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S/MIMEとは?なりすまし・盗聴を防ぐメールセキュリティの仕組みをCRMのプロが解説

<この記事でわかること>

  • S/MIME(エス・マイム)が「電子署名」と「暗号化」でメールの安全性を高める仕組みだとわかります。
  • ビジネスメールに潜む「なりすまし」「盗聴」「改ざん」といった具体的なリスクが理解できます。
  • S/MIMEがどのような仕組みでメールを守っているのか、技術的な背景がわかります。
  • CRMツール「Synergy!」で、安全なメールマーケティングを実現する方法がわかります。

S/MIMEとは?なりすまし・盗聴を防ぐメールセキュリティの仕組みをCRMのプロが解説

日々の業務で欠かせないメールは、最も身近なビジネスコミュニケーション手段である一方、情報漏えいやなりすましなどのサイバー攻撃の標的にもなりやすいツールです。送信者を装ったフィッシング詐欺や、通信経路での盗聴・改ざんといったリスクは、企業の信頼や取引に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

こうした脅威からメールを守る仕組みとして注目されているのが「S/MIME」です。本記事では、S/MIMEの基本的な仕組みからビジネスにおける重要性、具体的なメリットをわかりやすく解説します。

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S/MIMEとは

S/MIMEとは

S/MIME(Secure / Multipurpose Internet Mail Extensions)とは、電子メールのセキュリティを向上させるための暗号化方式の1つです。

役割は非常にシンプルです。S/MIMEは、電子証明書を利用して、メールに対して主に以下の2つの機能を提供します。

  • 電子署名:メールの送信者が本人であることを証明し、内容が改ざんされていないことを保証する。
  • 暗号化:メールの内容を第三者から読み取られないように保護する。

これら2つの機能により、ビジネスメールに「信頼性」と「機密性」を付与することができるのです。Microsoft社のOutlookやiPhoneの標準メールソフトなど、多くのメールクライアントがS/MIMEに対応しています。

S/MIMEによるメールセキュリティが重要な理由

日々の業務で何気なく使っているメールですが、その通信経路にはさまざまな脅威が潜んでいます。ここでは企業が直面する具体的なリスクと、S/MIMEがなぜその対策として有効なのかを見ていきましょう。

なりすましによるフィッシング詐欺

取引先や上司、システム管理者などを装って偽のメールを送りつけ、IDやパスワード、機密情報を盗み出そうとする「フィッシング詐欺」は、年々手口が巧妙化しています。実際に、フィッシング対策協議会によると、フィッシング情報の届出件数は年々増加しており、とくに2024年は著しく増えています。

国内のフィッシング情報の届け出件数

画像出典:フィッシング対策協議会|フィッシングレポート2025 p.1

一見しただけでは本物と見分けがつかないメールによって、金銭的な被害や深刻な情報漏えいにつながるケースも少なくありません。

盗聴による情報漏えい

通常のメールは、送信者から受信者に届くまでに複数のサーバを経由します。この経路の途中で、悪意のある第三者がメールの内容を盗み見る「盗聴」のリスクがあります。

契約情報や個人情報、新製品に関する情報など、機密性の高い情報が外部に漏えいする可能性も考えられます。

メールの改ざん

メールの内容が配送途中で悪意を持って書き換えられる「改ざん」も深刻なリスクです。たとえば、請求書に記載された振込先口座番号が書き換えられてしまえば、直接的な金銭被害につながります。

これらのリスクは、一度発生すると企業の金銭的損失だけでなく、顧客や取引先からの信頼を失うという計り知れないダメージにつながります。だからこそ、事前の対策が極めて重要になるのです。

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S/MIMEの仕組みをわかりやすく解説

ここでは、S/MIMEの「電子署名」と「暗号化」がどのような仕組みで実現されているのかを、少し掘り下げて見ていきましょう。S/MIMEでは「公開鍵暗号方式」という技術が用いられます。これは、誰にでも公開する「公開鍵」と、自分だけが持つ「秘密鍵」というペアを使って、安全な情報のやり取りを実現する仕組みです。

「電子署名」の仕組み

電子署名は、現実世界でいう「印鑑証明付きの封筒」のような役割を果たします。まず、メール本文からその内容をもとに「ハッシュ値」と呼ばれる短いデータを生成します。これは、文面を要約した一意の識別情報のようなものです。

S/MIMEの電子署名の仕組み図解。送信者が秘密鍵で生成した署名を、受信者が公開鍵とハッシュ値を用いて検証し、改ざんを防ぐ流れ

次に、送信者が自分だけが保有する「秘密鍵」を使ってこのハッシュ値を暗号化します。この暗号化されたデータが「電子署名」です。メール送信時には、本文・電子署名・公開鍵の3点をセットで相手に送ります。受信者は送信者の「公開鍵」で署名を復号することで、その送信が正当な本人によるものであるかを確認します。

さらに、受信側でも同じ方法でメール本文からハッシュ値を再生成し、署名の中身と照合します。両者が完全に一致すれば、途中で内容が改ざんされていないことが証明され、信頼できる通信が成立します。

「暗号化」の仕組み

暗号化とは、「相手の鍵でしか開けられない特別な箱」に手紙を入れて送るようなものです。まず、メールを安全に送るための「共通鍵」を一時的に生成します。この共通鍵を使ってメール本文を暗号化しますが、そのままでは第三者に共通鍵を盗まれる可能性があります。

そこで、受信者の「公開鍵」を使って共通鍵自体を暗号化します。送信時には、暗号化されたメール本文と暗号化された共通鍵を一緒に相手へ送ります。受信者は、自分だけが持つ「秘密鍵」を使って共通鍵を復号し、その共通鍵でメール本文を元の状態に戻します。

こうして、秘密鍵を持つ本人だけが内容を読むことができる仕組みとなっており、外部からの盗聴や改ざんを防ぐ安全な通信が実現されます。

S/MIMEが実現するセキュリティ対策

S/MIMEが実現するセキュリティ対策

S/MIMEを導入することで、前述したリスクに対して具体的にどのような対策が可能になるのでしょうか。3つのポイントに整理して解説します。

【電子署名】送信者の身元を証明し「なりすまし」を防ぐ

S/MIMEの電子署名が付与されたメールでは、「誰が送ったものか」を受信者が明確に確認できます。メールソフト上にはリボンのマークなどが表示され、それが送信者が正当な本人である証拠になります。

こうすることで、受信者は一目でそのメールがなりすましではないと判断でき、フィッシング詐欺や不正アクセスといったリスクを回避しやすくなります。

【暗号化】メールの内容を保護し「盗聴」を防ぐ

S/MIMEを用いてメールを暗号化すると、送信者と意図した受信者以外は内容を解読できなくなります。たとえ通信経路の途中で第三者にメールデータを盗まれたとしても、中身を読み取られることはありません。そのため、機密情報や個人情報を安全にやり取りすることができます。

【改ざん検知】内容の変更を検知し「改ざん」を防ぐ

電子署名には、メールの内容が送信された時点から変更されていないことを保証する役割もあります。もし配送途中で本文や添付ファイルが1文字でも改ざんされた場合、受信者がメールを開いた際に「このメッセージは変更されている可能性があります」といった警告が表示されます。このように意図しない内容の変更に気づくことができ、トラブルを未然に防ぎます。

まとめ

日常的に使われているメールは、業務上の重要情報を扱うことも多く、セキュリティリスクへの対策が欠かせません。なりすましや盗聴、改ざんといった脅威は、ひとたび発生すれば金銭的な損失だけでなく、取引先や顧客からの信頼を大きく損なう恐れがあります。

S/MIMEは、こうしたリスクを根本から防ぐための有効な技術です。電子署名によって「誰が送ったメールか」を証明し、暗号化によって「第三者に内容を読まれない」状態を実現します。さらに、改ざん検知によって配送途中での不正な書き換えも防ぐことができるため、メールを安全で信頼できる通信手段へと変えることが可能です。

シナジーマーケティングが提供するCRMツール「Synergy!」は、S/MIMEに標準対応しています。メール配信機能だけでなく、顧客データベースやフォーム機能と連携することで、安全性と利便性を両立した運用が実現できます。企業の信頼を守りながら、顧客とのコミュニケーションをより確かなものにしたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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