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知ればすぐ文章が変わる!メール・Webライティングに必須の日本語表記5つの常識(Part2)

「パソコンがサクサク動く」と読んで、どういう状況かイメージできますか?

この「サクサク動く」という表現、実は6割以上の人が「聞いたことがない」と回答しています(文化庁の調査より)。「聞いたことがない」ということは、「理解できない」ということです。

また、ビジネスメールでよく利用される「貴社」と「御社」という言葉。実はこのふたつ、同じ意味ではありません。「下さい/ください」も「頂く/いただく」も同様に、同じ意味ではありません。これと関係して、「メールをご覧下さい」「メールをご確認頂く」などの表現も、日本語としては誤りです。しかし、これらの誤用は、ビジネスシーンで非常によく見られます。

「読みやすい文章なんて人それぞれ」という意見もありますが、「伝わりやすい文章」を書くにはいろんなコツがあります。なかでも、日本語による表記・文章作成に関する常識を知ることは、伝わりやすい文章を書くためにもっとも大切な基礎の基礎です。

伝わりやすい文章とは、必ず正しい日本語(言葉や文法など)を使っています。とはいえ、意外と「正しい日本語とはなにか」を私たちは明確に把握していません。そこで、まずは正しい日本語表記とはなにかを知り、実際に腕を磨いていくために必要な基本の常識を、5つピックアップしました。

この5つのポイントを、2回にわけてご紹介していきます。後編となる今回は、残りの2つ「定番ツール」と「テストと検定」です。

この記事は、

  • 敬語や日本語で何が正しいのかはっきりとわからない
  • どうすれば文章が伝わりやすくなるのかわからない
  • 仕事で文章を書くことが多いため、効率的に文章のレベルを上げたい
  • 日本語の表記方法をどのように勉強すればよいかわからない

などの課題を抱えておられるマーケティング・制作担当者、ビジネスマンパーソンにオススメです。

常識4 定番ツールを導入する

日本語に関するツールは、大きくわけて4つの種類があります。
1つめは、文字入力の環境を整えるための「日本語入力システム」。2つめは、単語やボキャブラリーのレベルでサポートしてくれる多種の「辞書」。3つめは、単語と単語のつながり(=文法・文脈)を再考する時に参考にできる「用例検索サービス」。そして最後は、文章の仕上げである「校正」システムです。

①【環境】使いやすい日本語・文字入力システムを採用する

パソコンを使って文字入力をするシステムは、基本ソフト(OS)がWindowsの場合「Microsoft IME」、Macの場合は「ことえり」が、はじめからインストールされています。しかし、日本語入力システムは有料・無料に関わらず、これ以外にも存在します。

■無料の日本語入力システム
無料でダウンロードできるもので有名なのは、「Microsoft Office IME」と「Google日本語入力」です。

Microsoft Office IME
「Microsoft IME」と同様に、Microsoft提供の日本語入力ソフトで、Microsoft Office の正規ライセンスをご利用の方であれば、無料でダウンロードできます。「Microsoft IME」と比較した場合、変換精度や学習機能が強化されているようです。

Google日本語入力
Googleが提供している日本語入力ソフトで、誰でも無料でダウンロードでき、多くの人に採用されています。もっとも特徴的なのは、GoogleでWeb検索を行う時に使われるサジェスト機能を元にした変換機能。「今日」と入力すれば、その日が出てくる、などの便利な変換機能が盛りだくさん。ネット上で話題の単語なども自動的に辞書がアップデートされるので、非常に優秀。

■有料の日本語入力システム
日本語入力ソフトの代表格とも言える老舗システムと言えば、やはり「ATOK」。

ATOK
非常に優秀な「変換効率」と「人工知能(AI)変換」に定評があり、もちろん、無料の日本語入力システムでできることは、ほぼできます。専門的な辞書・辞典用モジュールなどさまざまな機能も利用ができるので、文筆のプロにもよく利用されていますね。①で紹介した、類語辞典や用字用語辞典との連係は非常に便利。なお、月額で利用できる「ATOK Passport」などさまざまなサービス形態があることも特徴のひとつです。
有料のATOKにも無料お試し版が用意されているので、ぜひいろいろ試してみて、自分にあった日本語入力ソフトを見つけて活用したいですね。

②【単語】辞典(特に用字用語辞典)を活用する

「日本語に関する辞典」と言えば、国語辞典や漢字辞典を思い起こしますが、文章のレベルを大きくあげてくれる辞書はダントツで「類語辞典」と「用字用語辞典」です。

■用字用語辞典
まとまった文章をたびたび書くようになると、「漢字とひらがな」の使い分けや、各種記号の使い方、外来語の表記方法などについて、悩む機会も増えます。
日本語の表記については、前回ご紹介した【常識1 まずは、日本語表記の基本ルールを知る~誰が決めている?~】で記載のとおり、文化庁が決定している表記ルールが全ての基本になっていますが、この文化庁の表記ルールをベースに新聞社や出版社が『(メディアとして)伝える』ことを目的にしてまとめたものが、この「用字用語辞典」と呼ばれる種類の辞典です。用字用語辞典は、大きくわけて、報道機関が出しているものと、出版社が出しているものに分かれます。有名な用事用語辞典をザッと挙げただけでも、これくらいあります。

・記者ハンドブック新聞用字用語集(共同通信社)
読売新聞用字用語の手引き(中央公論新社)
朝日新聞用字用語の手引き(朝日新聞社)
毎日新聞用語集(毎日新聞社)
日本語の正しい表記と用語の辞典(講談社)

一番有名なのは「共同通信社の記者ハンドバッグ」なのだそうですが、私の手元には「読売新聞用字用語の手引き(=報道機関系)」と「日本語の正しい表記と用語の辞典(=出版社系)」があります。

基本的に用字用語辞典は、文化庁が決定した表記ルールが見やすくまとめられており、それ以外の部分の補足として各社それぞれの表記についてのコンテンツが掲載されています。ですので、どの辞典も極端に内容が異なることはありません。

そのなかで、あえて言うなら、報道機関系の辞典と出版社系のものとの違いとは「その辞典の用途となるターゲット」です。報道は出版物よりさらに社会性が高く、その情報の受け手にもある程度のリテラシーが求められます。ですので、読売新聞の手引きの場合、資料集のなかに「登録商標と言い換え例」というコーナーがあり、これが意外と一番役立ってます。一方で、出版物のターゲットは子どもを含めて多岐に亘ります。そのため、講談社の「日本語の正しい表記と用語の辞典」では、表記・校正基準が一般書用と児童書用のそれぞれが掲載されています。
ターゲットが異なれば、おのずと必要となる表記や校正の基準や資料も変わります。自分が書く文章のターゲットにあわせて、使い勝手の良いタイプを選び活用しましょう。

■類語辞典
長文を書いていると、似たような表現や同じ単語の連続になることが多々あります。そんな時に使えるのが類語辞典です。同じ意味でも、別の言い回しや、書き方・視点を変えると、より伝わりやすくなり、文章そのものも読みやすくなります。
類語辞典はいろんな種類があるので、本屋さんに足を運ぶ前に、まずはWebで利用できる無料サービスやスマートフォンアプリなどでいろいろ試してみると良いでしょう。

●Web上の類語検索系サービス
多くのサービスがあるので、一部、オススメのものをピックアップします。

類語辞典・シソーラス・対義語 – Weblio辞書

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特定の単語の「類語」「同義語」について、微妙な意味の違い別に整理された形で調べられます。特に、単語レベルでの言い換えを考える時などに活用できます。

翻訳類語辞典
連想類語辞典: 日本語シソーラス
特定の単語の「類語」「同義語」だけでなく、「類語の類語」や「英語の類語」まで調べられます。検索結果を眺めているだけで、特に、文章単位での言い回しについてインスピレーションを得られます。

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■スマートフォンアプリ
こちらも多くのサービスがあるので、iPhone版中心ですが一部、オススメのものをピックアップします。

角川類語新辞典
iPhoneアプリの類語辞典の定番です。角川書店から紙の辞典として出版されているもののアプリ版ということもあり、内容に非常に信頼がおけるアプリです。1,500円しますが、出版社系の辞書のなかでは安い方ではないでしょうか。
※Android版も2.600円で販売されています。

・類語と英語
同義語だけでなく、関連語までズラーッと出てくるので、感覚的には先にご紹介した「連想類語辞典:日本語シソーラス」に似ています。こんなに使えるのに、200円(※2014年8月現在)というお手頃な値段という点も魅力のひとつ。
※2018年4月現在、開発は終了しています

■その他
Webサービスやアプリなどで類語辞典に慣れたら、どんな使い方が多いか、どんな単語のまとめられ方がマッチしているかが、ある程度見えてきます。その上で、書店に足を運び実際に手にとって見て選定すると良いでしょう。
Webサービスやアプリよりも、辞典として出版されているものの方が単語のまとめられ方など独自性が高いものが多いので、立ち読みするだけでもすごく楽しいですよ!
また、当たり前のことですが、単語そのものの意味を間違って言葉を使い、文章を書いていては、「用字用語辞典」や「類語辞典」があっても無用の長物です。日本語の正確な意味について理解するためにも、国語辞典は必須です。

「国語辞典で正しい意味を知る」という意味では、ボキャブラリーが増えれば増えるほど、国語辞典を見る機会は増えてくると思いますので、購入を検討する場合は、掲載語彙(ごい)数が多いものをオススメします。

③【文脈】用例検索ツール(コーパス)を使って品質をあげる

単語と単語のつながりや、文法、文脈について再考する時、「用例」は非常に参考になります。日本語の「用例」については、コーパスを使って検索できます。

KOTONOHA「現代日本語書き言葉均衡コーパス」少納言

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日本語のコーパスは、国立国語研究所が実施している「KOTONOHA計画」がもっとも有名です。現代の日本語の書き言葉の全体像を把握できるように、日本語の単語約1億語が収録されています。

コーパス検索ツールNINJAL-LWP for BCCWJ (NLB)
上記の『現代日本語書き言葉均衡コーパス』のジャンルを指定したり、前後にくる言葉を指定した上で検索できます。名詞や動詞などの共起関係や文法的振る舞いを網羅的に表示できるのが、KOTONOHAとの大きな違いです。

・日本語用例検索 ※2018年11月サイトがリンク切れに
青空文庫所収文学作品を対象に、先行文脈/後続文脈を指定して、用例検索できます。
例えば「のような」や「のように」という直喩の前に使う単語で検索すると、青空文庫から自分のほしい比喩(直喩)表現を探せます。

④【校正】校正サービス・ツールを利用する

書いた文章をさらに推敲(すいこう)する時や、入稿前の最終チェックの際、あると便利なのが校正ツールです。Web上で利用できるサービスと、専用ソフトをご紹介します。

■Web上の校正系サービス
書いた文章をコピーアンドペーストするだけで、誤字脱字や言葉の誤用、表記ゆれなどの基本的な項目から、冗長表現などを含め文章の読みやすさ・クオリティーなどについてもチェックができます。

文章校正ツール

日本語校正サポート

なお、このようなWebサービスは他にも多々ありますが、利用するには以下の2点に注意が必要です。
1つめは、精度の問題があります。あくまでフリーのサービスなので、完璧なチェックは難しいため、参考にする程度で利用しましょう。
2つめは、Webサービスである以上、文章を外部サーバーへ送信する際にセキュリティー上のリスクがあるという点です。悪意ある第三者からのハッキング・傍受による情報流出に関して、サービス側が責任を追うことはないので、社外秘の情報が含まれるような文章(例えばお客さまへ送信するメールの内容や見積もり情報など)の場合、このようなWebサービスを利用する際に注意をする必要があります。

■校正ソフト
パソコンにインストールして利用する本格的な日本語校正システムです。英語のシステムはたくさんあるのですが、日本語の本格的な校正ツールは、いまのところ株式会社ジャストシステムの「Just Right!5 Pro」くらいしか見当たりませんでした。また、弊社でもこのソフトを利用しています。
導入の理由は、3つあります。1つめは、上記したようなセキュリティーリスクがないこと。2つめは、校正の精度が高いこと。最後に、弊社独自の辞書を作って、それを利用した校正チェックがかけられる点です。
校正や、JustRightについての詳細は、近々別のブログにまとめてご報告する予定です。

常識5 テストや検定でさらに腕を磨く

日本語の文章を作成するために必要な常識(知識)を得て、ツールを使いこなせるようになれば、あとは地道な勉強しかありません。しかし、何から手をつければ良いか、どんなテキストが適しているかなど、いざ探し始めると意外とわからないものです。実際、テキストを探していた時に、英語習得に関するのテキストの方が圧倒的に多いと感じました。
日本語の勉強や文章の上達を、できるだけ効率的に行いたい。そんな場合は、目的に応じたテストや検定という枠組みを使って勉強するのがもっとも効率的です。

① Web上で無料でできる日本語のゲームやテストで遊ぼう

まずは、やみくもに勉強する前に、楽しみながら無料で日本語の勉強ができるツールやサイトで遊びましょう。自分の日本語能力がどのレベルのものなのか、簡単に把握ができます。

日本語チェック:日本語検定
日本語検定問題に挑戦!:日本語検定
日本語検定が提供しているWeb上で完結できるテストです。

国語力テスト:NHK放送文化研究所

②日本語・ライティング関連の検定にチャレンジしよう

日本語の文章を作成するために必要な常識(知識)を得て、ツールを使いこなせるようになれば、あとは地道な勉強しかありません!

3級テクニカルライティング試験[TW]
一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会が実施しているテクニカルコミュニケーション技術検定試験のうちのひとつ。実践的なライティング技術について学ぶなら、まずはこの試験を受けてみましょう。

Webライター技能士検定
一般社団法人日本Webライティング協会®が実施しているウェブライティングに特化した検定です。個人的には、上記のテクニカルライティング試験よりもボリュームが少ないので、取り組みやすかったです。腕試しにオススメ。

日本語検定
文部科学省も後援している特定非営利活動法人日本語検定委員会による日本語の検定。一般教養としての日本語能力を磨くならここからはじめると良いと思います。

書きながら、これからも、読んでもらいやすいブログを書けるよう、私も日本語をもっと勉強したいと思いました。がんばります!

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