「短期的な結果だけで良し悪しを判断しない」グローバル電子が、月4回のBtoBメール配信を続けるしくみ
メンバー紹介
- 課題
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グローバル電子が扱う電子部品やエンジニアリング製品は、種類が多く専門性も高いため、製品情報を並べるだけでは顧客に自分に関係のある情報として受け取ってもらいにくいという難しさがありました。
また、BtoB商材は、顧客が検討を始める時期を企業側から予測しにくいという特徴があります。ニーズが生まれるまで長期にわたって接点を維持する必要がある一方で、メール制作の主担当者は1名。継続的に配信するためには、企画と制作の両面で、無理なく回せるしくみが求められていました。
- 施策
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営業が把握した顧客課題と、プロダクトマーケティング部が持つ市場・製品情報を組み合わせ、「ハードウェアからソフトウェアの担当へ変わった人」など、具体的な読者を想定した連載コンテンツを企画しました。
Marcom部が年間の配信計画を管理し、連載記事、ホワイトペーパー、展示会、セミナーなどの情報を組み合わせて継続的に発信。メールの構成をテンプレート化し、HTMLエディタを活用することで、制作や表示確認にかかる負担も軽減しました。
配信頻度を月1〜2回から月4回へ増やし、資料ダウンロードや問い合わせが発生した際には、基本的に営業が初回接触を行う社内ルールも整えています。
- 得られた効果
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メールのデザインや構成をテンプレート化し、HTMLの表示崩れを確認する作業や、何度もテスト配信を繰り返す負担を軽減。主担当者1名、チーム全体3名という少人数の体制でも、月4回の継続配信が可能になりました。
特定の読者を想定した専門コンテンツを継続的に届けることで、顧客との情報接点を積み重ね、ニーズが高まったときにグローバル電子や取扱製品を思い出してもらうことを目指しています。

優れたメール施策を表彰する「メール大賞」において、「運用効率化できたで賞」を受賞したグローバル電子株式会社(以下、グローバル電子)。同社は、海外約60社のメーカーが提供するICやセンサーなどの電子部品を輸入・販売し、産業機器や医療機器をはじめとする日本のものづくりを支える電子部品商社です。近年は商社機能にとどまらず、アナログ技術とセンサー技術を軸にした自社製品の開発にも取り組んでいます。
同社がメールを届けているのは、電機メーカーなどで開発や設計に携わる多忙なエンジニアたち。専門性の高い連載記事やホワイトペーパーを軸に、なんと「月4回」という高頻度でのメール配信を続けています。
しかし、メール制作の実務を担う主担当者はたったの1名。専門的なコンテンツを途切れることなく届け続けるためには、担当者の気合や努力だけに依存しない「運用のしくみ」が必要不可欠でした。
ウェビナーで語られたグローバル電子の事例から見えてきたのは、単なる作業時間の短縮(時短)ではありません。顧客の需要がいつ立ち上がるかわからないBtoB市場において、決して顧客との接点を途切れさせないための、泥臭くも鮮やかな「継続のしくみづくり」でした。

目次
幅広い製品群から「誰に届けるか」を絞り込み、読者に“自分ごと”として読ませる連載企画
グローバル電子では、IC、センサー、電源、電池、機構部品など、数万点にも及ぶ多様な電子部品を取り扱っています。
しかし、発信できる製品情報が多いからといって、カタログのように製品スペックを順番に紹介するだけでは誰の目にも留まりません。どれほど優れた製品であっても、それを今必要としていない読者にとっては「自分に関係のない情報」としてスルーされてしまいます。
そこでグローバル電子が企画したのが、対象となる読者の解像度を極限まで高めた「連載型コンテンツ」でした。代表的なものが、「マイコン(MCU)システム開発 入門シリーズ」です。
ターゲットとして想定したのは、単なる「エンジニア」という広い層ではありません。
「これまでハードウェア開発を担当していたが、新たにソフトウェア開発も担当することになった人」
このように、読者が置かれている具体的な状況や悩みまで絞り込みます。
その人がこれから必要とする基礎知識を、1回の長いメールで詰め込むのではなく、連載として段階的に届けていくのです。
対象を絞り込めば、当然「すべての読者」には当てはまらなくなります。しかし、その状況で悩んでいるエンジニアにとっては、「これはまさに今の自分に必要な情報だ!」「次回も必ず読もう」と、強い“自分ごと”として受け取ってもらえます。
豊富な製品情報をそのまま発信するのではなく、特定の状況にいる顧客の文脈に合わせて「編集」し直す。これが同社のコンテンツづくりの基本姿勢です。
ニッチな連載は1人ではつくれない。営業と他部門を巻き込み、現場の課題をコンテンツ化する
とはいえ、これほど専門的でニッチな連載を継続するには、読者のリアルな悩みと、製品・市場に関する深い知識の両方が必要です。
そのすべてをメールの主担当者1人で集めようとすれば、あっという間にネタ切れを起こし、内容も担当者の知識の範囲に偏ってしまいます。
そこでグローバル電子では、コンテンツの企画と発信を、複数の部門で連携して行っています。中心となるのは、プロダクトマーケティング部、営業部門、そして野本氏が所属するMarcom部の3者です。
プロダクトマーケティング部
担当メーカーや市場の動向を把握し、製品の販促計画を立てます。製品・技術・市場に関する専門知識をもとに、連載記事やホワイトペーパーなどのコンテンツを企画・制作します。
営業部門
日々の顧客接点から、現場で起きている課題や質問、需要の変化を把握します。そこで得られた顧客の声を、コンテンツ企画の材料として共有します。
Marcom部
つくられたコンテンツを、どのチャネルで、いつ、どのように届けるかを設計します。メールだけでなく、Webサイト、広告なども含め、デジタル施策全体の成果を考えながら展開します。
野本氏はウェビナーの中で、「市場の動向や営業がお客様から吸い上げてきた課題感と合わせて、企画とコンテンツをつくっていく。私たちMarcomも早期から関わるようにしています」と語りました。
プロダクトマーケティング部だけで企画すれば、専門性は高くても「製品説明」に偏ってしまう。Marcom部だけでつくれば、わかりやすくても「現場の実態」から離れてしまう。
3部門の知識を掛け合わせることで初めて、「マイコンシステム開発入門」のような、現場に深く刺さるニッチな連載が生まれているのです。

毎回の「ネタ探し」から脱却。年間計画で全体を設計し、担当者の負担を減らす
BtoBメールの担当者が最も頭を悩ませるのが、「ネタ切れ」と「スケジュール管理」です。
配信日が近づくたびに「今週は何を送ろうか…」とゼロから考えていれば、担当者の負担は雪だるま式に増え、内容もその時々のキャンペーン情報などに偏ってしまいます。
この課題に対し、グローバル電子は「年間の配信計画」を立てることで解決しています。
連載記事やホワイトペーパーに加え、展示会、セミナーなどの予定もパズルの一片のように組み合わせ、どの時期に何を届けるかをMarcom部が統括して管理します。
連載コンテンツを持つことは、読者を楽しませるだけでなく「運用の型」としても非常に優秀です。毎回異なるテーマを一からひねり出す必要がなく、シリーズ全体の流れを先に設計してしまえば、「今回は第3回の内容を送る」と作業を分割できるからです。
顧客にとっては専門知識を段階的に学べるメリットがあり、企業にとっては複数回の接点を計画的に、かつ低カロリーでつくれるメリットがあります。
HTMLの崩れに怯える日々からの解放。エディタ導入が軽減したのは「精神的負担」だった
現在、グローバル電子のメールは、主担当の野本氏1名、チーム全体では3名という少人数体制で「月4回」も配信されています。以前は月1〜2回だった頻度を倍増させた裏には、「徹底した省力化」がありました。
メールごとに凝ったデザインを一からつくり込むのではなく、レイアウトをシンプルに保ち、構成を「テンプレート化」したのです。
さらに効果絶大だったのが、Synergy!に搭載されている「HTMLエディタ」の活用です。かつて野本氏は、メールを作成するたびにコードをいじり、表示崩れがないか何度もテスト配信を繰り返していました。
「1回1回チェックをしたり、テストを何回もしたり、HTMLの崩れを気にして、結構、神経を使ってつくっていたのですが、HTMLエディタをご紹介いただいてから、そういった精神的負担というのは随分軽減されたので、非常に私の業務をアシストしていただいています」(野本氏)
運用効率化というと、つい「作業時間を何分短縮できたか」という話になりがちです。しかし、継続的な運用において本当に担当者を苦しめるのは、「今回も表示が崩れていないか」「配信後にミスが見つからないか」という、毎回の小さな不安やストレスです。
ツールに任せられる工程を思い切って任せ、担当者が本来考えるべき「企画」や「届け方」に集中できる状態をつくる。これこそが、月4回の継続配信を可能にする真の効率化でした。

BtoB需要は「育成」ではなく突然跳ね上がる。その瞬間に思い出してもらうための継続接点
一般的なマーケティングでは、顧客の関心が少しずつ高まり、階段を登るように比較・検討へ進む「ナーチャリング(育成)」の姿が描かれます。
しかし、グローバル電子が扱うBtoB商材では、必ずしもそのセオリー通りには進みません。
顧客企業の事業方針の変更、使用部品の生産終了、市場環境の変化などによって、ある日突然、強烈なニーズが立ち上がることが多いのです。
野本氏も、段階的に育成していくアプローチだけでは自社のビジネスに合わないと感じていたと言います。
「外的要因ですとか環境の変化等で急激にニーズが上がったりっていうようなことも多く、いわゆるナーチャリングをしていく、育成していくっていうようなアプローチがあまり見合わないなと思いながらやっていました。
その中で、お客様のニーズが高まったときに『そういえばグローバル電子さんから情報が届いていたな』っていうタイミングをいち早くキャッチする。それがメルマガの目的だと意識を置いています」(野本氏)
月1〜2回だった配信を月4回へ増やした最大の理由も、ここにあります。
一度のメールですぐに買ってもらうのではなく、定期的に役立つ情報を届け、「グローバル電子」という名前を顧客の記憶のレイヤーに重ねていく。そして、いざ需要が爆発した瞬間に、真っ先に相談される「第一想起」のポジションを獲得することを目指しているのです。

ダウンロードされたら必ず営業が動く。配信して終わりではなく、初動をルール化する
もちろん、ただ情報を送り続けているだけでは、顧客のニーズが高まった瞬間を取りこぼしてしまいます。
グローバル電子では、メール経由での「資料ダウンロード」や「問い合わせ」を明確なコンバージョン(KPI)として設定しています。
そして、これらが発生した際は、情報が関係者全員に共有され、基本的には営業担当者が必ずファーストコンタクト(初回接触)を取るという社内ルールを敷いています。
継続配信は、メールを送ること自体がゴールではありません。顧客の行動に変化が起きたときに、次の担当者(営業)がすかさず動けるしくみとセットになって初めて、事業活動として機能するのです。
「Web担当が何かやってる」とは思わせない。成果を数字で共有し、社内を“自分ごと”に巻き込む
メールやWebの施策は、ともすれば「デジタル部門だけが勝手にやっている活動」だと思われがちです。プロダクトマーケティング部や営業部門から継続的に協力してもらうためには、ただ「原稿をください」とお願いするだけでは動きません。
そこで野本氏が強く意識しているのが、施策の効果を「数字」で他部門へ共有することです。
数字は、施策の良し悪しをジャッジするためだけのものではありません。他部門の協力を引き出し、デジタル施策を全社の共通課題として捉えてもらうための、有効なコミュニケーション言語になっています。
短期的な結果だけで良し悪しを判断しない。BtoBメールの真の目的は、長期的な接点を守り抜くこと
ウェビナーの終盤、「読者と向き合ううえで、これだけは絶対しないと決めていることは?」と尋ねられた野本氏は、次のように答えました。
「施策やコンテンツを短期的な結果だけで良し悪しを判断しない、ということは心がけております。1回のクリック率や開封率ですとか、そういったことで判断はせず、長期的な視点でコンテンツを考えて、接点というレイヤーをどんどん重ねていくといった継続的な施策が重要だと思っております」(野本氏)
BtoB商材では、メールを1通送ったからといって、明日すぐに数千万円の売上が立つわけではありません。数字としてわかりやすい成果が出ない期間が長く続くこともあります。
もし、1回の開封率だけを見て「この企画はダメだ」とすぐにやめてしまえば、顧客の記憶に残る前にせっかくの接点が途切れてしまいます。
ひとつひとつの作業を効率化し、担当者が無理なく続けられる状態をつくる。そして、短期的な数字のアップダウンに一喜一憂せず、長期的な顧客接点を泥臭く守り抜く。
その途切れない接点の積み重ねこそが、顧客のニーズが突然跳ね上がった瞬間に、自社を選んでもらうための最大の武器になります。グローバル電子の月4回のメール配信には、長期的な接点を守り抜くための現場のリアルな工夫が詰まっていました。
「メール大賞」特別ウェビナーを開催しました
「メール大賞」の受賞企業をゲストに迎え、成果につながるメール施策の考え方や、企画・運用の裏側を伺う特別ウェビナーを開催しました。
本記事は、グローバル電子株式会社 経営企画室 Marcom部 専門次長の野本花枝氏にご登壇いただいたウェビナーの内容と講演資料をもとに再構成しています。

写真左から
野本 花枝 氏
グローバル電子株式会社 経営企画室 Marcom部 専門次長
千田 麻衣 氏
株式会社モリタ マーケティング部 アシスタントリーダー
和田 直之
シナジーマーケティング株式会社 マーケティングプロデューサー
※部署名・役職、運用体制、配信内容などは、取材・講演当時のものです。
「メール大賞」で「わかりやすさ賞」を受賞した株式会社モリタは、専門情報を顧客の疑問へ変換し、メール、Web、中間CV、顧客フォロー、営業連携までを1つの流れとして設計しています。
モリタのBtoBメールマーケティング事例も、あわせてご覧ください。
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。