「ワークショップ型戦略策定プログラム」で組織全体のマーケティング効果を最大化へ
~マーケティング戦略の浸透と共通認識を生むワークショップの取り組み事例~

株式会社生活総合サービス

「メンバー全員で、現状の課題や、目指すべき方向性に共通認識を持つことができている」
こう自信を持って言い切れる組織は決して多くありません。共通認識を持てていないと、下記の課題が生まれます。

【リーダー目線】
・チームで目指したい方向性がメンバーに浸透していないため、実施している施策に一貫性が無い
・メンバーが受け身でしか動けず、リーダーの指示待ちになっている

【メンバー目線】
・チームが目指す先と、同じ方向を向けているかがわからず、何を優先して取り組むべきか判断できない
・自分の担当領域が全体の中でどういった役割か、イメージが湧かない

このようにチーム全員で合意形成ができていないと「一貫性のある戦略的取り組みとならず、メンバーは主体的に動きづらい状態となり、施策をスピーディーに行うことができない」という状況に陥ります。

シナジーマーケティングでは、上記で挙げたようなマーケティング組織によくある課題「戦略立案とその組織浸透」を並行して解決する「ワークショップ型戦略策定プログラム」(以下 プログラム)の提供をはじめました。社内の誰もが向き合うべき「顧客」を軸に戦略化と戦略理解を深め可視化することで、チーム内での共通認識を醸成します。

今回は、そのプログラムを活用して共通認識の確立に取り組んだ、「ていねい通販」を運営する生活総合サービスの戸田様と池田様にインタビューを行い、どんな課題意識をお持ちであったか、どのようにサービスを利用して共通認識を作り上げていったのかについて紐解いていきます。

▼写真左より

戸田 良輝 氏
株式会社生活総合サービス 経理管理部 リーダー ブランド企画部 リーダー

池田 実由 氏
株式会社生活総合サービス ブランド企画部 ソーシャルコミュニケーション プロデューサー

樽井 みずき
シナジーマーケティング株式会社 デジタルマーケティング事業部 ソリューション営業G マネージャー

多々良 史弥
シナジーマーケティング株式会社 デジタルマーケティング事業部 ソリューション営業G マーケティングコンサルタント

※部署名・役職は取材当時(2021年8月)のものです

多くの施策に取り組むほど、ブランドとしての一貫性が伝わりづらくなっていた

看板商品である『すっぽん小町』で有名な、通販ブランド「ていねい通販」。「効率よりもやさしさを優先しよう」をポリシーに掲げるなど、こだわりを持ってお客様との関係作りに注力されてきました。

そのていねい通販のマーケティングやCRMを担当するブランド企画部は、統括をする戸田氏を含めて10名です。

手厚い体制を敷いていながら、施策運営や制作の内製化は3割ほどで、さまざまな外部のビジネスパートナーと連携して仕事を進めています。
(※シナジーマーケティングの過去ご支援実績はコチラ

あえてビジネスパートナーと連携するのは、どうしてなのでしょうか。

戸田氏 私たちはコンテンツ作りに関してはプロではありませんし、そこに費やしてきた時間も多くはありません。だからといってプロレベルに磨くのではなく、おもいっきり頼っていけばいいと思っています。私たちには私たちにしかできないことがあるからです。それは「濃い原液」を作ること。お客様への想いや商品への想いは自分たちが一番強くなければいけません。その想いを磨くことこそが私たちの役割だと考えています。

池田氏 例えばWebサイトのデザインは、無理に内製するより、「こんな考えで施策を行っている」「お客様とこういった関係性を築きたい」といった私たちの想いをお伝えしたうえでビジネスパートナーと組む方が、良いアウトプットが出せる実感があります。

こうしたスタンスで、たくさんの施策を実施してきた結果、1つ1つの施策はクオリティが高いものになりました。一方、施策が増えるにつれ、社内外から「なぜこの施策をするのですか?」「何を目指しているのですか?」と聞かれる機会も増え、ブランドとしての一貫性が伝わらないという課題も出てきていたのです。

戸田氏 施策が多く走るほど、僕の考えがメンバーに伝わり切っていないのではという危機感がありました。

一方、現場側も同様の課題意識を感じていました。

池田氏 分業制が進んでおり個人で業務を行う機会が多いため、自分の仕事と他のメンバーの仕事がどう繋がるのか曖昧だったり、個人の「今これをやるべきだ」という想いが先行して着手するような施策もあったりといった課題がありました。

樽井 各施策について、本来の目的やブランドとして大切にしたい想いを見失ったりすると、現場のメンバーは納得感や今やっていることが正しいのかという不安を持って業務に取り組むこととなります。こうした課題は、多くの企業に共通するものです。例えば「ブランドを育てていきたい」といった目的があるにも関わらず、集客施策の実施やメールの改善に終始するなど、部分最適だけに時間を掛けているケースや、「前からやっているから」という理由だけで今の施策を続けているといった課題もよく伺います。

多々良 ていねい通販様は、ブランディングに力を入れ始めてコンテンツの幅も広がっている今こそ、「お客様にどう伝わっているのかを確認しながら、施策を進めていかなければならないフェーズ」ではないかと思いました。一貫したブランディングのためにチームで共通認識を持ち、一貫性のある施策に取り組んでいくためのきっかけが必要だと感じていました。

施策の一貫性を整理し、メンバー同士で共通認識を持つために、ダイアグラムを作成

共通認識を持てていない課題を解決するために、シナジーマーケティングが提案したのが「ワークショップ型戦略策定プログラム」です。このプログラムは、共同ワークショップを通じ「お客様に取ってほしい理想の行動や態度変容」を一枚絵(ダイアグラム)に表し、企業のマーケティング施策を「顧客視点」から整理することで、掲げるマーケティング戦略と実行施策に一貫性とを持たせることができるコンサルティングサービスです。

樽井 このプログラムはメンバー全員が共通認識を持ち、迷うこと無くマーケティングに取り組めるようにするためのサービスです。ダイアグラムを作成することで、マーケティング活動上の課題を洗い出すことができ、今後の戦略設計やコミュニケーションプラン設計に生かすことができます。ワークショップ形式をとっているのは、組織の責任者だけでなく、メンバー含めて何を目指しマーケティング施策を進めていくのか共通認識を持つためです。ていねい通販様のデジタルマーケティングを推進する関係者が、同じ視点・共通言語で会話できる状態になることが本質的な取り組みへの第一歩になると考えました。

戸田氏 ヒアリングをもとにシナジーマーケティングさん側でダイアグラムを作るのではなく、ワークショップ形式で一緒に作り上げられることがいいなと思いました。僕が描く戦略や僕の考えだけが正解ではないし、メンバーと意見を交換し合いながらダイアグラムを作る過程にこそ意味があるからです。

池田氏 社内に施策の全体像を可視化した図は無かったので、ダイアグラム作りに参加できるのは楽しみでした。これまでは戸田の戦略に沿って受け身で施策に取り組む機会も多かったのですが、ダイアグラム作成をきっかけに、メンバー全員でゴールや目指す方向性を考えていけるようになるという期待もありました。

▼図1 ダイアグラムのイメージ図

ダイアグラムのイメージ図

施策の先に目指すビジネスゴールと、顧客がゴールに辿り着くまでの道筋を可視化

ダイアグラム作成は、図2の手順に沿って進めていきました。

▼図2 ダイアグラム作成の手順

ダイアグラムの作成手順

多々良 まず、ターゲットを『心身の疲れや不安を感じている30~40代の女性』に定めたうえで、そのお客様がどのような状態になればゴールといえるのかを考えました。ワークの初期段階では、購買ではなく「顧客視点」を意識した本質的な意味でのゴールとは何か?の議論を深めました。その結果、『ていねい通販の商品があることで安心できている状態(ストレスが無く健康で、ていねい通販との接点が日常化している状態)』をゴールと決定。その後、お客様がゴールの状態に至るまでに、辿る行動や状況を洗い出し、「知る」「使ってみる」「迷いが生じる」などのステップに表しました。各ステップには「行動」だけではなく「感情」も合わせてプロットすることで、顧客の認識がどう変化していくか?という点も見えるように配置しました。さらに、現状各ステップで実施している施策を当てはめていくことで、全体を俯瞰して見ることができる状態になります。この状態から、例えば『どのステップに対する施策が不足しているか?』という施策量が可視化されたり、『この施策は、顧客の感情に沿って次のステップに向かわせるアプローチになっているのか?』というように施策が適切に連動しているのかを可視化できる状態にしていきました。

戸田氏 ダイアグラムを作る中で印象的だったのは、「縦軸と横軸」の議論です。各ステップにおいて「どうなれば次のステップに進むことができ、ゴールに近づくのか」の基準となる二軸の指標を言語化するのが大変でした。最終的には、縦軸が『ブランド理解の深まり(ブランドの知識量)』、横軸が『体験の深まり(体験の量)』と決まりました。 また、「ゴール手前のステップとはどんな状態か」を言語化する際にも時間が掛かりました。シナジーマーケティングさん側は『お客様が心身ともに健康になれる』ことをゴール手前のステップだと捉えていたのに対して、ていねい通販側は『疲れや不安で埋まっていたお客様のキャパシティーに余裕が生まれ、周りにも優しさを向けられるようになる』と捉えているように、微妙な違いがあるという発見も。こうした意見を擦り合わせながら、ダイアグラムを作成していきました。弊社が日常的に使っている言葉がシナジーマーケティングさんに伝わらない場面もあって、その度に認識合わせをしながら進めましたよね。社内はもちろん、ビジネスパートナーとの共通言語があるのは大事だと思いましたし、同じ図を見ながら同じ言葉を使うことは、ビジネスパートナーに考えを理解してもらううえで有効だと感じました。

池田氏 企画や施策を考えているときは、もちろん「この施策を通してお客様にどうなってほしいか」を考えているつもりでした。でも、そのさらに先のゴールのことまでは考えられていなかったかもしれないと、気付くことができました。

▼図3 完成したダイアグラムの図

完成したダイアグラムの図

ダイアグラムを作ったことで、課題が明確になり打ち手を考えられるように

ワークショップの結果、顧客に対する最終的なゴール、そこに辿り着くまでの感情やステップの変化など、初めて全員が合意したダイアグラムが完成しました。この完成したダイアグラムを見て、ていねい通販が実感したのは「可視化」の効果です。

ダイアグラムを作成してみると、アクティブにファン化していく方に向けた施策が充実している一方、途中で購入を止めてしまったり他社商品に流れてしまったりといった、離脱してしまう方に向けた施策が少ないことがわかったからです。

戸田氏 穴を見つけると埋めたくなるじゃないですか。ダイアグラムで可視化したことで、どの領域の施策が足りないのかが一目でわかるようになったので、そこに焦点を当てることでアイデアを生み出しやすくなったように感じます。

ワークショップの終盤では、「迷いが生じているお客様に向けて、もっとできることがあるはず」と施策のアイデアが飛び交う場面もありました。こうした、次なる議論を生むための現状の「可視化」は、ダイアグラム作成がもたらす大きな価値です。

メンバーと本音で向き合い、話し合えたプロセスこそが大きな価値

樽井 では、ここからは座談会形式で感想を伺えればと思います。弊社は、ファシリテーター兼参加者としてダイアグラム作成に加わり、ワークショップを主導させていただきましたが、率直な感想としてはいかがでしたか?

戸田氏 シナジーさんのファシリテートは、終始明るくて、皆がご機嫌で取り組める空気作りを大事にしてくださったのがとても良かったです。オンラインでの実施でしたが、心理的安全性が確保された環境でダイアグラム作成ができたと思います。

池田氏 メンバーに満遍なく話を振ってくださったり、どんな発言も否定せず聞いてくださったので、安心して発言することができました。

多々良 「お客様からはどう見えていると思いますか?」などの質問を挟むことで、視点や発想を切り替えていただこうと意識しました。また、第三者視点で今後取り組むべき施策やKPI設定のポイントについてもアドバイスをさせていただいたりしたのですが、お二人にそう言っていただけてホッとしてます。

樽井 「社内でもこれだけのメンバーで集まる機会はなかなか無い」と伺っていたからこそ、担当領域の異なるメンバー同士で話せる機会を提供できたことも良かったと思います。報告会の最後、メンバーの皆さんから一言ずつ感想をいただいたときに、池田さんが感極まる場面がありましたよね。あのときはどんな気持ちだったんですか?

池田氏 メンバーの1人が、「お客様が、『母』や『妻』などの“役割”ではなく、『人』として『こう生きてもいいんだ』と感じてもらえるような、体験を作っていきたい」と話すのを聞いて感動してしまって。それに、本気で向き合って話し合えるチームっていいなと改めて思ったんです。

戸田氏 僕はその光景を、「青春やな」って思いながら見てました(笑)仕事に本気で向き合って泣けるって、いい会社やなと。それぞれが自身の仕事や役割に誇りを持っていることがよりわかり、良いチームだと改めて認識しました。

共通認識を持てたここからがスタート

樽井 改めて、「ワークショップ型戦略策定プログラム」の気付きや学びを教えていただけますか。

戸田氏 ダイアグラム作成に取り組む前は、「現在地の解像度を高めるための地図」として、メンバーのために作るものだという意識があったんです。けれど、完成したダイアグラムを見てみると、これは「宝の地図」でもあるなと気付きました。現在地を確認できたことで、「もっとここに力を入れよう」とか「こんな施策をしていきたいね」と、わくわくしながらこの先の道を描いて、歩めるようになったからです。改めて、一人ひとりが自分たちの役割に使命感を持ち、チーム一丸となる機会にもなりました。作って終わりでは意味が無いので、ダイアグラムをもとにしたこれからのマーケティング戦略をシナジーマーケティングさんと一緒に考えていきたいです。

池田氏 担当している施策がどのステップに関連するものであるかや、今必要なのかどうかを確認するための土台ができたと思います。施策を点ではなく線で考えられるスタートラインに立てたと思うので、「ゴールに近づいているのか」を意識しながら、より戦略的に取り組みを進めていきたいです。それに、同じことに向き合って考え抜いたというだけで、チームとして今までよりも一段上の一体感が生まれたように感じます。今後もダイアグラムをもとに話し合って、さらに一体感を高めていきたいですね。

樽井 どんな企業にこの取り組みを勧めたいですか?

戸田氏 全企業にお勧めしたいです!コミュニケーションの在り方への変化が発生しているこの時代、改めて自分たちの考えを視覚化、言語化することで、社内のメンバーやビジネスパートナーと共通認識を持てて会話もスムーズになりますし、結果的にお客様とのコミュニケーションも取りやすくなると思います。僕たちのように施策不足を認識していなかった状態の企業でもたくさんの気付きがあったので、チームで顧客と向き合いたい全企業にお勧めしたいです。

池田氏 私のようにチームリーダーの立場にある方は、上長の想いや戦略をメンバーに伝える役割を担いますよね。おそらく「上長の考えを自分なりにかみ砕いて、メンバーにきちんと伝えなければ」とプレッシャーを感じている方もいらっしゃると思うんです。けれど、ダイアグラム作成を通して、「メンバーもお客様のことや施策のことをすごく深く考えている」と改めて知ることができました。だからこそ、1人で背負いこみすぎずに、ダイアグラム作成の機会を設けてメンバーの考えを引き出してみるといいのではと思いました。

樽井 ぜひこのプログラムを利用してほしいですよね。ていねい通販様はもともとお客様第一の姿勢で施策に取り組まれていましたが、ダイアグラム作成を経て、その芯がさらに強固になったように感じました。「ていねい通販だからこそ、これをやるべき」と思えることを一緒に実現するため、引き続き伴走支援をさせてください。

多々良 責任者が一方的に決めたものに従うのではなく、ブランド企画部としてのコミュニケーション戦略や施策の目的を、プログラムを通じてメンバー皆で議論をし、可視化することができたのは大きな収穫だと思っています。今後さらに「ダイアグラムを作った価値があった」といっていただけるようにご支援させていただきたいと思います。

デジタルマーケティングへの取り組みにおいて、「ビジネスゴール」と「ユーザーゴール」を連動させた状態で優先順位やプロセスを決定することも、それらを組織全体で共通認識として持っておくことも非常に大切です。

シナジーマーケティングという第三者が加わってファシリテートをしながら、合意形成をリードできることは、この「ワークショップ型戦略策定プログラム」の強みです。ぜひ、デジタルマーケティングの戦略や施策を整理する際シナジーマーケティングにお声がけください。

▼ワークショップに参加したメンバーでの集合写真

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

戸田 良輝 氏
株式会社生活総合サービス
経理管理部 リーダー
ブランド企画部 リーダー

池田 実由 氏
株式会社生活総合サービス
ブランド企画部
ソーシャルコミュニケーション プロデューサー

株式会社生活総合サービス

創業1997年、今年で創業23年目を迎えた株式会社生活総合サービスは、『頑張る女性を応援したい』というコンセプトのもと、女性に向けて元気とキレイを届ける健康食品や化粧品の通販ブランド「ていねい通販」を運営。「1日でも長いお付き合い」というブランドポリシーのもとお客様との関係作りに強みを持ち、定期購買の継続率は94%を誇っている。自分の近くの人から大切にしていくことが結果としてお客様を一番大切にできる、という考えから「お客様よりも社員を大切に」という価値基準を掲げている。

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