インサイドセールス立ち上げを機に、散在していた顧客情報をSalesforceに集約。
Salesforceと連携したツールだからできるリードナーチャリングと営業連携

株式会社パーソル総合研究所

のべ21,000社の企業向けに営業力強化・人材育成・組織開発などのコンサルティングや研修を提供してきた株式会社パーソル総合研究所は、2017年からWebマーケティングを強化して安定的にリードを獲得していました。一方で獲得したリードに対して継続的にアプローチできる体制がなかったため、2019年にインサイドセールスを構築します。

しかし、社内のデータが散在していたためリードナーチャリング活動ができず、営業との情報共有においても煩雑な作業が発生していました。その課題解決のために、Salesforceを基盤とした顧客情報の統合とSynergy!LEAD導入を決断。全社で共有できる顧客データベースの構築とリードナーチャリング活動による案件創出を実現します。

今回は、運用に最適なSalesforceの環境を2ヶ月で構築し、テスト施策も実施するなど丁寧なステップを経て進めてきた本プロジェクトについて、弊社担当を交えて株式会社パーソル総合研究所の中村様にお話を伺いました。

インタビュー参加者写真

写真左より

和田 慎太郎
シナジーマーケティング株式会社 クラウド事業部 カスタマーサクセスグループ

中村 舞衣子 氏
株式会社パーソル総合研究所 ラーニング事業本部 事業推進部 インサイドセールスグループ 兼 広報宣伝グループ

※部署名・役職は取材当時(2020年10月)のものです

獲得したリードに継続的なアプローチをすべく、インサイドセールスを構築

― 貴社において、マーケティングや営業面で課題だったことを教えてください。

中村様 弊社では2017年からWebマーケティングを強化して、安定的にリードを獲得できていました。資料ダウンロードや問い合わせがあったら営業に連携して対応を依頼するのですが、当然アポイントを取って商談が進むケースとまだ情報収集の段階で訪問に至らないケースがあります。後者のお客様には営業が資料を一度送付しただけで、再度のアプローチができていないという状態でした。

マーケティング部は「せっかく獲得したリードだから継続してアプローチしてほしい」と思う一方で、営業側からはリードに効率的に対応できるフローの構築が求められていました。弊社には長く継続的にお取り引きいただいているお客様も多く、営業は既存顧客への対応で手一杯になってしまい、新しいお客様のフォローに十分には手が回っていなかったからです。

― その課題を、どのように解決しようとしたのですか?

中村様 最初は営業代行の企業様に手伝ってもらって、リードの検討段階に応じてアポイントを取ってもらおうとしました。ただ、彼らにとってはアポイントの獲得がミッションになるため、「商談の設定までは確かに効率的になったけれど、訪問してみるとまだ情報収集段階だった」「電話で済ませられる内容だった」という状況は変わらずでした。抜本的に改善するためには、マーケティングとセールスを繋ぐ組織を作るべきだということで、2019年8月にインサイドセールスのグループを立ち上げたのです。

課題と解決について語る中村様

散在した顧客情報を一元管理する基盤とナーチャリングのためのツールが必要だった

― インサイドセールス立ち上げにあたって、どんなことが課題となりましたか?

中村様 顧客情報を管理する基盤をどうするかということです。Salesforceは導入していたものの、用途は営業の売上や活動管理が中心で、取引先担当者や接点のあるリードの名刺は営業担当がそれぞれ管理していました。また、資料ダウンロードや問い合わせをしていただいたリードデータは、マーケティング部で運用していた別ツールで管理しており、顧客情報が社内に散在してしまっていたのです。

― そうした状態だと、さまざまなお困りごとが起こると予想できます。

中村様 たとえば、営業に対応依頼したリードの状況を知ることが大変でした。Excelに表を作って、月末になると営業に進捗状況を都度確認してレポーティングする手間が発生していました。また、以前は情報収集のみだったお客様や営業が提案に行ったけれど当時は時期尚早だったお客様に対して、ナーチャリング活動を行うこともできません。こうした課題を解決するためにも、お客様の情報を一元管理し、インサイドセールスからリードにアプローチできるツールを導入しようと決めたのです。

決め手はSalesforceと連携したツールであることと、「自社で使うイメージが湧いたこと」

― どのような軸で導入ツールを選定していきましたか?

中村様 すでに導入済みのSalesforceを基盤として顧客情報の管理や案件管理を行いつつ、リードにアプローチをしたいと思っていたので、マスト条件はSalesforceと連携したマーケティングシステムということでした。

― いくつかの候補製品の中から、Synergy!LEADを選定されたのはどうしてですか?

中村様 自社で活用している姿が具体的にイメージできたからです。当時説明に来てくれたシナジーマーケティングの営業担当者が、シナジーマーケティング社内でのSalesforceとSynergy!LEAD活用例の画面を見せながら教えてくれました。過去、私は勉強のために何度かシナジーマーケティングのコンテンツをダウンロードさせていただいたので、データベースには中村のレコードが複数あるはずなのですが、名寄せして一つにまとめられていて感動しました。シナジーマーケティングのインサイドセールスの取り組みも聞いて、「私たちもこんなことをやりたい」「こんな状態を目指したい」と思えたので、Synergy!LEADを導入しようと決めました。

― インサイドセールスの他のメンバーも同じ意見でしたか?

中村様 いえ、他のメンバーはより多機能なMAツールを推していました。確かに世の中に出ている成功事例を見ているとそれらも魅力的に映りましたが、弊社はまだ「顧客情報を一元化しましょう」という段階です。保有しているリード数も多くはありません。それに、最初から大掛かりなツールを導入してしまうと柔軟な変更が利かなくなってしまうので、「まずは自分たちのフェーズに合ったツールを導入してできる施策から行い、手応えを掴んでいくべきだ」と説得しました。

和田 すでにマーケティングの施策をいろいろと試し、勝ちパターンが見えている企業様は高度なMAツールを導入して施策を自動化していくべきです。一方で、これからリードナーチャリングを始められる企業様には、一般的なMAツールに比べると機能がシンプルなSynergy!LEADがおすすめなので、パーソル総合研究所様には最適だったと思います。

企業の状態に応じたツールの選定について語る和田

2ヶ月で自社の運用に沿ったデータベースを構築。テスト施策で案件創出・受注に成功

― 導入後はどのようにしてシステム整備を進めていきましたか?

和田 リードナーチャリングを行うにも、まずはデータベースの構築と整備が必要なので、Salesforceの基盤構築から行いました。パーソル総合研究所様のSalesforceの使い方は少し特殊だったため、「Salesforceが推奨する標準の使い方に戻していきましょう。そうすれば、Synergy!LEADのすべての機能を利用できるようになります」とお伝えしながら変更していきました。

中村様 最初はSalesforce独特の用語にも慣れずつまずいてしまったのですが、和田さんが何度も丁寧に概念を教えてくださって助かりました。また、弊社はイベントやセミナーの数が多いため200本ほどフォームがあるのですが、すべてSynergy!LEADのフォームに移行して、データがSalesforceに集約される環境を作りました。フォーム作成時も、Synergy!LEADの標準機能でできること、できないことを和田さんが切り分けてくださったので、できないことはWeb制作会社の力も借りながら進めることができたのです。

こうした準備に2ヶ月間を要し、私以外に弊社の別部署のメンバー、ITインフラ運用を委託している企業、Web制作会社など関係者が多いプロジェクトだったのですが、和田さんが毎回、どうすれば私たちが目指す運用が実現できるのかを考えてプロジェクトを進行してくださったおかげで、スムーズに準備を進めることができました。

パーソル総合研究所様の運用の概要図

― 基盤ができてからは、どんなマーケティング施策を行いましたか?

中村様 本格的な運用開始は2020年4月からでしたが、先んじて1~3月にテスト施策を行いました。中でも成果があがったのは、私信メール施策です。特定の商材を紹介する目的で、購買プロセスごとのお客様の心境を想像しながらコンテンツを制作して、接点のある営業担当者名を差出人名に含めたメールを送りました。結果は、クリック率が平均30%ほどで、過去に接点のあったお客様から「いい情報をありがとう」「もう少し話を聞きたい」といった返信をいただきました。メールをきっかけとした相談から受注も生まれたので、やってみて良かったと思います。

― 成果が出た施策は、4月からの本稼働以降も継続されていますか?

中村様 テスト施策の時期は一部の営業メンバーだけを巻き込んでいたのですが、今はさらに多くのメンバーに協力してもらって行っています。もちろん、施策を行うためには、営業が各自で持っていた名刺をデータ化してもらい、メール送信許可を得る必要があります。営業にとっては「接点のあるお客様に勝手にメールを送られるのは不安」という気持ちもあったと思いますが、テスト施策で相談や受注が生まれたことを伝えると、協力をしてくれるようになりました。現在のインサイドセールスグループのマネージャーは営業部でトップセールスだった者が務めており、彼が営業メンバーにしっかりと施策の意図などを説明してくれることで、協力体制ができ上がってきているように感じます。

アプローチ可能なリード数が10倍に。営業との協力体制も築けてきた

― SalesforceとSynergy!LEADの本格運用を初めて半年ほどですが、どのような成果が生まれましたか?

中村様 まず、アプローチできるリードの数が約10倍に増えました。これは、営業が名刺の電子化に協力してくれたことが一つ。そして顧客データの管理基盤ができたことで、他社と共催セミナーを開催するなど新たな施策にチャレンジできているからです。全社で顧客情報を共有できる顧客データベース基盤を作った活動は社内でも評価されて、社長賞も受賞しました。

運用が効率化されたところも多々あります。たとえばセミナーの申込者管理をとっても、以前は営業から「担当しているお客様はセミナーに申し込んでいるか」と聞かれるたびに都度確認して申し込み状況を伝えていました。しかしSalesforceならセミナー参加者レポートが簡単に作成・共有できるので、営業がいつ・どこからでもお客様のセミナー参加状況を確認できるようになりました。

リード獲得数の増加と運用の効率化という成果について語る中村様

― 営業との連携もうまくできているようですね。

中村様 弊社はソリューションが幅広く、これまでは問い合わせが来てもどのソリューションに興味を持っているのかがわからないまま、営業に対応を依頼していました。しかし、Synergy!LEADのトラッキング機能を使えば、お客様がどのページを閲覧して問い合わせをしているのかを知ることができます。そのため、「おそらく、このテーマに興味がありそうです」という仮説とともに営業に対応を依頼できるようになりました。営業とのコミュニケーション量も必然的に多くなり、徐々に「こんな情報を見るにはどうすればいい?」といった相談が増えたり、私たちが送っているメールのコンテンツを真似して能動的にメールマーケティングを始めるセールスも出てきたりと、嬉しい効果も生まれています。

― 支援をされてきた和田さんから見て、パーソル総合研究所様が成果を出せている理由はどんなところにあると感じますか?

和田 本プロジェクトの旗振り役となった、中村さんがいたからこそではないでしょうか。中村さんのような先頭に立てる方がいない企業では、導入を諦めてしまったり、導入したものの定着しなかったりといったことが起こってしまいます。どんなに大変でも諦めず、目指す理想像に向けて、社内外のハブとなり取り組みを続けてこられた姿勢が素晴らしいと思います。

プロジェクトの旗振り役の重要性について語る和田

インサイドセールス発の施策で質の高い案件を創出したい

― インサイドセールスとしての今後の展望を教えてください。

中村様 リードにアプローチを行い、問い合わせ数を増やすことは引き続き重要なミッションです。一方で、弊社は少数精鋭の企業であるため、できるだけ検討度合いの高いお客様や弊社のソリューションと相性の良いお客様を営業に引き渡すという、質の部分も大切になります。そのためにも、営業戦略に沿って重点的にアプローチしたいお客様層を決め、お客様の課題解決にお役に立つコンテンツ制作に力を入れていきたいと思っています。

― 最後に、本プロジェクトを支援してきたシナジーマーケティングへの感想や要望を教えてください。

中村様 和田さんは多くの企業様をサポートされているはずなのに、稼働準備期間中はかなり多くの時間を私たちのために割いてくださりました。弊社のシステムの状況や社内体制を深く理解して、いつも細やかなフォローをしてくださって助かっています。Synergy!LEADは、Salesforceと密接に繋がっているので、営業戦略におけるSalesforceの活用と、Salesforceの理解がないと十分活かしきれません。カスタマージャーニーに沿ってマーケティングと営業が一つのパイプラインとして連動して施策を考えられるよう、仕組みから支えていきたいと思っています。まだまだ始まったばかりの取り組みなので、これまでと変わらずご相談させていただけると嬉しいです。

和田 ぜひ、今後も頻繁に連絡してくださると嬉しいです。パーソル総合研究所様の現状や今の課題、今後目指していることをたくさん教えていただけるほど、貴社に最適な提案を差し上げることができるので。また、中村さんからいろいろなお話を聞かせていただくことで、私自身も企業様のマーケティング支援に携わる者として気付きや学びを得られるからです。引き続きよろしくお願いします。

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

株式会社パーソル総合研究所
ラーニング事業本部 事業推進部 インサイドセールスグループ 兼 広報宣伝グループ
中村 舞衣子 氏

株式会社パーソル総合研究所

株式会社パーソル総合研究所は、1989年に富士ゼロックスの教育事業部から発足した富士ゼロックス総合教育研究所として設立。30年以上も法人向けに人事・組織面のコンサルティングや研修を行っています。テーマは営業力強化・人材育成・組織開発・制度設計などさまざまで、取引社数はのべ21,000社にも及びます。2019年8月からは人材派遣や人材紹介を中核としながら、組織・人事コンサルティング、教育研修に至るまで、幅広く総合人材サービスを提供しているパーソルグループの一員となりました。

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