おととしの客が目覚めた!
Yahoo! DMPとWeb広告で休眠顧客を掘り起こし

スカイネット株式会社

「DMPを活用するにはコストがかかる」
「DMPを活用した取り組みは複雑で、自社では取り組めない」

市場からよく聞かれるこれらの声は本当でしょうか?ともかく、DMPの成功事例があまり世に出ていないのは確かでしょう。そんななか、Yahoo! DMPを活用して成果を上げている企業があります。カニの通販で有名なスカイネット株式会社です。
本事例では、同社のマーケティングを担当する和田氏にお話しを聞きながら、「成果につながるDMPの活用」について掘り下げていきます。

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-INTERVIEW-

和田 陽介 氏
スカイネット株式会社 専務取締役・店長

※部署名・役職は取材当時(2016年5月)のものです

「顕在顧客にしかリーチできない」ことから生まれる課題

スカイネットは、カニを中心とした海鮮食品やおせち料理などの季節商品を販売するECショップ「匠本舗」を運営しています。同社の繁忙期は、取り扱う商品の特性から冬のシーズン、特にお正月であり、この時期に今期の年商52億のうち約50億円が集中しています。そのため、この時期にどれだけ集客できるかということが同社の最重要課題のひとつとなっています。しかし、その生命線である集客のWeb広告には課題があったと和田さまは語ります。

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「当社のWeb広告の取り組みは、新規顧客の獲得が主目的です。なかでも、CPOを調整できる手法に偏っている傾向がありました。売上げの伸びに合わせて、Webによる新規顧客の獲得目標も年々上がってきています。その達成のためいろいろな手法に取り組んでいますが、成長全体を底支えするまでには至っておらず、手詰まり感がありました。
当社のWeb集客における課題は大きく3つあります。1つは、Web広告だけで新規顧客にリーチするには限界があること。2つめは、顕在顧客層にはリーチできているけれども、潜在見込客層のニーズを喚起できる取り組みができていないこと。3つめは、離れていった既存顧客層の購買行動を喚起できる手法が見つからないことでした。」

課題の根底にあるのは、『ニーズが顕在化した限定層にしかアプローチできていない』ことです。スカイネットが取り扱う生鮮食品などの商品は原価率が高く、さらに顧客獲得単価は高騰する傾向にあります。つまり、顧客獲得単価を抑えつつ、顕在層以外の「準顕在層」「潜在層」にリーチする新たな手法が求められていました。

リピーター率向上のためCRMへ

そこで着目したのが『顧客データ』です。一般的に『集客』というと新規顧客の獲得を連想しがちですが、今回のスカイネットのように購買が特定時期に年1回のようなケースの場合、『既存顧客層』にも『準顕在層』や『潜在層』は存在します。
それは、過去に購入したことはあるが今シーズンは購入していない客層、いわゆる『休眠顧客層』です。一般的に、新規顧客の獲得は既存顧客を維持するより5倍のコストがかかると言われています(1:5の法則)。つまり、新規顧客の獲得よりも既存顧客の維持の方が、利益率は高いということになります。

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「当初は、新規顧客が増えれば自然にリピーターも増えると思っていました。しかし、顧客の母数は限られていますし、思ったよりもリピーター率の維持が難しいこともわかりました。くわえて、Web広告による新規顧客獲得の費用対効果は下降傾向にあります。
そんななか、CRMを検討することで新規顧客獲得だけに依存しない売れる仕組みの必要性に気づかされました。例えば、リピーター率を1%上げるだけで売上げは大きく変わります。そこでCRMに取り組むことにしました。」

まずはリピーター率の向上を目的にCRMへ取り組みましたが、新たな課題が生じました。スカイネットの既存顧客へのWeb経由のアプローチは主にメールマガジンです。しかし、既存顧客全員がメールマガジンを購読しているわけではなく、そこから開封率なども含めて算出してみると、既存顧客の3%程度にしかリーチできていないことがわかりました。これでは目的の達成には難しいと感じたと、和田さまは語ります。

「ここ数年、顧客管理に取り組んできました。そこでさまざまな企画の立案し、いろいろなアプローチを実行しましたが、リピーター率の向上は会社の期待値までに至っていないのが現状です。新たな方法を模索していました。」

Yahoo! DMPを活用し休眠顧客層を掘り起こし

そこでシナジーマーケティングが提案したのがYahoo! DMPを活用した取り組みです。DMP(Data Management Platform)は、Webユーザーのデモグラフィック情報や外部オーディエンスデータなどを管理・分析・活用できるプラットフォームです。提案は、スカイネットの顧客データだけではなく、Yahoo! JAPANのオーディエンスデータを活用し、「枠」ではなく「ユーザー層」に対してWeb広告を配信することで『潜在見込客層』にアプローチする内容でした。提案内容を和田さまはこのように評します。

「DMPを活用することで、既存顧客層に対してメルマガやカタログ以外で情報を届けられる。はじめての提案に大きな可能性を感じました。また、当社の強みは顧客満足度が高いことです。顧客の声を反映した商品開発など、リピーターに手厚く対応することが経営方針でもありました。今回の提案を受けて、顧客のデータを見て、よりよいファンを増やしていくことで継続的な集客と売上につなげていく戦略を改めてイメージしていくことができました。」

今回の取り組みは、Yahoo! DMPとYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)を活用した『休眠顧客層』へのアプローチです。休眠顧客を、過去に購入したことはあるが今シーズンは未購入である既存顧客と定義し、その層に対してアプローチすることでリピート購買してもらうことを目的としています。
具体的な内容は以下のようなものです。まず、スカイネットが保有する購買データのうち「メールアドレス(ハッシュ化したもの)」「顧客ランク」「メールパーミッション」などのデータをYahoo! DMPを活用して分析します。そして、「顧客ランク」を用いて「休眠顧客層」をYahoo! DMPでセグメント作成し、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)による広告配信を行いました。

■Yahoo! DMPを活用したセグメント化とユーザー群への広告配信
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■作成した休眠顧客セグメント
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DMPを活用することで広告もCRMに活用できる

今回の取り組みの成果は上々です。顧客の平均獲得率3.4%、その獲得単価1394円と、目標としていた獲得単価1500円をクリアすることができ、休眠顧客層の掘り起こしに成功しました。
今回の取り組みを総括して、和田さまはこのように評しました。

「今回の取り組みで、CRMを意識した既存顧客データ活用について手ごたえを感じています。1件のコンバージョンを獲得するのにかかる費用と獲得単価が適正化され、獲得率が上がっています。
とくに、昨年の購入者よりも一昨年の購入者のリピート率がとても高いのには驚きました。

今回の取り組み内容とその結果から、昨年購入してくださった顧客をどう引き上げていくかについての新しい課題が明確になりました。あわせて、一昨年以前の休眠顧客層の購買を呼び戻すことできたことで、Yahoo! DMPを活用することでWeb広告もCRMに有効であることが分かりました。」

今回のスカイネットのDMP活用が成功したポイントは2つあることが読み取れます。それは、「低コスト」で「わかりやすい」企画で実行することです。今回の「休眠顧客層の掘り起こし」では、「既存顧客層を対象とするため媒体費用を最小限」にでき、「そこからどれだけの購買を生み出せたか」と指標が明確でわかりやすい企画でした。このことにより、さまざまなシーンで活用できるがゆえに複雑になりがちなDMPを、企業のゴールに沿った目的軸にそって活用することができたのです。
今回の取り組みを和田さまはこのように総括しました。

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「デジタルマーケティングの手法の変化は目まぐるしいものです。ですが、今回の提案と取り組みを通じて、小さなスケールから始めて成功を作り上げ、大きく広げていくことができると改めて感じたことに大きな意義がありました。
また、シナジーマーケティングも、当初から足を運んでもらってプロジェクトとして参画してくれたことでとても安心できました。ぜひ、今後とも質のいい提案をお願いします。」

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

スカイネット株式会社
専務取締役・店長
和田 陽介 氏

スカイネット株式会社

かに通販専門の「かに本舗」や、特産品を中心に取り扱う「匠本舗」などを運営。
商品の質へのこだわりはもとより、お客様の声を大切にする企業姿勢で高い評価を得ています。

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