もう迷わない!Salesforceと連携するMAツールの選び方と活用方法
近年、多くの企業でマーケティングオートメーション(MA)ツールの導入が進められています。2023年には実に9,000社以上の企業でマーケティングオートメーション(MA)ツールが導入されているという結果が出ました(Nexal,Inc.)。また、1社あたり2種類以上のMAツールを利用している企業も15%に上るなど、広く活用が進んでいると言えます。
時代に併せて、マーケティング活動を変えていくためにツールを検討しようという企業様も多くなっていますが、一方では日々最新の技術を搭載した新しいシステムがリリースされており、自社に最適なものを選ぶのが難しいと感じていらっしゃるご担当者様も多いのではないでしょうか?
本記事では、マーケティングオートメーション(MA)ツールの概要を理解しつつ、特にSalesforceを利用中の皆様が最適な製品を選べるように、Salesforceと連携できるマーケティングオートメーション(MA)ツールのメリット・デメリットなどを解説します。
<目次>
マーケティングオートメーション(MA)とは?
マーケティングオートメーション(MA)とは、顧客情報を管理し、主にメールなどのデジタルチャネルを通じたマーケティング活動を自動化するためのツールやソフトウェアのことを指します。特に見込み顧客の育成や温度感を知るために有効なツールで、「まだ購入を検討し始めたばかりの顧客」から「購入意欲の高い顧客」まで、それぞれの段階に合わせて最適な情報を提供し、関係性を深めていくために非常に役立ちます。これにより、企業は顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションを効率的に行い、より効果的なマーケティングキャンペーンを展開することができます。
MAツールの基本的な機能には、メールマーケティング、リード管理、顧客セグメンテーション、キャンペーン管理などがあります。こうした機能を活用することで、マーケティング担当者は日々の煩雑な設定作業や配信作業から開放され、より戦略的な活動に集中できるようになります。マーケティングオートメーション(MA)は、特に人員や予算が限られている中小企業にとって、大きな助けになるでしょう。
MAツールのメリット・デメリット
MAツールは強力な武器になる一方で、導入・運用には注意点もあります。ここでは、まずMAツールのメリットとデメリットを分かりやすく解説します。
【メリット】〜こんな効果に期待!~
マーケティング活動の自動化と効率化
- メール配信、ステップメール、スコアリングなどを自動化し、人的コストを削減。
- 少ないリソースで多くの見込み顧客を育成できます。
パーソナライズされた顧客体験の提供
- 顧客データに基づき、最適な情報を最適なタイミングで提供。
- エンゲージメントを高め、顧客ロイヤルティ向上に繋がります。
見込み顧客(リード)の質の向上
- 興味関心の高い見込み顧客を育成し、営業部門へ質の高いリードを提供。
- 成約率の向上、営業効率アップに貢献します。
データに基づいた効果測定と改善
- キャンペーンの効果を可視化し、改善点を特定。
- PDCAサイクルを回し、マーケティングROIを向上させます。
【デメリット】~導入前に考慮すべき点~
導入・運用コスト
- MAツール本体の費用に加え、導入支援、運用コンサルティング費用が発生する場合も。
- 導入後はツールのランニングコストも考慮に入れる必要があります。
専門知識とスキル
- MAツールの機能を最大限に活用するには、担当者の知識やスキルが不可欠。
- 導入後の学習コストや人材育成も考慮が必要です。
シナリオ設計とコンテンツ作成の負担
- 効果的な自動化シナリオの設計や、魅力的なコンテンツ作成には時間と労力がかかります。
- コンテンツ作成は事前の計画と準備が重要です。
効果が出るまでの時間
- MAツールは導入後すぐに効果が出るわけではありません。
- データ蓄積やシナリオの最適化には一定の期間が必要です。
MAツールは、戦略的に活用することでマーケティング活動を大きく飛躍させる可能性を秘めています。しかし、導入には相応のコストと労力がかかることも事実です。
MAツール導入を成功させるためには、まず自社の抱える課題や達成したい目標を明確にすることが不可欠です。その上で、MAツールがもたらすメリットと、導入・運用にかかるデメリットの両方を十分に理解する必要があります。
そして、自社の課題や目標に最適なツールを選定し、その機能を最大限に活かせる適切な運用体制を構築することこそが、MAツール導入を成功に導くための重要な鍵となります。
MAツールの正しい選び方のポイント
MAツールを選ぶ際、何を基準に選べば良いのかは多くの企業が迷います。自社に合ったものを選べないと、苦労して導入しても結局意味がなかった……なんてこともよくあります。では、MAツールを選ぶ際にはどういった点に気をつけて選べばよいのでしょうか?
ビジネスの目的や課題で選ぶ
導入の目的を明確にし、現状の課題解決に繋がるツールを選定。目的が曖昧だと、多機能でも活用しきれません。
必要な機能で選ぶ
欲しい機能を洗い出し、自社のマーケティング戦略に必要な機能が搭載されているかを確認。将来的な拡張性も考慮しましょう。
予算や導入・運用のしやすさも考慮する
導入費用だけでなく、月額費用や運用に必要な人的コストも試算。操作性やサポート体制も重要な判断基準です。
これらの点で情報を整理し、自社に必要なMAツールは高機能なMAツールなのか、簡易的なMAツールなのか判断をすることが重要です。
MAツールとSalesforceを連携することの重要性
マーケティングオートメーション(MA)ツールをSalesforceと連携することでどんなメリットがあるのでしょうか?実は、MAツールとSalesforceと連携することで営業とマーケティング部門の連携がよりスムーズになり、顧客へのアプローチを効率化することや自動的なリード育成といったメリットが生まれます。
ここからは、MAツールとSalesforceを連携することでもたらされる具体的な利点についてマーケティング担当者と営業担当者のそれぞれの観点から解説します。
データの一元管理を通じた顧客理解
MAツールとSalesforceを連携することで、これまで個別に管理されていた顧客データの一元管理が可能になります。これにより、マーケティング部門は、見込み顧客の興味・関心やWebサイトでの行動履歴をSalesforceの顧客データと紐付けて把握し、顧客理解を深めることができます。
例えば、特定の資料をダウンロードした見込み顧客の過去の購買履歴や現在の商談状況を把握することで、顧客ニーズをより深く理解できるようになるとともに、より的確なターゲティングや顧客の興味を引くコンテンツ戦略の立案・実行をすることができるでしょう。
さらに、Salesforce上で一元化されたデータにより、高度な分析をすることができます。特定のマーケティング施策の効果測定をすることはもちろん、顧客の属性情報と行動データを組み合わせた精緻なセグメンテーション、スコアリングを活用することで、マーケティングROIの向上に役立ちます。
売り上げの最大化に向けた営業とマーケティングの連携強化
MAツールとSalesforceの連携は、営業担当者にとっても多くのメリットをもたらします。まず、MAツールによって収集された見込み顧客の興味や行動履歴がSalesforceに連携されることで、顧客一人ひとりに合わせた効果的なアプローチを行うことができます。
例えば、顧客が過去にどのような資料をダウンロードしたのか、どの製品ページを頻繁に閲覧しているのかといった情報がSalesforce上で確認できるため、顧客が本当に求めている情報や提案を的確に提供できるようになり、商談を有利に進めることができます。
2つ目に、スコアリングシステムを活用することで、優先度の高い見込み顧客の情報をタイムリーにピックアップすることができるようになります。これにより、営業リソースを最適化し、効率的に成果を上げることができるようになるでしょう。
最後に、こうした見込み顧客の行動履歴や営業活動の状況がSalesforceに統合されることで、顧客情報の一元管理が実現します。営業部門内での情報共有がスムーズになり、チーム全体で顧客対応の質を向上させることができます。
このように、MAツールとSalesforceの連携によるデータの一元管理は、マーケティングと営業双方の活動効率を高め、顧客理解を深化させ、戦略的なアクションに繋げるために不可欠なものと言えます。
Salesforceと連携ができるおすすめのMAツール6選
高機能MAと簡易的なMAの違い
MAツールの中には、非常に多くの機能があるものから機能を絞っているものまでさまざまあります。
それぞれの違いは以下の通りです。
システム名 | 機能の充実度 | ランニングコスト | 操作性 | Salesforce連携 | サポート体制 |
---|---|---|---|---|---|
Account Engagement | ◎ 最高クラス |
△ 高価格 |
△ 複雑な操作が 要求されることも |
〇 一部設定が必要 |
△ プラン次第 |
Marketo | ◎ 最高クラス |
△ 高価格 |
△ 複雑な操作が 要求されることも |
△ 連携用システムの 事前設定が必要 |
△ プラン次第 |
Synergy!LEAD | 〇 メール・フォームなど、 必要機能のみ |
◎ 業界最安クラス |
◎ SFと同じUIで使える |
◎ SF内にインストールされるため 複雑な連携設定は不要 |
◎ 無償オンボーディング と担当営業あり |
リストメール | △ メールのみ |
◎ 追加費用無し |
△ 宛先を1つずつチェック していく必要あり |
◎ 不要 |
△ プラン次第 |
Autobahn | △ メールのみ |
〇 平均的 |
◎ SFと同じUIで使える |
◎ SF内にインストールされるため 複雑な連携設定は不要 |
〇 平均的 |
配配メール | 〇 メール・フォームなど、 必要機能のみ |
〇 平均的 |
〇 配配メール側での 操作が必要 |
△ 連携用システムの 事前設定が必要 |
〇 平均的 |
高機能MA
Account Engagement (旧 Pardot)
よく使われるシーン: Salesforce社が提供しているマーケティングオートメーションのため、顧客管理をSalesforceで行っている企業でBtoBマーケティングにおける幅広い施策を実行している企業に適しています。
機能: Engagement Studioによるシナリオ、メールマーケティングの自動化、スコアリング、ランディングページの作成、Salesforceのデータを使った分析
費用感と導入ハードル: 月額150,000円〜利用可能です。複数のエディションがあり自社に適したプランを選択することが可能です。
Adobe Marketo Engage
よく使われるシーン: 複雑なBtoBマーケティングの自動化、顧客体験のパーソナライズ、マーケティングと営業の連携強化、詳細な効果測定をしたい企業に適しています。
機能: 多彩なチャネルでの顧客エンゲージメント、AIを活用した顧客プロファイリング、詳細な分析機能、Webサイトトラッキング、スマートキャンペーン、イベントプログラム、ナーチャリングプログラム、メール作成・配信、入力フォームやランディングページの作成、レポート・分析、セグメント、スコアリング。
費用感と導入ハードル: 高機能なため、費用は比較的高めです。導入には専門知識が必要となる場合があり、初期設定や運用に一定の学習コストがかかる可能性があります。
簡易的なMA
Synergy!LEAD
よく使われるシーン: 基本的なマーケティング活動の自動化や、Salesforceとのシームレスな連携と操作性の良い環境での操作をしたい場合に適しています。
機能: フォーム作成、メール配信、Webトラッキング、AppExchange(Salesforceのアプリ)上で利用可能。
費用感と導入ハードル: 比較的導入しやすい価格帯です。国産ツールであり、初期設定や導入支援のサポートが充実しています。
リストメール
よく使われるシーン:メール配信施策の走り出し期、顧客リストの少ない企業に適しています。
機能: メール配信機能(一斉配信のみ)。1日5,000件までという配信制限がある。
費用感・導入ハードル: Salesforceの標準機能のため無料で利用が可能だが、一斉配信のみのためマーケティング施策のPDCAを回すのであれば不向き。
Autobahn for AppExchage
よく使われるシーン: メールマーケティングでできることを増やしていきたい。メールからの受注率が高いような企業に適しています。
機能: メール配信機能、AppExchange(Salesforceのアプリ)上で利用可能
費用感・導入ハードル: 初期費用10万円。月額費用5万円〜利用が可能で、配信数やストレージデータ量によってプランを選択することができます。
配配メール
よく使われるシーン:基本的なメールマーケティングを操作性が良い環境で実装したい企業に適しています。
機能: メール配信機能、簡易的なフォーム機能、SalesforceとはAPIで連携
費用感・導入ハードル: 初期費用10万円。月額費用8.3万円~
まとめ
Salesforceと連携するMAツールは、マーケティングと営業の連携を強化し、リード獲得から育成、商談までの一連の流れを効率化することでビジネスの効率を大幅に向上させる可能性を秘めています。しかし、コストパフォーマンスの低さや使いこなせないといった課題も存在します。そこで、自社のニーズに合ったツール選びと運用体制の構築が重要です。
ツールを導入する目的、どの部分を自動化したいのか、自社で運用設計はどのくらいできそうかなどを考慮しながらSalesforceと連携する最適なMAツールを選び、ビジネスの成長を加速させましょう。
Salesforceを使った簡単マーケティングオートメーション

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