SKU(エスケーユー)とは
SKU(エスケーユー)とはStock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の略で、商品の受発注・在庫管理を行うときの、最小の管理単位を指す。商品の数え方には「アイテム」と「SKU(エスケーユー)」がある。 アイテムとは、商品の種類を指す。
一つのアイテムを、サイズ、パッケージ、カラー、内容量などのより小さい単位で分類したものがSKU(エスケーユー)だ。
例:アパレル(Tシャツ)の場合
Tシャツ一枚でも「色」や「サイズ」が異なれば、それぞれに別のSKU(エスケーユー)が割り当てられる。たとえば、同じデザインのTシャツが、サイズはS・M・Lの3サイズ展開、カラーが3色展開されていたとする。この場合、アイテム数は1。SKU(エスケーユー)数は、3サイズ×3カラー=計9SKU(エスケーユー)となる。
JANコードや型番との違い
- SKU:自社で管理するための内部コード。事業者自らが受発注・在庫管理の利便性に合わせて設定することができるため、サイズやカラーの区別をせずにSKU(エスケーユー)を設定するケースもある。
- JANコード:流通業界で共通のバーコード番号。「どの事業者の、どの商品か」を表す。スーパーやコンビニなどのPOSシステムで活用されている。
- 型番:メーカーが定めた製品番号。
SKU(エスケーユー)のメリット:在庫管理と売上データ分析のしやすさ
- メリット(1)在庫管理がしやすい:SKU(エスケーユー)ごとに在庫数を把握できるため、「黒Mサイズだけ品切れ」などの状況にすぐ対応できる。
- メリット(2)売上データ分析がしやすい:SKU(エスケーユー)単位で「どのサイズ・カラーが売れているか」を確認でき、売れ筋商品の把握が容易。
SKU(エスケーユー)のデメリット:SKUの多いECサイトはコンバージョンを逃しやすい【メールマーケティングで改善可能】
SKU(エスケーユー)数が多いことは、商品バリエーションの豊富さを意味し、ECサイトにとっては1つの強みといえる。しかし、SKU(エスケーユー)の多さがユーザー体験を損ね、結果的にコンバージョン率の低下を招くケースも少なくない。
SKU(エスケーユー)が多いと、なぜ売れにくくなるのか?
1. 商品選びに迷い、購入を断念する
SKU(エスケーユー)が多すぎると、ユーザーはどの商品を選べばよいか迷い、最終的に購入を諦めてしまう場合がある。これは「選択麻痺」と呼ばれる現象であり、ECサイトにとって機会損失につながる深刻な問題である。
2. 欲しいSKU(エスケーユー)が品切れで、離脱する
豊富なSKU(エスケーユー)を管理していると、一部SKU(エスケーユー)が在庫切れとなるケースが多くなる。ユーザーが欲しいサイズやカラーが品切れだった場合、その時点で購入をやめ、離脱する確率が高まる。
3. 一度離脱したユーザーは戻ってこない
購入に至らなかったユーザーは、そのまま他のサイトに流れてしまい、再訪する機会が失われる。再訪のきっかけを作らない限り、コンバージョンにつながる可能性は極めて低い。
コンバージョンを取り戻す鍵は「メールマーケティング」
SKU(エスケーユー)の多いECサイトにおいて、コンバージョンを確実に獲得するには、再訪を促す施策が不可欠である。その中でも効果が高いのが、メールマーケティングである。
一度離脱したユーザーに対して、再度アプローチする手段として、メールは極めて有効だ。
<SKU(エスケーユー)管理×メールマーケティングの活用例>
■ 再入荷通知メールで購入意欲を喚起する
在庫切れとなったSKU(エスケーユー)の商品に対し、再入荷したタイミングで通知メールを送信することで、購買意欲の高いユーザーにピンポイントで再訪を促すことができる。
■ 閲覧履歴を活用したレコメンドメール
過去に閲覧したSKU(エスケーユー)や類似商品を紹介するメールを送ることで、ユーザーに商品を思い出させ、再度購入を検討させることができる。これはコンバージョン率の向上につながる有力な施策である。
■ セールやキャンペーン情報の案内
SKU(エスケーユー)が多いサイトは、セールやキャンペーンを通じて「今ならお得」という購入の動機を作りやすい。タイミングよくメールで告知することで、迷っていたユーザーの背中を押すことができる。
SKU(エスケーユー)の多さは「顧客フォロー」で強みに変わる
SKU(エスケーユー)数の多さが原因でユーザーを取りこぼすのはもったいない。SKU(エスケーユー)の多いECサイトこそ、メールマーケティングによる継続的なアプローチが重要である。
メールを通じて再訪・再検討の機会を提供すれば、SKU(エスケーユー)の多さを「選ばれる理由」に変えることができる。
SKU(エスケーユー)管理とメールマーケティングを組み合わせ、売上につながる仕組みを構築していくことが、今後のEC運営における鍵となる。
SKU(エスケーユー)を設定する
SKU(エスケーユー)を設定すべきケースとは
・ケース1:複数のバリエーションがある商品を扱っている
たとえば、Tシャツ1型に対して、サイズ(S・M・L)やカラー(白・黒・赤)などの組み合わせがある場合、それぞれを個別に識別するSKUを導入することで、商品を一意に識別し、在庫数の把握や補充、販売実績の分析が容易になる。
・ケース2:複数の販売チャネルを通じて商品を流通させているケース
店舗とECで異なる価格、キャンペーン、販売方法などで販売管理を区別する場合、SKUを分けて管理することで在庫管理や、どのチャネルでどの組み合わせが売れているのかといった分析が効率的になる。需給予測やマーケティング戦略の精度向上につながる。
SKUの設定方法
SKUを適切に設定することで、商品ごとの在庫数や販売実績を正確に把握できるようになる。SKUは、在庫管理の精度向上以外にも、販売機会の最大化、顧客満足の維持といった多くの面で重要な役割を果たしている。
SKUの設計は、組織内での運用や将来的な拡張を見据えて明確な命名規則を採用し、誰が見ても同じルールで解釈・命名できるようにすることが重要である。わかりやすいSKUは、効率的な業務運営や顧客サービスの向上につながる。
初期段階で明確なルールを定め、運用フローを整備することが、在庫管理のトラブルを防ぐ鍵となる。
【SKUの設定例:アパレルの場合】
SKU:MON-TSH-WHT-M
- ブランド:MON(ブランド名の頭文字)
- 商品カテゴリ:TSH(Tシャツ)
- 色:WHT(白)
- サイズ:M(Mサイズ)
SKUの管理
SKUをスムーズに管理できるようになるには、学習、トレーニング、一定以上の経験値が必要である。SKU管理は、多大な作業量と複雑な商品構造のために大変な作業だが、適切なシステムや方法を用いることで、効率的な管理を実現できる。Excelなどの表計算ソフトを用いた簡易管理も可能だが、実店舗とECサイトの両方で在庫を共有している場合には、リアルタイムで在庫を同期できるシステムを導入することが望ましい。特に販売の繁忙期やセール時期には、在庫の更新頻度と正確性が売上に直結する。
SKUの命名規則を定め、SKUリストを作成し、在庫管理システムを導入することで、SKU管理の負担を軽減できる。
業種別SKU総数の目安
業界 | 小規模の目安 | 大手の目安 | 増加要因例 |
---|---|---|---|
アパレル | 500〜3,000 | 10,000以上 | サイズ・カラー展開、シーズン商品 |
化粧品 | 300〜1,000 | 5,000以上 | 色味・容量・限定品 |
食品 | 100〜500 | 1,000以上 | 温度帯、季節・地域限定、容量違い |
日用品・生活雑貨 | 200〜1,000 | 3,000以上 | 香り、パッケージ変更、ブランド別 |
家電・耐久消費財 | 50〜300 | 1,000以上 | 型番違い、色違い、付属品 |
SKUの総数は、業種や取り扱う商品特性によって大きく異なる。SKUの数が多すぎると在庫管理が煩雑になり、少なすぎると顧客のニーズに応えきれない恐れがあるため、業種ごとの適切なSKU数を把握しておくことが重要である。
たとえば、アパレル業界では、サイズやカラーのバリエーションが多いため、全体のSKU総数は数百から数千に及ぶケースが多い。化粧品業界では、品番・色味・容量などでSKUが分かれ、商品点数が多いブランドであれば1,000SKUを超えることもある。一方で、食品業界や日用品業界では、単品販売が主流であり、1商品あたりのバリエーションが少ない。そのため、小規模なメーカーや小売業者では200~300SKU前後に収まる場合が多い。ただし、冷凍・常温・期間限定など、保管条件や季節要因によってSKUが増加する場合もある。
家電・雑貨などの耐久消費財は、商品点数自体が限られているためSKU総数は比較的少なく、50~200程度が目安となる。ただし、付属品や型番違いなどを細かく管理する場合には、それ以上に増加することもある。
SKU総数は、多ければよいというものではない。取り扱い商品数、保管スペース、管理体制、販売チャネルとのバランスを見ながら、業種に適したSKU数に最適化することが、効率的な商品管理と利益最大化の鍵となる。
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