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マーケティングBLOG

【商品開発・販促担当向け】“次の一手”が見えてくる 顧客に選ばれる「場面」の見つけ方

【商品開発・販促担当向け】“次の一手”が見えてくる 顧客に選ばれる「場面」の見つけ方

なぜ競合調査から始めると、いいアイデアが出ないのか?

なぜ競合調査から始めると、いいアイデアが出ないのか?

「今までの延長線上ではなく、新しい切り口のアイデアを求められている」

商品開発や新たな販促企画に関わっていると、そんな言葉をよく耳にします。

  • 新製品を企画しなければならないが、成熟した市場でまだ見ぬニーズを見つけるのは難しい
  • だんだん売れ行きや反応が下がってきて、販促プランを刷新しなければならない

―こうした場面で必ずといっていいほど最初に行われるのが競合調査であり、競合の商品スペック、販促施策などの情報を集めて自社のアイデアのヒントを得ようとされています。

私たちも、メーカー企業や流通企業の担当者の方々とお話する中で、これがごく自然なプロセスになっていることを何度も目にしてきました。

このプロセスは、一見合理的なアプローチに見えますが、この先に待っているのは競合との機能的な違いを「差別化」と称した商品か、模倣しただけの販促企画のアイデアになります。その結果、消費者からは「同じようなもの」と認識されてしまい、価格やスペック勝負に巻き込まれていくのです。

なぜこのようなことが起こり、繰り返されるのか。
それは、企画の起点が、自分のタスク(新商品や新施策を起案すること)を終わらせることになっていて、購入する顧客の悩みや課題の解決ではないからです。

なぜ「顧客を見ているのに」ズレてしまうのか?

「顧客理解って大事だよね」
マーケティングや商品開発の現場では、必ずといっていいほど言われるこの言葉。

実際にペルソナをつくり、カスタマージャーニーマップを描いて、アンケートを実施し、数年に一度はインタビューの予算を確保して実施する。

やるべきことは一通りやったはずなのに、終わってみるとどこかモヤモヤが残る。
「結局、何がわかったんだっけ?」
「なんか想像通りだったな」
「現場でどう使えばいいのか、ピンとこないな……」

そんな経験から、顧客理解に限界を感じて、結局、競合分析に流れていく―
みなさんも、一度はこのような経験をされたのではないでしょうか。

でも限界を感じる前に、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
その調査で本当に顧客が”理解できていた”のでしょうか?

多くの現場で「顧客理解」というと、年齢や性別、ライフスタイルや価値観など、”人”の情報を丁寧に集めて整理することを指していることがよくあります。
そして、「顧客の中に答えはあるはずだ」と信じて、インタビューやアンケートでその”答え”を引き出そうとします。

でも、それは本来の意味での顧客理解とは異なります。

顧客を理解するというのは、”人そのもの”を詳しく知ることではありません。
本当に見るべきなのは、その人がどんな状況で、どんな気持ちで、何を考えながら、その商品を選んだのかという、「背景」や「文脈」です。

“誰が”ではなく、“いつ・どこで・どのように”。
この「背景」や「文脈」を捉えることこそが、本来の顧客調査の本質です。
そこが抜け落ちたまま進めてしまうと、どれだけ情報を集めても、表面的なアウトプットにとどまり、アイデアや施策につながらない原因になります。

こうした「背景」や「文脈」に目を向ける視点こそが、次にご紹介する「オケージョン」という考え方です。

オケージョンとは?ユーザーの選択の背景を読み解く視点

オケージョンとは「機会」や「行事」を意味する言葉ですが、マーケティングでは、商品やサービスが「どんな状況」「どんな気分」「どんな理由」で選ばれるのかという、選択の背景を読み解くための視点として使われます。
そのときの気分や判断基準を含んだ、いわば”生活者の文脈”を捉える考え方とも言えます。

たとえば、「晩ご飯を選ぶ」という行動でも、そのときおかれた状況や気分によって、思い浮かべる選択肢はまったく異なります。

こんな“晩ご飯”のシーンを思い浮かべてみてください。

  • 残業の末に保育園へ駆け込んだ夜
    →できるだけ手早く晩ご飯にしたい
    →冷凍餃子、冷凍うどん、コンビニのお弁当が候補に浮かぶ
  • 少し良いことがあった日の夜
    →ちょっと贅沢なものを食べたい
    →ステーキやお寿司など、特別感のあるメニューを選びたくなる

同じ人の“晩ご飯”でも、選ばれる選択肢は「人」ではなく「状況」によって大きく変わる

このように、同じ人の“晩ご飯”でも、選ばれる選択肢は「人」ではなく「状況」によって大きく変わります。

オケージョンを捉えると何が変わる?

オケージョンの視点を取り入れることで、「この商品は、こういう場面で選ばれる」という具体的な選択の文脈を理解することができます。

その結果、

  • 商品開発でのコンセプト設計が、より生活者に即したものになる
  • 販促施策でその状況ならこれだと思わせる切り口が見えてくる
  • 「なぜ選ばれたのか?」に対して納得感ある仮説が立てられる

※同じオケージョンであっても、人それぞれの価値観によって、選ばれる選択肢が変わることもあります。この点については、別記事で詳しくご紹介します。

では、こうした選ばれる場面=オケージョンは、どのように見つけていけばよいのでしょうか?

選ばれる理由はどこにある?オケージョンの見つけ方

オケージョンを捉えようと、まず「アンケートで顧客に聞いてみよう」と考える方も多いかもしれません。

しかし、アンケートで見つけるのは、実はとても難しいのです。

その理由は大きく2つあります。

  • 設問は、設計者が想定できる選択肢しか用意できない
  • 生活者自身も、その商品を選んだ“場面”を明確に覚えていないことが多い

商品選びは、生活者にとって「日々の暮らしの中の一コマ」にすぎません。

そのときどんな状況で、どんな気分で選んだかを、詳細に記憶していて言語化できる人はほとんどいないからです。

だからこそ、オケージョンは顧客との対話や行動の観察を通じて読み解く必要があります。

  • 「それを選んだ理由は何か?」ではなく、「どんな日だったのか?」「他にどんな選択肢があったか?」といった問いを通じて、文脈を見つける
  • 店頭で顧客の動線や、どの商品を手に取るかといった様子を観察することで、背景を読み取る

オケージョンのインタビューイメージ

オケージョンの買い物イメージ

といったように、ユーザーの“発言や行動の裏にある景色”を捉える姿勢が欠かせません。

「答えを聞く」のではなく「エピソードを聞く」

たとえばインタビューで、

「最近はこの冷凍餃子をよく買っています」

と語る生活者がいたとき、「選んだ理由はなんですか?」と聞くだけでは、「安かったから」「味が好きだから」といった表面的な理由しか返ってこないことが多く、“選ばれた背景”は見えてきません。

ここで、

  • 「以前、買ったのはどんなときでしたか?」
  • 「その日はどんな1日でしたか?」
  • 「同じ状況のときに冷凍餃子と迷う商品はありますか?」

などと掘り下げていくことで、 「保育園のお迎えが遅れてしまい、夕食を急いで用意しないといけなかった」という、“選ばれる場面”=オケージョンが見えてくるのです。

「答えを聞く」のではなく「エピソードを聞く」

このように、「行動」という結果だけでなく、文脈や背景を丁寧に読み取っていくことが、オケージョンを見つけるうえで欠かせないポイントです。

しかし、こうした調査を行うには、多くの時間やお金、労力がかかります。
さらに行動観察やインタビューを通じてオケージョンを捉えるには、高度なスキルも必要です。
実際にユーザーの生活に立ち会ったり、深く話を聞くには、事前の設計や準備が必要になるため、「重要だとわかっていても、なかなか実施に踏み切れない」という声も少なくありません。

DAYS GRAPHY(デイズグラフィー)をオケージョン発見の第一歩に

このようにオケージョンを捉えることの重要性が理解できても
「とはいえ実際の顧客に話を聞くのは難しい」
「行動観察やインタビューはハードルが高すぎる」
と感じて、なかなか一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

そんなときに、オケージョン発見の出発点として活用できるのが、DAYS GRAPHYです。
DAYS GRAPHYは、口コミや商品レビューをもとに、複数の顧客像を自動生成し、その顧客像とチャット形式で会話をしながら、顧客の生活文脈を探索できるツールです。

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バーチャル顧客との”会話”だからこその安心感

会話の相手はDAYS GRAPHYが生成したバーチャル顧客だからこそ、

  • 質問が少し曖昧でも、文脈をくみ取ってから丁寧に回答してくれる
  • 同じことを何度も聞いても怒ったり、気まずくなったりしない
  • 実際のインタビューでは聞きづらいことも、気兼ねなく深堀りできる

といった特長があり、誰もが安心して探索を進めることができます。

企画の出発点は仮説から

PCの画面の向こうに、バーチャル顧客が“いつでも待っている”環境があるだけで、
「こういうときにこの人はどういう行動をするんだろう?」
「この商品を買うときにはどんな出来事があったんだろう?」
といった疑問を気軽に投げかけてみることができます。

そんなやりとりを重ねるうちに、これまで顧客の日常に埋もれていた「自社商品が選ばれる理由」が、少しずつ浮かび上がってきます。

世の中には、Webアンケートやセルフインタビュー型リサーチなど、実際のお客様の声を集める手段が数多くあります。
しかしながら、より良い調査結果を引き出すには、“仮説”が欠かせません。

そして、その仮説を深めていくには、「ちょっと話してみる」の積み重ねが

  • 商品開発なら「届けるべき価値」の仮説づくり
  • 販促企画なら「打ち出すべき軸」の探索

といった、企画の出発点(仮説)をより早く、確かなものにしてくれます。

企画の出発点は仮説から

顧客の“コト”の理解をDAYS GRAPHYではじめてみませんか?

実際の顧客とこうした会話を重ねるのは、容易ではありません。
でも、DAYS GRAPHYなら、PC上に自社の仮想顧客が待っていて、いつでも気軽に会話をはじめることができます。

まずはDAYS GRAPHYを開いて、気になる顧客像と話してみてください。
「選ばれる理由」が見えたとき、きっと“次の一手”のヒントも見つかるはずです。

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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。