ペルソナがプロジェクト推進を支える共通認識に
竹中工務店のメールマガジン発刊プロジェクト

株式会社竹中工務店

この事例のPOINT

  • メールマーケティングを進める際、壁になるのは『担当者間の認識のずれ』だった
  • 大事なのは「5W1H」、特に「メルマガを届けたい、ただ一人(Who)」を決めること
  • 「ただ一人」(ペルソナ)を作成したことで、関係者間で共通認識ができた

株式会社竹中工務店は、これまで東京タワーやあべのハルカスなど、日本の誰もが知る建築作品の設計・施工を多く手掛けてきましたが、技術力ブランドの対外的な訴求力が弱いことに課題を感じていました。

そこで、得意先や学識者などに積極的に情報を発信するために、部署を跨いだプロジェクトを立ち上げて2015年4月からメールマガジンを刊行しています。これまでに4通を配信し、開封率30%、クリック率15%前後と順調な結果が出ていますが、決してここまでスムーズに進んだわけではありません。特に、メールマーケティングを考える上で核となるペルソナ設計に関しては、長い時間を掛け、作り直しを経てようやく決定しました。

今回は、ペルソナ設計やメールライティングのアドバイザーを努めている弊社担当を交えて、竹中工務店様にプロジェクトのエピソードを伺いました。

pic_showcase_takenaka_01

写真右より

株式会社竹中工務店
 広報部 筒井 千尋 氏
 設計本部企画部 部長 鹿島 孝 氏
 広報部 部長 樫村 俊也 氏
 技術本部技術企画部 部長 遠山 幸太郎 氏
 広報部 副部長 武藤 浩 氏
 技術本部技術企画部 副部長 春日 康博 氏

シナジーマーケティング株式会社
 分析ライティンググループ 小川 加奈子
 東日本事業部カスタマーサクセスグループ 稲垣 康輔

※部署名・役職は取材当時(2015年10月)のものです

社内でお手上げのメールライティング、求めたのはノウハウを教えてくれる存在

稲垣 振り返ってみると、最初にご相談をいただいたのが2014年7月でした。あらためて、ご相談の背景を教えていただけますか?

遠山氏 はい。当時、竹中工務店の技術力をもっと広めていくべきだ、という気運が会社全体にありました。というのも、これまで外部に対する情報発信が不足していたせいか、弊社が設計・施工を手掛けたことを認知されていない建築作品が多くあったためです。
プロモーションに力を入れている同業他社と比較されたときに弊社を選んでいただくためには、より積極的・継続的に作品のみならず竹中工務店の技術力を伝える仕掛けを作る必要性があると感じました。
そこで、過去に名刺交換をおこなった得意先や学識者などに向けたメールマガジンを発刊することになりました。

稲垣 メールマガジン発刊を決めてからの動き出しはスムーズにいきましたか?

遠山氏 システムは、しっかりとしたセキュリティ体制の元で個人情報を管理できるものを導入すべきだと感じていたので情報収集は進めていたのですが、何より壁となったのがコンテンツ作成でした。
これまでメールマガジンを送ったことがなく、メンバーは皆メールマーケティングの初心者であるため、どんな内容のメールを書くべきか、何に気を付けて書くべきか、メールマガジンとしてのメールマナーとは何かがまったくわからず、社内ではお手上げ状態でした。ですので、システムとコンサルティング両面での支援を提案いただいたシナジーマーケティングのお力を借りることにしました。

稲垣 提案の中でも、「ライティングのノウハウや考え方をお伝えして、最終的には御社の中だけで業務が回せるような体制を作るご支援をさせていただきたい」というメッセージには特に共感していただけましたよね。

樫村氏 シナジーマーケティングに任せっぱなしの状態になっては、社内にスキルも溜まらずよくないので、ライティングは自分たちでおこなう必要性を感じていました。そのため、今回の提案はありがたかったです。

小川 私としても、書いて納品すること以上に、自分がノウハウを提供して、世の中に書ける人が増えることにとても価値があると思っていたので、アドバイザーという立場でご支援できてうれしかったです。

pic_showcase_takenaka_02


「ただ1人を決めることは、その他大勢を捨てること?」ペルソナ作成までの葛藤

小川 まず、基本の考え方である5W1Hについてひとつずつ決めていきました。そして、その中でも一番肝になる「誰に」を決めるために「ペルソナを作りましょう」と提案しました。そのときはどう思われましたか?

武藤氏 正直言って、最初は戸惑いました。ペルソナは具体的にターゲットを1人だけ決めて、その人がどんな人であるかをさまざまな側面から掘り下げていくものです。だからこそ、ペルソナを意識して書くと、その人以外の大勢には響かないメールになり、もともと持っていた「できるだけ多くの人に伝える」という思いが実現できなくなるのではと懸念していました。

鹿島氏 私も、細かくペルソナを決めたところで合致する人は数人しかいないから、あまり意味が無いのではないかと思っていました。

小川 そのときに、「特定の人を思い描いて、その人に思いを伝えるのがラブレターです。万人を意識して文章を作っても、曖昧な文面になってしまって誰にも響かないメールになってしまいますよ。」とお話をさせていただきました。

pic_showcase_takenaka_03

武藤氏 はい。それを聞いてすごく納得しました。「幅広く届けるために」と思いペルソナを曖昧なままにすることが、実は相手の気持ちを考えずに、自分たちが伝えたいことだけを詰め込んだ発信をすることに繋がっていたのではないかと思い、反省しました。
とはいえ、ペルソナ設定はやはり大変で、決めるまでには相当な時間が掛かりました。

鹿島氏 かなり細部まで決めていきましたからね。どんな企業に勤めているのか、メーカー勤務といっても何を製造しているメーカーにお勤めなのか、文系なのか理系なのか・・・・・・それらに対して皆で意見を出し、一個一個決めていく作業は大変でした。

小川 皆さんに「ここまで決める必要あります?」と言われては、「あります!決めてください!間違ってもいいから、全員で共通認識を作ることが大切なんです!」と何度もお伝えしましたよね。皆さんで意見を出し合った結果、まずは「斉藤さん」というペルソナができました。

遠山氏 はい。課長やプロジェクトマネージャーを務めるような「斉藤さん」という方をペルソナとして、どのように情報収集をしているか、仕事に対しての心構えはどうか、竹中工務店に対してはどんな印象を持っているのか、など「斉藤さん」の人物像を推測しながら細かく洗い出していきました。

pic_showcase_takenaka_04

「うちのペルソナはこの人じゃない!」違和感からペルソナを見直すことに

稲垣 ただ、話し合いを進めていくうちに、皆さんの中で違和感が生まれてきましたよね?

遠山氏 そうなんです。メンバーから少しずつ「『斉藤さん』は忙しすぎてマメにメールをチェックしないのでは?」といった声が上がり、弊社のメールマガジンのペルソナは「斉藤さんではないね」となりました。
ではどんな人だろう?と皆で頭を捻っているときに、営業から「『斉藤さん』に対して情報を提供する、『斉藤さん』の右腕のような人こそがキーマンなのではないか」と意見が挙がり、ここから新しい「加藤さん」というペルソナが生まれました。

pic_showcase_takenaka_05

小川 意見をくれた営業担当者は、打ち合わせに同席してくださったものの、最初は遠慮がちに参加されていましたよね。でもそこで私が、「普段一番近くでお客様に接している営業さんの意見がとても大事だと思います。ぜひお聞かせください」と言い、前に来て話してもらいました。

遠山氏 そうでしたね。実際にお客様と会っている営業でないと、どういった方が打ち合わせに参加され、キーマンとなるのか、なかなか把握できません。技術系部門出身の者だけで話し合っていたら出てこなかった考えでした。

小川 こういったペルソナの設定では特に、現場を知っている方の意見を取り入れることが大事ですからね。「現場を知っている」という部分と少し似たところでは、ペルソナに近い方の意見を聞くことも重要です。
御社の場合、筒井さんの質問はいつも核心を突いていて、皆様に気付きを与えている印象があります。私もときどきドキッとさせられます。

筒井氏 私は、プロジェクトメンバーの中で数少ない技術系部門以外の出身なので、「加藤さん」に近い立場だと思っています。だから「専門知識を持っていない人が読んだときに理解できるか」という目線で原稿を作り、チェックしていますし、私が難しいと思ったことははっきりメンバーに伝えて書き換えてもらっています。

春日氏 筒井は、社内の「加藤さん」的存在です。彼が理解してくれるかどうかが、メルマガに合格点を出すための重要な基準のひとつになっている気がします。

pic_showcase_takenaka_06

困ったときには原点回帰、「加藤さんはどう思うだろう?」

小川 ミーティング中に皆様から「この伝え方で『加藤さん』に響くのだろうか?」と名前が出てくる様子を見て、ペルソナが浸透していると感じました。実際にペルソナを決めてみて、いかがでしたか?

武藤氏 ペルソナを決めたことで、迷ったときに「加藤さんはどう思うかな?」と立ち返ることができています。この芯がブレなくなったのは、我々にとって財産ですね。

小川 多くの企業様は、よく「うちのターゲット」とか「読者は」と言いますが、その言葉に対して持っているイメージは一人ひとり異なるのが実情です。だからこそ、名前を付けて、細かい設定も決めて、皆が共通認識として思い浮かべられる1人のペルソナを決めることは大切ですよね。

鹿島氏 ペルソナが共通認識となり、プロジェクト推進を大きく助けてくれたように感じます。皆で話し合ってペルソナを決めることは、メールマーケティングの中でターゲティングが重要だからという意味合いだけでなく、プロジェクトメンバーが同じ方向を向いて進んでいくためにも必要なのだと気付かされました。

武藤氏 あらかじめ「このままじゃいけない」「今のやり方を変えなければいけない」という危機感をメンバーの中で共有できていたことも大きかったと思います。だからこそ、諦めずにペルソナを決められたし、メールマガジンの文章を作成する上でも、何度も赤を入れられながらわかりやすい文章になるような工夫をし続けられているのだと思います。

小川 そうした意識を共有できているからこそ、こちらが厳しいアドバイスや要求をお伝えしてもいつも素直に受け止めて早速実践してくださっているんですね。

武藤氏 はい。今後も、小川さんには歯に衣着せずフィードバックやご意見をいただきながら、次は設定したペルソナが正しいのかを検証していきたいですね。実際にどんな方がメルマガを見てくれていて、どんな気持ちでメルマガを受け取られているのかは知りたいところです。

小川 ぜひ、ペルソナの検証を進めていきましょう。メール以外の発信手段にも応用していただけるように、これからも自分が持っている考え方をすべて御社に提供するつもりでお手伝いをしていきますので、これからもよろしくお願いします!

この事例でご利用いただいているSynergy!の機能や料金の資料をダウンロード

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

株式会社竹中工務店 広報部 部長
樫村 俊也 様

株式会社竹中工務店

株式会社竹中工務店は、「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」を経営理念に掲げる大手総合建設会社です。
企画・設計から施工、維持にいたるまで建築工程のすべてを担う「設計施工維持一貫」体制を敷き、最良の品質を追求しています。代表的な建築作品には、東京タワーやあべのハルカスがあります。

メールマーケティングやWeb広告施策など、CRM活動をトータルにご支援した弊社事例の2015年度版。5事例を掲載。