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2014年「日本の広告費」に見る運用型広告の台頭

毎年恒例「日本の広告費」2014年版が電通から発表されました。広告業界のみならずIT業界でも年々注目度が高まりつつあるように感じます。

今年はインターネット広告が初めて1兆円を超えた!というのがYahoo!ニュースでも取り上げられるくらいのインパクトでした。桁が変わると、前年の金額を知らなくても「ほぉ〜」ってなりますよね。
詳しい解説は今年も電通報などを読まれるのが良いと思いますが、インターネット広告に限って見れば、やはり運用型広告の台頭著しいですね。

昨年も当ブログで同じような事を書いていたので、今年はちょっと推移を見てみました。

図1)2010-2014年5年間のインターネット広告費及び前年比の推移202_sakurada_02

順調に広告市場規模が拡大している訳ですが、成長曲線も順当に上昇傾向ですね。この5年間、大震災や消費増税とかいろいろありましたが、あまり景気動向に左右されずに成長しているようにも見えます。なかでも昨年グンと伸びているのはスマートフォン向けやDSPが定着し始めているから、かもしれません。

ここで、インターネット広告の中でも市場を牽引していると言われている運用型広告※と媒体に紐づく広告制作費の推移を並べてみました。

図2)2010-2014年5年間の運用型広告費及び広告制作費の推移>202_sakurada_03

※2011年まで検索連動型広告と表記され、主にリスティングなどを指していたが、広告配信手法(アドテク)の多様化に伴い、アドエクスチェンジやDSPなどを含む自動配信する手法を含め2012年より運用型広告と表記される。タイアップや枠売りは含まれない。

運用型広告が小分類としていろいろなメディアを含有しているにしても、この5年で2.5倍の市場規模になっています。対して広告制作費の方は継続成長しているものの、運用型広告の伸び率とは全く連動していないどころか、前年比は104%と微増に留まっています。本来なら運用型以外の広告と比較するところをそもそも恣意的な比較ではあるのですが、従来人が工夫し試行錯誤してきた部分が、オートメーション化されることで市場の成長を後押ししているようにも見えます。

すでに始まっているスマートフォンやアプリへの出稿など、広告商材はしばらく増えつづけるでしょうし、細分化もさらに進むでしょう。またそれらをリニアにコントロールするサービスもどんどん出てくる。ということは、誰もが自動的にリアルタイムで膨大なリーチを獲得し、その結果もすぐに数字で確認できるわけですから、競合より素早い判断と深い洞察・戦略で差別化する必要があります。

また一方で、バナー広告の効果減衰やネイティブ広告の台頭が囁かれ始めています。それぞれ諸説あふれている状況ですが、オウンドメディアの活用やコンテンツマーケティングなどを通じて、マーケターは、より「顧客志向」(最近は「個客」という表記も好んで使われますが)であるべきというのは、疑いようのないトレンドです。
そのうえで、少ないチャンスを活かす「効果的なクリエイティブ」も、従来以上に重要性を増しているという…マーケターには本当に大変な時代に突入していますね。

宣伝部があるような大手でもないかぎり、企業の担当者だけで全てを賄うのは難しい。そういう場合は、習熟したスタッフを擁する企業にアウトソースするのが賢明です。部分最適でもいいので、スピードをあげて時代に対応する方を優先すべきですよね。

テクノロジーの進歩で、今までできなかったマーケティングが誰でもできるようになったのですから、広告制作を含め、「心を動かす」人間的な部分に注力する方が、オーディエンスの態度変容を誘発し、ひいては競合と差別化することができるのかもしれませんね。

※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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