コンテンツマーケティングで新規契約数2倍!
展示会依存の集客から脱却したブラザー販売

ブラザー販売株式会社

ブラザーグループの国内マーケティングを担う企業として、これまでミシンやプリンターなどの製品を販売してきたブラザー販売株式会社。2012年には、Web会議システムの領域に参入し、OmniJoin(オムニジョイン)の販売を開始します。当初は展示会でリードを獲得するも限界を感じ、新しい集客手法を検討する中で目を付けたのがコンテンツマーケティングでした。

2016年4月から取り組みを開始し、新規契約数は前年比2倍に。成果の出るコンテンツ制作のポイントや取り組みの感想について、弊社担当を交えてお話を伺いました。

インタビュー参加者

写真左より

小川 加奈子
シナジーマーケティング株式会社 東日本事業部 プロフェッショナルサービスG ライティングチーム リーダー

原 敬三 氏
ブラザー販売株式会社 マーケティング推進部OmniJoinG チーフ

山田 貴彦
シナジーマーケティング株式会社 東日本事業部 第三営業G マネージャー

※部署名・役職は取材当時(2017年7月)のものです

“疲弊しない販売活動”を目指してコンテンツマーケティングを開始

Web会議システム・OmniJoin(オムニジョイン)の画面

山田 御社の販売製品は多岐に渡りますが、その中でもWeb会議システム・OmniJoin(オムニジョイン)のマーケティング活動をご支援させていただいています。

原氏 当社はもともとミシンやプリンターなどの製造・販売を行ってきた企業です。2012年にOmniJoinの販売を始めましたが、初めてのクラウドサービス、かつWeb会議システムの中では後発の製品だったこともあり、どのように認知を広げ販売していくかのアイデアが無くてとにかく困っていました。

山田 当初は展示会への出展でリードを獲得していたんですよね。

原氏 はい。展示会でリードを獲得し、とにかく商談数を増やそうという意識でした。しかし、リードを多く集めようと展示会の出展回数を増やしていくと、費用面でも人的リソースの面でも限界を迎えてしまいまして。別の方法でリードを獲得できないだろうかと模索していました。

山田 もともとは展示会で集めたリードを管理するデータベースを提供するところからのお付き合いでした。リード獲得自体にお困りであると伺って、提案したのがコンテンツマーケティングです。

展示会でのリード獲得の限界について語る原氏

原氏 当社と同じくクラウドサービスを販売しているシナジーマーケティングのノウハウを知りたいと思って、どのようにリードを獲得しているのかを聞きました。すると、ブログ記事やホワイトペーパーなど、魅力的なコンテンツを多く制作してリードを獲得しているということだったので、「じゃあうちもそれをやります」と(笑)。

山田 Web会議システムは、さまざまな企業が提供しており、初めての人には違いがわからず、価格の考え方も各社さまざまで比較するには複雑な面もありますよね。その中から選んでいただくためには、御社の売りとなる「高品質・低価格」を正確に伝える必要がありました。そこで、Web会議システムを探している人の課題解決や目的達成を助ける情報発信をして、お客様に寄り添うべきだと考え、ご提案しました。

原氏 提案いただいた中で印象に残っているのは、「コンテンツは資産になるし、営業活動や販促活動にも使えますよ」という言葉です。リスティング広告や、派手な企画を実施しても、一時的な施策で終わってしまうなと感じていたので刺さりました。

山田 コンテンツマーケティングはストック型ですからね。

原氏 あと、「展示会よりROIの高い集客を目指しましょう!」と力強い言葉もいただいて、お任せしてみようと思いました。

徹底的なヒアリングで顧客とビジネスを理解する

シナジーマーケティングのライター小川

山田 コンテンツマーケティングをこれから始めましょうという段階で、弊社のライター・小川がメンバーに加わりました。

小川 最初の2ヶ月は、OmniJoinの製品やビジネスモデル、原さんのお仕事のこと、OmniJoinを導入されるお客様のことを徹底的に知るために、とにかくヒアリングをさせていただきました。

原氏 記事やホワイトペーパーの企画の話をするのかと思ったら、「どんなお客様がいるのか」とひたすらヒアリングされたので、最初は驚きました(笑)。

小川 「いいから早く記事を書いて!」と言われることもあるのですが(笑)、まずはコンテンツマーケティングの肝である、「誰に何の情報を届けて、どんな行動をしてもらうのか」を決めなければなりません。そこで、お客様のタイプ分けをして、特に情報を届けたい人を具体化していきました。

原氏 そうしてできあがったのが、「中村さん」というペルソナですね。

小川 はい。役職や年齢、どんな状況に置かれ、どんな悩みを持っているかなど、細かい人物像を決めていき、記事を届けるべきお客様のモデルを作り上げました。「中村さん」の設定は、Web会議システム導入の推進役であり、導入にあたってかなり苦労を抱えられている方、ということでした。

ペルソナである「中村さん」についてまとめた資料の一部 ▲「中村さん」のペルソナ資料。仕事の進め方や性格などの細かい設定が記載されている。

原氏 「中村さん」にとってWeb会議システムは、導入する時の社内説得が大変なものなんですよ。値段は安価ですが社内で利用者が多い分、導入にあたっては色々な部署から承認をもらう必要があります。社内説得のための資料も作成しなければならず、労力がかかるんです。

山田 導入までにかなり時間もかかってしまいますね。

原氏 Web会議システムの導入を決めてから選定終了して導入するまでに、半年や1年かかる場合もよくあります。

小川 社内説得を半年や1年も続けるのは疲れてしまいますよね。そんな「中村さん」の手助けになればいいなという思いで、コラム記事を中心としたオウンドメディアを立ち上げ、ダウンロードできるホワイトペーパーを制作しました。

原氏 ダウンロードした「中村さん」が読んで終わりではなく、社内で説明資料として使ってもらえるようなホワイトペーパーになっていますよね。こういったガイドがあることで、少しでもお客様の導入にかかる負荷が減るといいなと思いました。おかげさまで、よくダウンロードされています。

「中村さん」の手助けとなるよう作られたホワイトペーパー(一部抜粋)とコンテンツマーケティングのホームとして機能している「“読む”オンライン会議 導入&実践コラム」 ▲コンテンツマーケティングのホームとして機能している「“読む”オンライン会議 導入&実践コラム」(右)と、そこからダウンロードできるホワイトペーパー「はじめてのWeb会議選定ガイド」(左)
※掲載中のコラムは、ブラザー販売様とシナジーマーケティングで分担して制作しております。

営業活動から拾い上げた声をすぐにコンテンツに反映

小川 記事やホワイトペーパーのテーマは、キーワードツールでWeb会議と親和性の高いキーワードを見つけて、制作しています。

原氏 キーワードを網羅した記事を書けばそれでOKな気もしていたんですけど、小川さんの企画や構成の立て方はそういった考えの元ではないですよね。

小川 単にキーワードを盛り込んだ記事にするのではなくて、まずはこのキーワードで検索する「中村さん」の意図や目的を想像します。「中村さん」がどんな情報を知りたくてこの記事にアクセスするのか、どこまでの情報をすでに知っているのか、この記事を読んでOmniJoinに興味を持ってもらうためには何が必要かなどを考えて構成を立てるんです。

原氏 単に記事を書いてもらえるだけでなく、企画からお願いできるのでとても助かっています。

山田 記事やホワイトペーパーのテーマについては、原さんからリクエストをいただいて制作する場合もありますよね。

原氏 私は普段、営業活動もしているのでお客様とお話する機会が多くあります。そのときにお客様から聞かれることは多岐にわたりますが、多くのお客様とお話をしているとある程度のパターンが見えてくるんです。「今日の商談では、やけにこのことについて聞かれるな」と思うことがあれば、すぐに小川さんにお電話して「小川さん!これをコンテンツにしてほしい!」と依頼しています(笑)。

小川 かなりの頻度でお電話してますね、私たち(笑)。お客様と直接お話されている原さんとディスカッションしながら決めているからこそ、本当にお客様が求めている情報とズレの無いコンテンツづくりができているんだと思います。

原氏 似た傾向の質問を何度も受けるということは、その解となる情報が足りてないということでしょう。それぞれのパターンに対応したコンテンツを用意しておくことで、こちらもすぐに「これを読んでください」と、情報がまとまった記事やホワイトペーパーを差し出すことができる。そうするとお客様も社内のメンバーも助かるんです。

アクセス解析をもとにした導線改善で「見られるコンテンツ」づくりも強化

小川 メールマガジンの運用にも注力されはじめました。

原氏 以前からメールマガジンは送っていたのですが、ネタ不足でした。でも、今はコンテンツが豊富にあるので、送る内容が無いと悩むことがなくなりました。BtoB企業でメールマーケティングに取り組むなら、コンテンツ制作は必須ではないでしょうか。

山田 メールマガジン以外でコンテンツへ訪れてもらうための導線として、広告も整備しています。

実際に出稿した広告バナー画像▲「困っていること」に焦点を合わせて制作した広告

原氏 ディスプレイ広告のリンク先を製品ページから記事ページに替えました。製品の訴求ではなく、お困りごとに寄り添う記事を案内することで、潜在的なニーズを持ったお客様が立ち止まってコンテンツを読んでくれるようになったと思います。

山田 今後は、Aコンテンツの後はBコンテンツを読んでさらにWeb会議システムの理解を深めてもらう、Cコンテンツの後はDコンテンツを読んで製品比較の参考にしてもらい、最終的にはフリートライアルやオンラインデモに繋げるなど、お客様の検討課題に応じて適切なコンテンツへ案内してクロージングできるように、サイト全体のアクセス解析を行いながら導線を整備したいですね。

原氏 はい。コンテンツはある程度増えてきたので、次はその段階だと思います。「あれ?気付いたらいつもブラザー販売の記事を読んでる!」「まずはブラザー販売に話を聞いてみたい!」と思ってもらえるのが理想なので、再訪問してストレスなくお申込みしてもらえるような導線も整えたいです。

フリートライアルへの申し込みと問い合わせが増加し、新規契約数が2倍に

山田 1年と少し実施してみて、コンテンツマーケティングの成果はいかがですか?

原氏 製品のフリートライアルと問い合わせフォームへの申し込みもおかげさまで増加し、実施する前の年度と比較して新規契約数が2倍くらいに増えています。
もちろん他にも様々な取り組みもしていますが、コンテンツを充実させたことで、売り上げに対する貢献はあったと思います。

小川 順調ですね!コンテンツを見て御社に問い合わせをされるお客様に特徴はありますか?

原氏 コンテンツを見て、課題解決や情報収集をしてから問い合わせをされるので、Web会議システムについてのリテラシーが高い方や、情報をよくご存知の方が多いですね。感覚としては、展示会で15〜20分ほど商品説明をした後のお客様の状態と近いような気がします。だから、商談もスムーズに進むんです。

山田 そして、その商談でもコンテンツを使っていただいてるんですよね。

原氏 バリバリ活用しています。読み物やダウンロードコンテンツとしてWeb上に置くだけでなく、印刷して商談に持っていったり、展示会で配布資料にしたりと、使い勝手がとてもいいんです。コンテンツマーケティングに取り組んだことで、確かに社内資産が貯まりましたし、使える武器が増えたなと感じます。弊社ではオンラインの商談も積極的に利用しているのですが、事前にどの資料をダウンロードしたのかを確認して、お客様がどういう点に興味があるか把握するようにしています。そうすることでオンライン商談開始時に会話が弾むきっかけにもなりやすいです。

「ビジネス理解のあるプロフェッショナル集団だから任せたくなる」

小川 原さんは、いつも新しいツールの情報収集をされていたり、セミナーにも足を運ばれたりと本当に勉強熱心です。そして、素直に良いと思った方法で取り組まれる方ですよね。

原氏 シナジーマーケティングだけにお願いしているわけでもないですし、気になる情報はいろいろな企業から積極的に集めています。

小川 だからこそ、我々も良い緊張感を持てています。「シナジーマーケティングに頼みたい」とこの先も言っていただけるよう努力を続けないとなと、いつも思いますね。

原氏 最近は一部コンテンツの内製化も進めていますが、まだ網羅できていないテーマも作りたいコンテンツも山ほどあります。また、サイトの導線改善や、制作したコンテンツを活かしてSEOを強化する等まだまだ取り組まないといけない課題も多いので、引き続きお力を貸してほしいです。

原氏 シナジーマーケティングのいいところは、各分野のプロフェッショナルがいるところですよね。コンテンツ制作のプロ、広告のプロ、アクセス解析のプロ、そして営業のプロが、皆ビジネスを理解した上で、方向性を合わせて支援してくれる。だから、意思疎通がスムーズで助かっています。

山田 ありがとうございます。さらに広い領域を深くご支援できるように、我々も頑張ります。

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

ブラザー販売株式会社
マーケティング推進部OmniJoinG チーフ
原 敬三 氏

ブラザー販売株式会社

ブラザー販売株式会社は、1908年にミシンの修理業から始まったブラザーグループに所属する企業です。ブラザーグループの国内マーケティングを担う企業として営業活動や広報宣伝活動を行っており、ブラザー工業で製造した製品やサービスを広く市場に伝える役割を果たしています。

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