Menu

お客様に刺さるメッセージを届ける
Societas Vol.3

こんにちは、馬場です。
前回は、顧客分析のアプローチとともに、顧客インサイトを知るための技術Societas(ソシエタス)を紹介しました。今回は、架空の事例を題材にSocietasを利用した価値観分析を実際に行ってみたいと思います。

お客様に刺さるメッセージを届ける

Societasは、消費行動の要因を表したものです。過去の消費者心理研究を参考に定性調査/定量調査を重ねて、以下のような12の価値観の類型を規定しました。

074_baba_03_2

No. 価値観 説明
1-1 受け身な隠者タイプ 常に平常心を保ち、消極的で物静か。
1-2 受け身な清閑タイプ 物事にあまりこだわりがなく達観しているところがある。
2-1 家族大好き悠々タイプ こだわりはあまりないが、スポーツなどの趣味を楽しむ。
2-2 家庭的な真面目タイプ 勤勉で正義感が強い。
3-1 アウトロータイプ 人や物事に動じず、粛々と日々を送りたい。
3-2 こだわりインドア派タイプ 恋愛への憧れがあるが、消極的。一人で没頭するタイプ。
4-1 自分中心的なアクティブタイプ 自分磨きや自己成長に余念がない上昇志向タイプ。
4-2 好奇心旺盛なバランス人間タイプ 周囲との協調性を大切にする好奇心旺盛な行動派。
5-1 家族想いの多忙ワーカータイプ 自分の価値や時間を大切にするマイペースなタイプ。
5-2 社交的な堅実ホームメーカータイプ 協調性があり人に喜んでもらう事で幸せを感じる。
6-1 繊細な個人主義タイプ マイペースで一人の時間を好む。繊細な心の持ち主。
6-2 好奇心旺盛な人生謳歌タイプ 好奇心旺盛で成長意欲が強い。

顧客分析におけるセグメンテーションの観点は大きく2つ、「誰にアプローチするか」「何について話すか」が挙げられます(*1)

Societasは、後者の「何について話すか」という課題のヒントとなるものです。Societasでお客様の価値観/嗜好を把握することにより、お客様とコミュニケーションをとるときに何について話すか、どのような情報を届けるのか、お客様に刺さるメッセージを作成するにはどうしたらよいのかがわかるのです。

Societas (ソシエタス)による顧客分析のステップ

Societasによる顧客分析からメッセージの企画までのステップは以下になります。

  1. ターゲットのSocietas(ソシエタス)分析を行う
  2. 一般的な分布と比較し、ターゲットの価値観や嗜好を把握する
  3. 価値観や嗜好に合わせたメッセージを作成する

それでは、ここから具体的な例を示しましょう。
あなたは車のディーラーです。今回弊社シナジーマーケティングと交渉の末、シナジーマーケティングオフィス内の共有スペースで車のカタログを配布することになりました。さて、あなたならどのように車を勧めますか。

シナジーマーケティング社員の価値観

まずシナジーマーケティング社員がどのような人か理解するために、Societas分析を行います。分析の結果シナジーマーケティング社員のSocietasの分布を以下に示します。

074_baba_03_3

一般社会の分布(点線の円)と比較して「4-1 自分中心的なアクティブタイプ」「2-2 家庭的な真面目タイプ」「6-2 好奇心旺盛な人生謳歌タイプ」の傾向が強いです。また、全体的に右下のSocietasの方が強くでていることから、アクティブで成長意欲旺盛、協調的というよりは関心が自分に向いているタイプが多いということがわかります。

シナジーマーケティング社員の車の嗜好

次にシナジーマーケティング社員のSocietasの分布から、車に対する嗜好を推論します。
Societas ではそれぞれの価値観の人がどのような消費行動をとるか、さまざまなデータの解析によって予測する研究を進めています。ここでは「車のどこにベネフィットを感じるか」を推論する仕組みを利用し、社員が車のどこに魅力を感じるかについて計算します。推論した結果が以下のグラフです。

074_baba_03_4

左の赤い棒はシナジーマーケティング社員が車に感じるベネフィット、右のグレーの棒は一般消費者が車に感じるベネフィットを表しています。一般的に車は「定番」「シンプル」「信頼」「安心感」というイメージのものが好まれますが、このグラフは、シナジーマーケティングの社員が一般と違い、個性的なもの、人とは違う車を好むことを示しています。「アクティブ」「個人主義」な価値観が強い傾向と合致しますね。

車の何が刺さるのか

ここまでで、お客様の価値観や嗜好が見えてきました。最後はあなたの腕の見せ所。このような弊社社員にどのように車を勧めますか?ファミリータイプのミニバンは少し違いそうですね。「個性」だけでなく「高級感」へのこだわりが高いのもヒントになります。

私は、小さめの車だと想像します。というのはシナジーマーケティング社員に多い「4-1 自分中心的なアクティブタイプ」や「6-2 好奇心旺盛な人生謳歌タイプ」は一人で遊びに行くタイプなので。個性的で小さめの車、どんな車が当てはまるでしょうか・・?

データから定性的知見を得る

顧客分析といえば購買データからのRFM分析ですが、RFMだけでは顧客心理は見えてきません(*2)。通常は定性調査により獲得する顧客心理という定性的知見を、多種多様なデータをつなげて定量的に得られるところがSocietasの魅力です。実際、今回は弊社社員に「車のどこに魅力を感じるか」と直接聞くことなく車の嗜好を推論しました。

これは車に対する嗜好と価値観との関係を推論する仕組み(=モデル)があったからです。このモデルは消費行動データより統計的な手法で作成されたものです。現在、このようなSocietasを中心とした消費行動モデルを日々作成しており、今後もどんどん増えていきます。

今回は、マーケティング施策につながるSocietas 分析のステップを、車を例にして説明しました。次回は、顧客分析をマーケティングに活かすための気をつけるポイントについてお話します。

参考文献

*1:世の中の人間は2種類だけではない -顧客セグメンテーション手法の分類Vol.2
*2:RFMは顧客の特徴を表していない(後編)/マーケティング・サイエンスという共有知~ CRM実践の知恵 ~ Vol.4

※iNSIGHTBOXはサービスを終了いたしました。価値観での顧客セグメンテーション「Societas」は引き続きサービスを提供しております。

※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

PageTop
PageTop