズムに変わったので、必然的にやるべきこととして始めました。
重要なのは、記事を更新し続けるためのしくみ作り
安松 去年は100本の記事を公開したりと毎月順調に更新されてる印象があるんですけど、なかなか更新を続けることって簡単じゃないような気がするのですが。
櫻田 実際はかなりコンテンツに困ってたんですよ。去年の夏ごろには記事を書く人間の数が減ったりネタに困ったりして、更新スピードが落ちたこともありました。その時にアクセス数も初めて下がって。改めて更新し続けることの重要性を感じたので、それからは記事を継続的に更新できるしくみ作りを進めてきました。
安松 具体的にはどんなしくみを作られたんですか?
櫻田 まず、毎月の編集会議の実施です。
編集チームで集まってあらかじめ来月のブログのコンテンツと書き手、そしてスケジュールを決める会議を設けました。今まではそれぞれの書き手に個人的にお願いしていたので、どうしてもスケジュールが後ろ倒しになったり内容が偏ることも多かったのですが、現実的にスケジュールを決めてバランス良くテーマを設定することで、大きなスケジュールのズレや公開本数の減少は防ぐことができています。
安松 なるほど。うちは多くの社員が記事を書いていますよね。
櫻田 これまで累計40名以上が記事を書いてきました。全社員の5分の1程度にあたりますが、決して文章が得意な人間が多いわけじゃないんです。
最初は皆、立派な文章や綺麗な言葉遣いで書かなきゃと思いこみすぎて断られることも多かったんですが、読者は別にそれを期待しているわけではなく、普段の業務の中で困ったことを少しでも解決してくれる記事や、知りたかったことを教えてくれる記事こそが読みたいんです。そうしたことを伝えながらとりあえず一度書いてもらうと、感覚が掴めたようで継続して書いてくれる人もいました。
あと、書くことが苦手な社員にはインタビュー形式で取材をおこない、別の書き手が記事に仕上げています。また、書き手独自の世界感に染まりすぎてしまってはいけないので、中立的な立場で俯瞰しながらあるべき方向へ記事を校正する編集長も置いてます。そういった人員さえ何人かいれば、ブログの運用は回ると思うんです。
安松 なるほど。
更新頻度や記事数を意識しすぎて中身の無い記事を量産しても無意味ですよね。質の担保が重要だと思うんですが、そのあたりも編集チームによって調整されてるんでしょうか?
櫻田 そうですね。あと、1番大きいのはコンセプトの共有です。
『検索して記事を見つけたお客様に役立つ情報を提供しよう』というコンセプトには、定期的に立ち戻るようにしています。今日食べたランチや社員紹介をしたって、興味を持って読んでくれる人はなかなかいないでしょう。あらかじめ決めた軸に添って書けば、それほど主旨から外れた記事は上がってこないと思いますよ。
どんな記事がヒットするかは予測不可能
安松 僕も今まで記事を書いてきて思ったことが、『どんな記事がたくさん読まれるかはわからない』ってことです。「こんな記事、研究者しか読まないでしょ?」
櫻田 そうそう。どれだけヒットするかはマーケットが決めることだから、最初にそろばんをはじいて狙ってもなかなかその通りにいかないですよね。
安松 あと、等身大で書いたものが響くんだって思いました。何か困ってたことが解決したときに、『同じことで頭を抱えている人がいるかもしれない』と思って解決のプロセスを書いたり、自分が興味のある分野について調べて書いたことが、誰かの役に立てたりするんだなあって。反応があるととても嬉しいですね。
櫻田 そうですよね。うちのブログも営業目的ではないので、幅広い業務でのノウハウやツールの使い方についての記事なども書いてます。『ブログからいくら売上が上がるか』や『この記事は売上に繋がるか』は意識せずに、先ほども話した『お客様の役に立つ記事か』と『検索ボリューム的にこの記事へのニーズがあるか』というところしか意識していません。
キーワードとしての検索ボリュームはあるものの、企業ブログには体系的にまとめられていないものなどは読まれやすかったりすると思います。
安松 やはり、うちのサイトに訪問してブログへ遷移する人よりは、検索して直接記事に訪問してくる人が多いんですか?
櫻田 圧倒的にその割合が高いですね。だから、シナジーマーケティングが書いた記事だと意識せず読んでる方がほとんどだと思います。
安松 であれば、ブログ記事にはそんなにニュース性やリアルタイム性は必要ないし、あまりいつ書かれたかも問題にならないですね。
櫻田 そうですね。メディアじゃないので、流行を追うよりは長期的に見ても価値のある普遍的なノウハウについて書くことを意識しています。あと、『シリーズ物は読まれる』とお考えの方も多いと思うのですが、実はそんなことなくて、悲しい話ですが連載を楽しみにしてる方なんて本当にいないです(笑)。
だから、人気メディアの真似をするのではなく、『どうやったら検索でこの記事にたどり着いてもらえるだろう』ということを意識しつつ、『たどり着いた人を失望させない記事を作る』ことが大切だと思います。
企業がブログを運営する意味
安松 ここまでを踏まえた上で、企業がブログを運営する意味って何だと思いますか?
櫻田 ブログに限らず、『リードナーチャリング』とか『マーケティングオートメーション』とか『コンテンツマーケティング』ってキーワードが次々流行ったことによって、これまでの泥臭い訪問営業活動をまるっきり否定して『これからはデジタルの時代だ!』って言ってる人もいますが、僕は少し違う考えを持っていて、営業活動を少しでも補完するものがツールなりコンテンツなりブログなりであるべきだと思っています。『売上が上がらないならブログなんてやらない』という企業もあるとは思うんですが、ブログに即時的な対価を求めるのは違う気がしていて。
一方で売上の数字には表れないメリットもあって、たとえばその1つは信頼性の獲得だと思っています。
BtoB企業では取引をおこなう上で企業の信頼性が大きく問われると思うのですが、良質な情報を提供していることって信頼性を決める1つの要素になると思うんです。ただ、Appleのように一切自社の情報やノウハウを公開しない企業もあるので、すべきかどうかはその企業の価値観などに依存してくると思いますが、お客様第一主義の企業であればやるべき義務に近い気はします。
安松 確かにそうですね。だから、『ブログからいくら売上が上がるのか』という尺度だけでやるか否かを決めるのは違う気がしますね。
あと、ブログを活動紹介のツールとして活用できる効果は大きいですよね。口頭だけではすべての活動を説明しきれないじゃないですか。『このようなブログをやっています』と紹介することで後々に話が広がることもありましたね。
また、
研修だとどうしても一過性になってしまうけれど、ブログに残しておくことで、学習に最適なタイミングで繰り返し読むことができるようになり、情報共有の浸透が深まったと思います。これは社外に対しても言えることで、パートナー企業とのオープンイノベーションにもつながっていると思います。
企業ブログを書いてきて思うのは、とりあえずやってみないとブログの効果も意味も何もわからないんじゃないかということですね。
櫻田 確かにそうですね。まだBtoBでブログに力を入れている企業は少ないと思うので、やるなら早いうちに始めるべきだと思います!
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なる場合があります。ご了承ください。
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