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顧客分析を今すぐ始める
Societas Vol. 2

こんにちは、馬場です。
前回は弊社がマーケティングで顧客の理解/顧客分析を非常に重視している、というお話をしました。今回は、お客様を理解する/顧客分析を実施するためのアプローチについて説明します。

顧客分析のたった2つのステップ

Webマーケティングにおいて「お客様の心を知ろう」「顧客分析を始めよう」と思ってもまず何から始めてよいか戸惑うかもしれません。私は、最初は小さく2つのステップから実行することを提案します。

  1. 顧客像の仮説を立てて共有する
  2. 仮説に基づいたメッセージを顧客に届ける

以降、それぞれのステップについて説明します。

1. 顧客像の仮説を立てて共有する

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顧客分析の最初のステップ、それはお客様がどのような人なのか、何を期待してWebサイトを訪れる/メールを読むのかをチームメンバーに共有することです。
マーケターなら自社のお客様がどんな人なのか、イメージを持っていると思います。
ただ、もし顧客像がマーケターの頭の中にしかないなら、残念ながらその顧客像はマーケティングに活かせる状態ではありません。

Webマーケティングではさまざまな技術を駆使してコミュニケーションプランを立てます。
そのため、マーケター、ディレクター、ライター、デザイナー、さらにはエンジニアやプログラマも含めチームメンバー全員がコミュニケーションの相手となるお客様を理解する必要があるのです。

オバマ大統領の選挙Webキャンペーンは、徹底的にABテストを実施しWebサイトやメールを最適化したことで有名ですが、このような最適化の最初の課題は「いかに顧客の心理状態を想像し改善案が出せるか」にあります[1]

ところが、あなたのチームメンバーはあなたが思うほどお客様のことを知りません。
先日社内でブログのライター向けにトレーニングがあり、私も受講しましたが、ブログの読者(みなさんですね!)の知りたいことは何か、サイトを訪問するコンテキストはどのようなものか、想像し簡単なジャニーマップ[2]を作るというものでしたが、普段お客様との接点がない私のようなエンジニアはなかなか苦戦してしまいました。

マーケターのみなさんには言い訳に聞こえることも覚悟で申し上げますが、これは意識の問題ではなく知識の問題なのです。チームメンバーが顧客に対する仮説をたて実現可能な施策を自律的に提案できるようにするために、各現場にお客様を「紹介」するのはマーケターの役割ではないか、と思っています。
そのために、あなたが思い描いているお客様像とその期待を、明文化し提示しましょう。ごく簡単な文で構いません。そこがスタートです。

2. 仮説に基づいたメッセージを顧客に届ける

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顧客像とその期待を文に書き起こす=仮説を立てたら、次のステップはその仮説が正しいか調査をすることです。

企業の人間はその道のプロフェッショナルです。製品や業務について熟知しているが故に、どうしても「知らない」人とは違う景色を眺めていることがあります。
マーケターは経験で「お客様はここに惹かれているのだろう」と考えますが、それが本当に正しいのか、いくら考えても考えるだけではわかりません。その眼鏡が正しいのか、色がついているのか、確信を得るには調査をするしかありません。

ただし身構える必要もありません。企業の外の人に聞いてみる、購買データやWebアクセス履歴を数人分ピックアップして眺めてみる、口コミの文を読むなど、できるところから始めましょう。仮説が正しいかどうか確認するという姿勢でデータをみることが顧客分析の第2ステップなのです。

それでは、さまざまな調査手法が存在する中、Webマーケティング/メールマーケティングで最も効果的な手法は何でしょうか。

それは実際にWebページ/メールを改善し、その反応を計測することです。

マスマーケティングではひとつの広告を作成するのにコストがかかるため、その前提となる顧客分析にも確かな精度が求められました。そのため、数ヶ月という時間、数千万円というお金をつかって顧客の調査をすることもあります。
しかしWebマーケティングの現場では調査「だけ」を実施することは、金銭面でも時間面でも許容されないことが多いのではないでしょうか。

それでもWebマーケティングには大きな利点があります。それはお客様の反応がページアクセス履歴やクリック履歴データとして記録可能である、ということです。
つまり、メッセージングの反応データを分析することにより顧客理解を深めることができるのです。

顧客像とその期待に対する仮説の真偽を確かめるというスタンスでメッセージを発信すること、そしてそのお客様の反応を計測すること。これによりWebでのコミュニケーションは、企業とお客様が対話を通して関係を深めていくというマスマーケティング以前の本来のコミュニケーションの姿に回帰すると考えます。 

Societasが仮説を深化させる

顧客志向のWebマーケティングは、この2ステップの繰り返しです。このステップを繰り返すだけでも従来のマーケティングでは得られない手応えを得ることができるでしょう。
ただし問題もあります。それは自社の知識以外のインスピレーション、仮説を得ることができないということです。

ここでSocietas(ソシエタス)の出番です。Societas(ソシエタス)は、消費行動の要因を表したものです。過去の消費者心理研究を参考に定性調査/定量調査を重ねて、以下のような12の価値観の類型を規定しました。

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消費者一人一人、あるいは「優良顧客」などの顧客セグメントはこの12のSocietas(ソシエタス)の確率分布で表現されます。

例えば、私は以下のような分布です。あまり協調性がなく打たれ弱い、日々家のことで忙しいと感じている私の性格を非常によく表していると思います(非常に研究者的です…)

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Societas(ソシエタス)がわかれば、「家族を養う責任を感じている」「自己成長意欲が高い」「仕事にストレスを感じている」など、さまざまな消費者の心の程度がわかります。さらに「ファッションが好き」「車なら利便性にこだわる」など消費の嗜好も推論できます。

顧客の価値観はそれだけでは行動履歴データから推し量ることができませんが、Societas(ソシエタス)を利用すれば行動履歴から推論することも可能です。これが、顧客志向のWebマーケティングをさらにすすめ、お客様の心に響くメッセージをベストなタイミング/コンテキストで届けるために、Societas(ソシエタス)を提案する所以です。

第2回はWeb マーケティングにおける顧客分析のプロセスと、その顧客分析をさらに深化させる技術/Societas(ソシエタス) について説明しました。次回は、Societas(ソシエタス)を利用して価値観分析を行ってみようと思います。

参考:

[1] Optimization at the Obama campaign: a/b testing
[2] コトのためのデザイン手法 ~HCD(人間中心設計)手法の紹介Vo.2~

※iNSIGHTBOXはサービスを終了いたしました。価値観での顧客セグメンテーション「Societas」は引き続きサービスを提供しております。

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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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