メール配信システムを構築する流れや自社で構築するメリット・デメリットを解説
<この記事でわかること>
- メール配信システムを自社で構築すれば、自由なカスタマイズやセキュリティ管理が可能になり、長期的なコスト削減も期待できます。
- 構築には、ネットワーク・ドメインの準備、メールサーバの設計、ソフトウェアの導入など、高度な知識と技術が求められます。
- 誤配信防止や認証設定(SPF・DKIM・DMARC)、法令遵守など、到達率と安全性を保つための対策も不可欠です。
- 専門知識がない場合は、「Synergy!」のようなクラウド型の高機能サービスを活用すれば、安全・効率的なメール配信が実現できます。
メールの大量配信を可能にするメール配信システムを自社で構築すれば、自由なカスタマイズやセキュリティ管理が実現し、長期的に見たコストの削減も期待できます。
本記事では、メール配信システムの仕組みと主な種類、機能、構築の流れ、注意点を解説します。自社で構築できない場合の対処法や外部システムを導入する際の選び方もご紹介しますので、メール配信システムの導入を検討している方は参考にしてください。
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<目次>
メール配信システムの仕組み
メール配信システムは、登録されたリストに対して事前に設定したメールを一斉に自動送信し、開封率やクリック率などの効果を可視化できるシステムです。 高性能なMTA(メール転送エージェント)を使い、複数IPやエラーメールの自動管理により、安定した大量メールの高速配信と高い到達率を実現しています。
メール作成から配信に至るまでの操作性にも優れており、メール本文の作成、配信リストの作成、スケジュール設定などを管理画面から一元的に行えます。顧客情報が担当者個人のメールクライアントなどに分散せずシステムで一元管理されるため、情報漏えいリスクの低減にもつながるのが特徴です。
メールサーバを構築する3つの種類
メール配信システムを自社で構築・運用するうえでは、主に以下の3種類のサーバが重要な役割を担います。
- SMTPサーバ(メール送信用)
- DNSサーバ(IPアドレス取得用)
- POP3サーバ(メール受信用)
それぞれのサーバの特徴を解説します。
SMTPサーバ
SMTPサーバは、メールの送信処理を担当するサーバで、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)という通信規格に従って、メールを送信先のサーバへ転送します。メール配信システムにおいては、MTA(メール転送エージェント)がSMTPサーバとして動作し、送信元から複数の宛先へメールを中継・配送します。
大量のメールを送信する場合、サーバへの負荷が高くなり、配信遅延や到達率の低下、スパム判定のリスクが生じやすくなります。そのため、安定した運用においては、SMTPサーバの構成やIPの分散設計などが重要です。
DNSサーバ
DNSサーバは、メールの送信時に必要なドメイン情報を管理し、宛先のメールサーバを正しく特定するために使用されます。メール配信システムを構築するうえでは、SPFやDKIM、DMARCなどのメール認証レコードをDNS上に設定することが不可欠です。
認証情報が正しく設定されていないと、送信元の正当性が確認できず、迷惑メールとして扱われるリスクが高まります。到達率を確保するためにも、DNS設定は配信システム構築における重要な要素です。
POP3サーバ
POP3サーバは、受信者がサーバ上のメールを自分の端末にダウンロードする際に利用される、メール受信用のサーバです。メール配信システム自体には直接関係しませんが、社内向けなど受信環境も自社で管理する場合は必要になるケースがあります。
ただし近年では、メールをサーバ上に残して管理できるIMAP方式を選ぶ企業も増えており、運用スタイルに合わせて使い分けるのが一般的です。
メール配信システムの2つの種類
メール配信システムには、大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、目的や運用体制に応じた選定が重要です。以下で詳しく見ていきましょう。
クラウド型
クラウド型は、ベンダー(サービス提供元)が構築・運用するサーバ上のシステムを利用する方式です。自社でサーバを用意する必要がないため、初期費用を抑えつつ、短期間で導入できるのが特徴です。
保守やメンテナンスもベンダー側が行うため、自社の運用負荷が少なく、専門人員の確保や更新作業にかかるコストを削減できます。ただし、カスタマイズできる範囲が限られ、機能拡張にはオプション契約や追加料金が発生するケースもあるため、利用前に月額料金や機能制限を確認しておく必要があります。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社でサーバを準備し、システムをインストールして運用する方式です。柔軟なカスタマイズや独自のセキュリティ設定、社内システムとの連携が可能で、特に基幹システムやCRMと深く統合したい企業に向いています。
高いセキュリティ性と運用自由度を確保できる一方で、初期構築から保守までを自社で担う必要があるため、導入・運用コストは高くなります。また、専門知識が求められ、場合によっては外部業者への委託も検討が必要です。
メール配信システムの主な機能
メール配信システムには、専門的な知識がなくてもメールマーケティングを効率よく効果的に行える機能が搭載されています。代表的な機能と具体的な内容は、以下のとおりです。
カテゴリ | 主な機能 |
---|---|
配信先管理 | リスト管理、ターゲット配信、オプトアウト対応、エラーアドレス分析 |
配信機能 | 配信予約、ステップメール、シナリオメール |
メール作成支援 | 差し込み機能、HTMLメール作成 |
効果測定・分析 | 開封率・クリック率の測定、エラー分析 |
自社の目的に合った機能が備わっているかを確認しながら、最適なシステムを選定しましょう。
メール配信システムを構築する流れ
メール配信システムの構築は、以下の3つの手順で進めます。
- ネットワーク・ドメイン環境の準備
- メールサーバの構築
- 配信ソフトウェアの導入と設定
それぞれのステップを解説します。
1. ネットワーク・ドメイン環境の準備
まずは、安定したインターネット接続環境と、自社専用のドメインを準備します。配信サーバには高速な回線と専用ルーターの設置が推奨されます。これにより通信トラブルを防ぐことができます。
ドメインについては、送信元の信頼性を高めるためにも、自社のブランド名を反映した独自ドメインを取得しましょう。また、DNSの設定では、IPアドレスとの紐付けや、SPF・DKIMなどの認証レコードを正しく構成する必要があります。
2. メールサーバの構築
次に、メールの送信処理を担うメールサーバ(MTA)を構築します。一般的にはPostfix、Sendmail、qmailなどのソフトをインストールし、メールキューや送信制御を管理できるように設定します。
大量配信やグループ管理が必要な場合は、メーリングリスト管理ソフトの導入も検討しましょう。設定作業には、SMTPポートの開放やスパムフィルタ回避の調整など、サーバ運用の専門知識が求められます。社内にノウハウがない場合は、外部の構築業者に委託するか、構築済みの商用MTAサービスを利用するのが現実的です。
3. 配信ソフトウェアの導入と設定
最後に、メール配信用のソフトウェアを導入し、送信タイミングの設定や、名前・属性などの差し込みデータの管理、配信ルールの設計などを行います。これらは配信精度に直結するため、操作しやすい管理画面や、配信結果を確認できるログ機能が備わっているかも重要なチェックポイントです。
設定に手間がかかる場合や、社内に詳しい人がいない場合は、クラウド型のメール配信サービスを使うほうが手軽で安心です。
メール配信システムを構築する際の注意点
メール配信システムを構築する際の注意点は、以下の3つです。
- 特定電子メール法の遵守が必要
- ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)の設定
- 誤配信防止と運用体制の整備
営利目的でメールを送信する場合は、法律で定められたルールに従う必要があります。具体的には、受信者の同意(オプトイン)を得ること、配信停止の仕組み(オプトアウト)を用意することなどが義務づけられています。違反した場合は罰則の対象となるため、必ず事前に確認しましょう。
また、送信ドメインに対し、SPF・DKIM・DMARCの3つを正しく設定し、到達率を確保しましょう。設定が不十分だと、メールがスパム判定され、受信者に届かなくなるリスクが高まります。
最後に、配信前の確認フローや、配信リストのテスト環境、管理者権限の設定など、ヒューマンエラーを防ぐ仕組みを整えておくことが重要です。配信リストの管理ミスや設定間違いによる誤送信は、ブランドイメージの低下や顧客離れにつながる恐れがあります。
メール配信システムを構築するメリット
自社でメール配信システムを構築する主なメリットは以下の3つです。
- 自由なカスタマイズができる
- セキュリティ水準を自社基準で管理できる
- 長期的にコスト削減できる可能性がある
自由なカスタマイズができる
自社構築であれば、配信機能や管理画面の仕様、操作性まで自社ニーズに合わせて自由に設計できます。CRMやECなど、既存の業務システムとの連携も柔軟に行えるため、ワークフロー全体を最適化しやすくなります。
また、配信ロジックやテンプレート設計を細かく制御できるため、ターゲットに合わせたメール戦略を自在に実行できるのも大きなメリットです。
セキュリティ水準を自社基準で管理できる
顧客情報を社内環境で一元管理できるため、外部クラウドへの依存による情報漏えいリスクを回避できます。自社のセキュリティポリシーに沿って設計・運用ができるため、アクセス制限やログ管理、監査対応まで含めた柔軟な対応が可能です。
万一の障害や法規制変更にも、自社判断で迅速に対応できる運用体制が整えられるのは自社構築ならではの強みです。
長期的にコスト削減できる可能性がある
初期投資こそ必要ですが、クラウド型サービスで発生する月額利用料や配信数に応じた従量課金がないため、長期的に見れば総コストを抑えられる可能性があります。また、機能を限定したシンプルな構成でスタートすれば、無駄な機能や外部委託コストを抑えながら、段階的な運用が可能です。
内製化により、システムの改修・拡張にも柔軟に対応できるため、トータルでの費用対効果が高まります。
メール配信システムを構築するデメリット
自社でメール配信システムを構築する場合、効率的なメール配信を実現できる一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります。
- 専門知識と技術力が求められる
- 高い導入コストとランニングコストがかかる
- メール配信にまつわるトラブル対応の手間がかかる
専門知識と技術力が求められる
自社でメール配信システムを構築するには、メールマーケティングやインフラ運用に関する専門知識が不可欠です。サーバやシステムの適切な設計・運用には高度な技術力が求められるため、知識不足が原因でシステムの正常な稼働が困難になるリスクがあります。
技術者の確保や継続的なスキルアップが必要となり、初期投資や運用負担が増大する点が大きなデメリットです。
高い導入コストとランニングコストがかかる
自社でシステムを構築する場合、サーバやソフトウェアの購入・構築に多額の初期費用がかかります。加えて、導入後も保守や運用のための人件費が継続的に発生します。
システム構築・導入に必要な時間とリソースを確保するため、社内リソースが限られる場合は特に負担が大きくなります。
メール配信にまつわるトラブル対応の手間がかかる
メール配信にともない日々発生する未達メールやスパム判定などの問題が生じた際に迅速な対応が求められることもシステム構築のデメリットです。送信者ガイドラインや業界の変化に合わせて、常に最適なメール到達率を維持するための調整が必要となるためです。
結果として、専任の担当者による運用とトラブル対応の体制を整えなければならず、管理や保守にかかる手間が増えてしまいます。
メール配信システムを自社構築できない場合
自社にエンジニアがいない、あるいは構築・運用にかけられる時間やリソースが限られている場合、自社でシステムをゼロから構築するのは現実的ではありません。無理に内製化を進めるよりも、既存のクラウド型サービスや専門ベンダーを活用するほうが合理的です。
特に、メール配信はセキュリティ対策や迷惑メール対策、認証設定などの技術的な要素が多く、想像以上に専門性が求められます。加えて、トラブル対応や運用改善といった日常業務まで考えると、単に「作って終わり」では済まないのが現実です。
そのため、配信インフラだけでなく、運用支援や改善提案まで含めてサポートしてくれる外部サービスの活用は、十分に理にかなった選択肢といえるでしょう。
メール配信システムの選び方
ベンダー提供のメール配信システムを導入する際は、以下のポイントをおさえて選定することが重要です。
- 配信規模に合った料金プランを選ぶ
- 必要な機能が揃っているかを確認する
- 到達率やサポート体制にも注目する
配信規模に合った料金プランを選ぶ
メール配信システムの料金体系は、「配信通数」「登録アドレス数」「機能制限の有無」などによって大きく異なります。無料プランがあるサービスでも、上限を超えると急激に課金が発生するケースもあるため、将来的な運用規模を見越しておくことが重要です。
特に、大量配信を前提とする場合は、従量課金型か月額固定型かによってランニングコストが大きく変わるため、料金モデルの違いにも注目しましょう。
必要な機能が揃っているか確認する
自社の目的に応じて必要な機能が揃っているかを事前に確認することが大切です。例えば、EC事業者ならカゴ落ち通知やトリガーメール、BtoBならステップメールやHTML作成ツールが重視される傾向があります。
また、搭載されている機能の“使い勝手”にも注目が必要です。たとえば「セグメント配信」があっても、リスト条件が複雑に設定できない場合は実用性に欠けることもゼロではありません。機能名だけで判断せず、実際の操作画面を確認したり、無料トライアルなどを活用して使用感を確かめたりすることが有効です。
到達率やサポート体制にも注目する
メールの到達率は、配信システムの品質を左右する重要な指標です。SPF・DKIM・DMARCなどのドメイン認証機能があるかどうかに加え、実際の到達率や迷惑メールフィルタの回避実績を公開しているかもチェックポイントになります。
また、サポート体制も運用面では見落とせない要素です。導入時の初期設定サポートや、トラブル時に対応してくれる窓口(メールのみ/チャット/電話)など、サポート範囲はサービスによって大きく異なります。運用を任せるメンバーのITスキルに応じて、必要なサポート内容を見極めましょう。
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到達率やサポート体制を重視するメール配信システムを選ぶなら、弊社CRMシステム「Synergy!」をぜひご検討ください。
まとめ
メール配信システムは、登録された顧客リストに対して、事前に設定した内容のメールを自動で一斉配信できるツールです。自社にサーバを設置して運用する「オンプレミス型」と、インターネット経由で利用できる「クラウド型」があり、それぞれに特徴があります。
自社構築を行う場合は、ネットワークやドメイン環境の整備、メールサーバや配信ソフトの設定など、高度な専門知識が必要です。構築・運用には一定のコストとリソースが求められるため、社内体制が整っていない企業にとってはハードルが高いのも事実です。
メール配信システム機能を利用できるクラウド型CRMツールのSynergy!は、自社でサーバやシステムを構築する必要ないため、初期コストを抑えて短期間で導入できます。専門知識を持ったエンジニアが不在でも利用でき、自動アップデートによって保守管理を任せられるため、初めてメール配信に取り組む方でも安心してご利用いただけます。
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