CSは、Customer Satisfaction(カスタマー サティスファクション)の略称とCustomer Success(カスタマー サクセス)の略称の場合があり、似ているようで両者の指す内容はまったく異なる。
前者、Customer Satisfaction(カスタマー サティスファクション)とは、端的に言うと顧客満足を指す。CRMでは、顧客が満足し、その満足が継続することを出発点としているため、CRMという手法にとってCSは非常に重要なコンセプトである。
CSという概念が使われるようになる以前は、商品の質や新しい商品は生産者が主導権を持って行われてきた。しかし、時代の変化とともに次製品開発には、顧客である消費者の意向を考慮すべきという考えられるようになり、従来の生産性や効率主義から顧客満足度(CS)の重要性が問われるようになった。
CSは、1970年代の後半に、アメリカで消費者の苦情処理を調査していたジョン・グッドマンによってはじまったといわれている。1990年代になって、F・F・ライクヘルドがロイヤルティーの概念を体系化したことによって顧客の満足度を算出し、CRMを行う際に必要な消費者の基盤構築をすることが可能になった。
顧客満足を追求することで過度なサービス競争が発生し、経営を圧迫する弊害も起きている。CSにおいて重要なことは顧客満足を追求するだけではなく、顧客満足を売上に繋げていくプロセス構築となる。
一方で、後者Customer Success(カスタマー サクセス)は、顧客の成功体験にコミットするチーム・組織・役割を指し、CSやカサスと略される。
顧客満足を目指している点は前者のカスタマーサクセスと同じですが、Customer Satisfactionが数値や状態を指すのに対し、Customer Successは活動や職種、工程などを指す場合が多くなる。
その点ではCustomer Support(カスタマーサポート)に近しい用語でもある。
実際、IT企業や海外の分業が進んでいる社内では、マーケティング・インサイドセールス・セールス・カスタマーサクセス・カスタマーサポートと、水平分業のように役割を分担することが多く、社内に新たなチームとして新設されることが増えている。
特にIT業界で注目されている最大の要因は、クラウドなどサブスクリプションサービスの台頭により、継続利用の促進と離反防止、つまりLTVでの顧客評価がビジネスの収益性に大きなインパクトを持つようになったことがあげられる。
初期投資は低く、月額や年額も低価格に抑え、多くの契約件数と長期の利用を見込むサービスにとっては、すべての顧客に早い段階で契約をつづける動機を獲得してもらう必要がある。
この契約後のサービス定着こそがCustomer Successに求められている内容で、従来セールスやカスタマーサポートが受動的に担っていた役割を、能動的に効率的に提供するチームとして採用されることが多くなっている。
また、IT業界以外でも、これまでの訪問営業による顧客接点が薄れ、オンラインや他社サービス経由での受注・契約など、詳細な顧客理解のないままに販売が先行するケースも増えており、顧客理解と長期的な関係構築のためにチームが新設されたり、セールスやサポートからリソースの再配置を行うケースも増えている。
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