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5年でファンクラブ会員は11.8倍。万年最下位だったチームに何故、人が集まるのか【前編】

2008年:48勝94敗2分け 勝率.338
2009年:51勝93敗 勝率.354
2010年:48勝95敗1分 勝率.336
2011年:47勝86敗11分 勝率.353

2008年以降、4年連続で勝率3割台の最下位だった横浜ベイスターズ(現:横浜DeNAベイスターズ)。

そんな事態に拍車をかけるかのように、チームの看板選手が立て続けに移籍し、監督も相次いで交代。このような状態の中、横浜スタジアムはいつ行っても入れるくらい空席が目立っていた。

そんな球団に一筋の光が射したのは、2011年だった。DeNAが親会社となり、横浜DeNAベイスターズが誕生した。それ以降、ファンの数は急増。球団創設から5年でファンクラブの会員数は11.8倍、観客動員数は175.9%に成長するなど、人気球団に生まれ変わった。

ⒸYDB

親会社の変更から、どのようにしてファンは返ってきたのか?株式会社横浜DeNAベイスターズ広報部の河村康博氏に、話を伺ってきた。

ファンがチームを強くする。だから、集客に全力を注いだ

— 球団創設から5年でファンクラブの会員数は11.8倍、観客動員数は175.9%成長。改めてスゴい数字ですね。

河村  2016年シーズンは最終的に観客動員数193万9146人と過去最高を記録することができたのですが、それは“横浜”という土地が持つポテンシャルの高さがあってこそだと思っています。

横浜市には約370万人、神奈川県にまで範囲を広げると約910万人もの人が住んでいて、地元の球団はベイスターズのみ。私たちは、そのポテンシャルを活かしつつ、さまざまな施策を展開していった結果、ファンの数を伸ばしていくことができました。

株式会社横浜DeNAベイスターズ広報部 河村康博氏

— 横浜DeNAベイスターズになってから、『全額返金!?アツいぜ!チケット』などユニークな施策を数多く仕掛けているな、という印象がありました。

河村 横浜DeNAベイスターズになってから勝率は上がっていたのですが、プロスポーツなのですぐに優勝できるとは考えていませんでした。スポーツの世界では強いチームほど多くのファンがいるとよく言われますが、私たちが頑張っても、すぐにチームの順位を上げることはできない。

もちろん、一流のスタープレイヤーを数人獲得すれば短期的にチームの順位自体は上がるかもしれませんが、それは自分たちが理想とするチームの姿ではない。球団としては長い間、上位争いができるチームにしていきたい、という理想を有していましたから。

強いチームにしていくには時間がかかる、ただファンが足を運んでくれなければ球団が成り立たない。そうした状況の中、ファンを増やすために自分たちが出来ることとして、まずは“話題を作ること”だと。メディアに露出し、お客さんに面白いことをやっていると思ってもらえるかが重要だと考え、『全額返金!?アツいぜ!チケット(※)』といった、さまざまな施策を展開していきました。

『全額返金!?アツいぜ!チケット』に関しては私たちの想定以上に、お客様からの厳しい声が多かったのですが…(笑)。

— これはちょっと、想像とは違いました(笑)。

河村 ただ、このような施策を通して、チームの人たちに横浜DeNAベイスターズは他の球団がやったこともない新たな施策を仕掛けることでお客さんを増やしていきたい、その考えを理解してもらえましたし、話題性は作れたのかなと思っています。

※『全額返金!?アツいぜ!チケット』・・・お客様がアツくなった度合いによってチケット代金を自己申告し、横浜DeNAベイスターズが勝った場合はチケット代の半額、負けた場合はチケット代全額までを返金の上限として、その範囲内でキャッシュバックするというもの。

— 世間的には前球団社長の池田純さんがアイデアマンでさまざまなイベントを仕掛けていった印象があると思うのですが、社内には“話題性を作る”という文化や風土はあったのでしょうか?

河村 前社長の池田をはじめ、プロ野球の常識にとらわれないメンバーが多くいたことで社内の文化や風土が出来上がったのではないかと思います。

オリジナルビール、ドキュメンタリー……野球以外の部分で新規ファンとの接点を創る

–球団創設以降、5年間で野球以外での施策でも目立ったものが多くありましたがどのような目的があったのでしょうか?

河村 この5年さまざまな施策を展開し、期待感を演出することでお客様を取り戻せていったと思います。ただし、その裏には新たに獲得したライトなベイスターズファンの存在が大きいと思っています。

そのライトなベイスターズファンに向けて野球の魅力だけを伝え続けてもあまり響かないので、野球以外の部分でいかに接点を持ち、球場に足を運ぶハードルを低くしていかなければ、と思っていました。

例えば、2012年から行っているドキュメンタリー作品はベイスターズファンだけでなく、スポーツ好きや映画好きが見ても面白いと思ってもらえるような内容にしなければいけない、と思っていました。こうした切り口からベイスターズに触れてもらえれば、将来的には「ベイスターズっていいよね」「野球って面白いよね」というイメージを持ってもらえるんじゃないか、と。

球団オリジナル醸造ビール「BAYSTARS LAGER(ベイスターズラガー)」、「BAYSTARS ALE(ベイスターズエール)」も同様です。「横浜スタジアムでしか飲めないクラフトビールがあります」と限定感を出すことで、サラリーマンを中心とした人々に球場へ足を運んでもらえると考えていました。

実際、球場に足を運んで「プロ野球」というコンテンツを一度体験をしてもらえれば、絶対に魅力を感じてもらえるという考えがありましたので、いかに球場に足を運んでもらうハードルを下げるか、を考えていましたね。

 

横浜DeNAベイスターズは新たに獲得したライトなファンを、どのようにアクティベートさせていったのか?後編では、彼らの具体的な取り組みに迫っていく。

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なる場合があります。ご了承ください。

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