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文章校正支援ツール『Just Right!5 Pro』を使ってみた

以前ご紹介した『文章校正支援ツール Just Right!5 Pro(以下、Just Right!)』と『共同通信社記者ハンドブック校正辞書第12版 for JR! CE(以下、共同通信記者ハンドブックオプション)』。とうとう弊社でも導入しました!今回は、これを使ってみた感想をユーザー視点でまとめてみます。

今回の記事は

  1. 販促・マーケティング担当者だが、ライティング業務も兼務している
  2. Webサイトや販促物を制作する業務に就いている
  3. 校正、校閲の違いがわからない
  4. 原稿のライティングも校正もひとりでやっている

という方にオススメです。

1. 導入した背景と課題「きちんと校正できない環境だった」

現在私が所属するグループでは、自社のサイトやカタログなどを企画・制作しています。
はじめは、マネジャーを含めてメンバーは3人ほどしかいませんでした。そんななか、Webディレクターやデザイナーが原稿のライティングと校正業務を兼務していました。
一方で、インバウンド・マーケティングに取り組むことになり、さまざまなコンテンツを増やすことになった関係でメンバーも少し増えたので、まずは社内の表記ガイドラインを整備。また、そこに最低限の法律・条例に関する社内ルールも盛り込みました。このようにして、さまざまな側面から「正しい日本語表記」についてガイドライン化していく流れを作りました。

そんなこんなで、原稿にきちんと向き合えるようになれたのは最近です。そして、「日本語表記5つの常識(Part2)」でご紹介したような検定を受けたり、原稿を書く機会も増えたりしてくると、書くことと同じくらい校正することに技術と工数が必要になるということをヒシヒシと感じるようになりました。素人が漠然とやることなので、校正作業そのもののクオリティーも低く、時間もかかっていました。そこで、校正講座に行ってみたりWebの校正系サービスなどさまざまなツールやサービスを使ってみたりしてやりくりしていたのですが。

このたび、大幅なWebサイトのリニューアルを行うことになったため、大量の文章の校正も必要になりました。そこで思いきって、今回『Just Right!』とオプションの『共同通信記者ハンドブックオプション)』の導入に踏み切りました。

2. 導入してみた「すぐに本格的な校正ができる」

公式サイトに公開されているように、『Just Right!』を使えばこれだけの項目のチェックが瞬時に実施できます。

誤りチェック 誤字脱字、仮名遣い、慣用表現、呼応表現、ら抜き表現、同音語誤り、二重敬語、西暦・和暦など
用語基準 送り仮名、漢字基準、公用文、難しい語の言い換え、旧字体、商標・商品名、数字の表記など
表現洗練 文体の統一、重ね言葉、同一助詞の連続、二重否定、修飾関係、並列関係など
字種統一 単位、句読点、カタカナ、数字、記号、アルファベット
長さチェック 文、句読点、ひらがな、カタカナ、漢字
環境依存文字 外字と機種依存文字、JIS X 0213:2004で例示字形が変更された漢字
スペルチェック 先頭のみ大文字の単語、すべて大文字の単語、数字を含む単語、全角を含む単語など
表記ゆれ 外来語のみ/全部、全角半角・大文字小文字の区別を指摘する/しない
括弧 対応、階層
印刷標準字体 簡易慣用字体・デザイン差などの文字
ルールチェック 『第回』→『第回』といった洋・漢数字の区別など、独自の条件設定が行えるルール辞書によるチェック

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公式サイトには

Just Right!は、高度な日本語処理技術を駆使し、誤字・脱字、表記ゆれなどをスピーディーにチェック。人の目に代わって、細かなチェックを行うため、校正作業の負担を軽減します。例えば、表記ゆれや用語基準などのチェックは、Just Right!に任せ、文意や事実の確認は、校正者が行うようにすれば、文書の品質を確保した上で、大幅な校正時間の短縮が実現できます。

と記載されていますが、要は、「校正」をJust Right! に半分以上任せて、「校閲」にリソースを集中できるようになる、ということです。また、Just Right!と連係しているWordなどで原稿を作成しておけば、修正内容のフィードバックも効率的に行えます。

※「校正」と「校閲」の違いについてはコチラをご参照ください

Webサイトでも紙媒体でも、ひとつのコンテンツを制作する場合、以下のような制作プロセスが必要です。

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このイメージ内で赤く表示したプロセスについて、Just Right!で大幅に工数削減ができ、クオリティーの向上ができました。
多くの方がJust Right!の各機能についてレビューを書いておられるので、機能の詳細はそちらにお任せするとして、1ユーザーとしての第一印象は「すごい!」というこの言葉に尽きます。インストールしてJust Right!を起動し校正したい原稿を開くと、特別な設定を行うことなく、プロ並みの校正結果がフィードバックされたのです。

3. 運用してみた「辞書を作るのがむずかしい」

Just Right!は、校正用辞書、スペルチェック用辞書、表記ゆれ辞書、ルール辞書、などさまざまな辞書やルールを作成し、カスタマイズできます。すでに記載したとおり、特別な設定をおこなわなくても一般的な日本語表記ルールから外れることはありません。弊社の場合、『共同通信記者ハンドブックオプション』を付けていることもありさらに安心です。
しかし、弊社には社内表記ガイドラインを設けているので、それを反映した形で校正結果が出せるように、校正用辞書をカスタマイズしました。

また、これに別の辞書もマージしました。3級テクニカルライティング試験[TW]を実施している一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会が、株式会社ジャストシステムと共同で開発・無償提供している「日本語スタイルガイド対応ATOK・JustRight!データ集」の校正用辞書です。これで、日本語スタイルガイドにも対応した校正結果を得ることができるようになり、実用文としての精度も向上しました。

いろんなデータをあちこちからマージするのは簡単なのですが、校正用辞書以外にもJustRight!側に設定できる辞書が複数あり、設定方法もそれぞれ異なっていて、なかなか理解できず少し手間がかかりました。でも、辞書のカスタマイズはそれだけの価値があります!また運用方法として、いろんなノウハウをマージし作成した辞書データを、ほかの校正者と共有できるよう、以下のようなシートを作成しました。

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それぞれの校正者のJustRight!に入っている辞書を、このデータを元に定期的に更新することで、どの環境でも同じ校正のレベルを担保することが可能になりました。

4. いまのところの成果「時間の短縮とクオリティーの向上」

これで、校正という業務にかかわる各担当者に【共同通信社記者ハンドブック新聞用字用語集を片手に持った3級テクニカルライティング試験[TW]の有資格者レベルの校正環境】を用意できました。
各校正者の校正レベルの向上と標準化ができたことで、それまで校正にかけていた時間を短縮し、その分原稿のライティングや推敲(すいこう)、または校閲に集中できるようになり、成果物のクオリティーの向上にもつながりました。

Just Right!5 Proとオプションを購入して10万円足らず(買い上げ)。この価格でこれだけの成果はかなりお買い得だったなあと実感しています。

※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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