メルマガ配信時に注意したい法律とは?おさえておくポイントも解説
<この記事でわかること>
- 特定電子メール法は、広告や宣伝を目的とするメール全般を対象とし、事前同意や送信者情報の明記が必須である。
- 特定商取引法との違いは「送信行為」と「広告内容」の規制対象であり、両方の理解と遵守が必要。
- オプトイン・オプトアウトの仕組みを正しく運用し、同意取得の証拠を保存することが法的に求められる。
- 個人情報保護法や著作権法もメルマガ運用に関わるため、情報管理やコンテンツ利用に十分配慮する必要がある。
- 法改正への対応やリスト管理体制の整備を継続的に行うことで、安心かつ成果につながるメルマガ配信を実現できる。

メルマガは企業にとって有効なマーケティング手段ですが、配信には「特定電子メール法」をはじめとする法律の遵守が必要です。違反すれば、信用失墜や高額な罰則といった深刻なリスクを招く可能性があります。
本記事では、特定電子メール法の概要や特定商取引法との違い、適用範囲、オプトイン取得の注意点、さらに個人情報保護法や著作権法など関連法令まで、配信時に押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

これからメールマーケティングを始める方は必見の資料です!
メルマガ成功のカギは、最適なコミュニケーション方法を知ること。メールマーケティングの始め方を学べる資料で、基本を押さえましょう。
<目次>
メルマガ配信時に気をつけたい特定電子メール法とは
メルマガをビジネス目的で配信する際は、「特定電子メール法」の理解と遵守が欠かせません。特定電子メール法に違反すると、企業の信用失墜や高額な罰金といった深刻なリスクを招くこともあります。
ここでは、特定電子メール法の基本的な知識と注意点をわかりやすく解説します。
特定電子メール法の概要
特定電子メール法は、2002年に施行された法律です。主な目的は、無差別に大量送信される迷惑メールを規制し、利用者が快適にインターネットを使える環境を保護することにあります。
特定電子メール法が規制の対象とするのは、商品やサービスを紹介・宣伝するなど、営業上の目的を持つ電子メール全般です。単なる迷惑メールだけでなく、企業が配信するメールマガジンも、広告や宣伝を含む場合はこの法律の対象です。そのため、配信者は受信者の事前同意の取得や、送信者情報の正確な表示といったルールを守る義務があります。
特定電子メール法に違反した場合
特定電子メール法に違反すると、非常に厳しい罰則が科せられます。例えば、受信者の同意を得ずにメールを送信したり、送信者の氏名や住所などを偽って表示したりする行為は明確な違反です。
違反した場合、個人には1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人には最大で3,000万円という高額な罰金が科される可能性があります。
特定商取引法との違い
メルマガ配信に関わる法律として、「特定電子メール法」と「特定商取引法」は混同されがちですが、規制の対象が異なります。特定電子メール法が規制するのは、メールの「送信行為」そのものです。つまり、誰が、誰に対して、どのような許可を得てメールを送るかというルールを定めており、主な対象者はメール配信者やその委託者です。
一方、特定商取引法は、広告の「内容や表現」を規制する法律です。誇大広告や虚偽の表示などを禁じており、主な対象者は広告主である販売業者などになります。両方の法律を正しく理解し、それぞれの義務を遵守することが重要です。
特定電子メール法の適用範囲
メルマガを配信する際、すべてのメールが法律の対象になるわけではありません。特定電子メール法では、規制の対象となるメールと、適用されないメールが明確に定義されています。
ここでは、どのようなメールが法律の適用範囲に該当するのかを解説します。
特定電子メール法が適用になる場合
特定電子メール法が適用されるのは、主に「広告または宣伝を目的としたメール」です。具体的には、自社の商品やサービスを紹介し、購入を促すような営利目的の内容が含まれるメールが該当します。
また、メール本文に直接的な広告文がなくても、販売サイトやランディングページといった広告・宣伝用のWebサイトへ誘導するリンクが記載されている場合も規制の対象です。
携帯電話番号宛てに送信されるSMSも、特定電子メール法の規制対象です。さらに、送信元が海外であっても、日本の消費者向けの営業目的メールであれば、同様に法律が適用されるため注意が必要です。
特定電子メール法が適用にならない場合
規制の対象外となるのは、広告・宣伝の要素を一切含まないメールです。例えば、ECサイトでの注文完了や発送を知らせる通知、料金の支払い案内といった、取り引き上の事務連絡のみを目的としたメールは適用されません。
また、営利目的ではない時候の挨拶や、非営利団体が活動内容を知らせるメールなども対象外です。重要なのは、メールに「広告・宣伝の意図」がなく、かつ「営業目的でWebサイトへ誘導する意図」もないことです。これらの要素が両方とも含まれていない場合に限り、法律の適用を受けずに送信することが可能です。

法律違反しないためにメルマガ配信の際に押さえておくべきポイント
メルマガ配信は企業のマーケティング施策として有効な手段ですが、特定電子メール法をはじめとする法律のルールに従わなければなりません。
ここでは法律違反を防ぎつつ、安心してメルマガを配信するために押さえておくべき基本的なポイントを3つ紹介します。
▼オプトインとオプトアウトについて

事前に受信者の同意を得る(オプトイン)
メルマガを合法的に配信するための大原則は、「オプトイン」、つまり事前に受信者本人から明確な同意を得ることです。同意なく一方的に広告宣伝メールを送ることは、特定電子メール法で厳しく禁じられています。
同意を取得する際には、誰が送信するのかという「送信者情報」と「広告宣伝を含むメールである旨」をユーザーにわかりやすく提示しなければなりません。また、提携サイトなどを通じて第三者経由で同意を得る場合も、最終的に誰からメールが送られてくるのかを受信者が正しく認識できる状態にしておく必要があります。
▼ユーザーが同意したことを明確に自覚できるボタンを配置する例

オプトインについては、以下の記事を参考にしてください。
配信停止の導線を設置する(オプトアウト)
受信者の同意を得て配信を始めたメルマガでも、受信者がいつでも簡単に配信を停止できる「オプトアウト」の仕組みを設けることが法律で義務付けられています。
配信停止の申し出があった場合、事業者は原則として速やかにその後のメール送信を中止しなければなりません。そのため、すべてのメールの本文中に、配信停止手続き用のWebページへのリンクや、手続き方法を明確に記載する必要があります。
送信元情報・問い合わせ先を明記する
特定電子メール法では、メルマガの送信者に、自身の情報を正確に表示することを義務付けています。具体的には、「送信者の氏名または名称」「住所」「問い合わせに対応できる電話番号やメールアドレスなど」「配信停止の方法」を、メール本文中のわかりやすい場所に記載しなければなりません。
これらの情報が欠けていたり、虚偽の内容が記載されていたりすると法律違反となります。送信元を明確にすることは、法律遵守はもちろん、受信者に安心感を与え、スパムメールとの差別化を図る上でも極めて重要です。
オプトインの取得方法や注意点
ここでは、オプトインの取得方法や注意点、例外となるケースについてわかりやすく解説します。
受信者の同意を得るための適切な取得方法
メルマガ配信の同意(オプトイン)を得る際は、受信者が「広告宣伝メールの受信を承諾した」と明確に認識できる形でなければなりません。一般的なのは、会員登録フォームなどに「メールマガジンの配信を希望する」といったチェックボックスを設け、利用者自らがチェックを入れる方法です。
その際、同意を求める文言を小さな文字にしたり、わかりにくい場所に配置したりするのは不適切とされています。利用者の目につきやすい場所へ、はっきりと表示することが重要です。また、個人情報の取り扱いに関する同意文の中に「取得した情報を元に広告を含むご案内をお送りします」といった一文の明記も認められています。
同意取得の証拠を記録・保存する義務がある
特定電子メール法では、受信者から得た同意の証拠を、記録・保存することが義務付けられています。万が一トラブルが発生した際に「確かに同意を得ていた」ことを証明するためです。
記録には、いつ、どのような方法で、どの相手から同意を得たかといった状況を示す情報を含める必要があります。保存期間は、原則として最後にメールを送信した日から1ヶ月間です。ただし、総務省などから法律違反に関する措置命令を受けた場合は、保存期間が1年間に延長されます。
記録方法は、Webフォームのログや同意が記された書面など、取得手段に応じた形で適切に管理することが求められます。
オプトインが不要となる例外ケース
特定電子メール法では、事前の同意がなくても広告宣伝メールを送れる例外的なケースが定められています。代表的なのは、名刺交換をした相手方や、すでに契約などの取り引き関係にある相手方への送信です。すでに関係性があるため、一定の条件下でメール送信が許容されます。
また、自社のWebサイトなどでメールアドレスを公開している事業者に対しても、例外的に送信が可能です。ただし、名刺やWebサイトに「広告メールの配信はお断りします」といった拒否の意思が明記されている場合は、例外は適用されず、メールを送ることはできません。

メルマガ配信の際に知っておくべきその他の法律
メルマガ配信では特定電子メール法の順守が最重要ですが、他にも注意すべき法律があります。個人情報の取り扱いやコンテンツ制作に関連する法律違反は、企業としての信頼を損ねる重大なリスクとなるため、以下の法律もしっかり理解しておきましょう。
個人情報保護法
メルマガ配信で扱う氏名やメールアドレスは、特定の個人を識別できる「個人情報」として、個人情報保護法によって厳しく保護されています。この法律により、事業者は個人情報を取得する際に、その利用目的を本人に明示し、同意を得ることが義務付けられています。
例えば、「メールマガジンの配信のために利用します」といった目的をプライバシーポリシーなどに記載し、ユーザーが納得した上で登録できる仕組みが必要です。また、取得した個人情報は、外部への漏えいや不正アクセスが起きないよう、責任をもって安全に管理しなければなりません。
著作権法
メルマガに掲載する文章、画像、イラストなどのコンテンツは、一つひとつが著作権法によって保護されています。他人が作成した文章をコピー&ペーストしたり、インターネットで見つけた画像を無断で使用したりすると、著作権侵害にあたる可能性があります。
著作権侵害は、損害賠償請求や刑事罰の対象となる重大な法律違反です。他者の著作物を利用したい場合は、必ず許可を得るのが原則です。例外的に「引用」として利用することも可能ですが、その際は出典を明記すること、自分のオリジナルコンテンツが「主」で引用部分が「従」であることなど、法律で定められた厳格な条件を満たす必要があります。
法律を守りつつ成果を出すための運用のコツ
メルマガ配信は法律を遵守しながら行うことが必須ですが、単にルールを守るだけではなく、運用面でも工夫を重ねることで、より良い成果を出すことが可能です。法律対応を前提にした効果的な運用方法を理解し、継続的に改善していくことが重要です。
メルマガ登録フォームで法対応を明記
まず、「メルマガ配信に同意する」「個人情報の取り扱いに同意する」といった文言をわかりやすく記載し、ユーザーが何に同意するのかを認識できるようにします。同意を得るためのチェックボックスは、最初からチェックが入っている状態ではなく、ユーザー自らの意思でチェックを入れる設定にしましょう。
同意に関する説明文は、小さな文字や目立たない色で記載するのではなく、フォントサイズやデザインを工夫して、ユーザーが確実に見つけられるように配慮することが企業の信頼性向上にもつながります。
配信リストの管理体制を整備
メルマガの配信リストは、顧客の氏名やメールアドレスを含む重要な個人情報です。そのため、厳重な管理体制を整備することが法律で求められています。リストを保存するサーバやパソコンには必ずパスワードを設定し、ウイルス対策ソフトを導入するなど、技術的な安全管理措置を徹底しましょう。
また、担当者以外が安易にアクセスできないよう制限を設けることも情報漏えい対策として有効です。さらに、配信停止を希望した顧客の情報は速やかにリストから削除・更新し、誤って送信しない体制を整えましょう。
法改正へのキャッチアップを怠らない
メルマガ配信に関連する特定電子メール法や個人情報保護法は、社会情勢の変化に合わせて改正されることがあります。一度ルールを学んだ後も、総務省や個人情報保護委員会の公式サイト、業界ニュースなどを定期的にチェックし、常に最新の情報を把握するよう努めましょう。
法改正があった場合は、速やかに社内の運用マニュアルやプライバシーポリシーを見直し、変更点を関係者全員に周知徹底することが重要です。
まとめ
メルマガ配信で成果を出すためには、まず法律を順守することが大前提です。登録フォームでの明確な同意取得、配信リストの適正管理、法改正へのスピーディな対応は、企業の信頼を守るうえで欠かせません。これらを徹底することで、トラブルを未然に防ぎつつ、安心できる顧客コミュニケーションが可能になります。
こうした法令遵守と安全なメール配信を実現する上で、当社の「Synergy!」が役立ちます。法令対応を組み込んだ配信管理機能に加え、最新の法改正情報も提供。煩雑になりがちなコンプライアンス対応を自動化し、担当者の負担を減らしながら、確実で安全なメルマガ運用を実現します。
「Synergy!」を提供するシナジーマーケティング株式会社は、CRMやMA領域を含む幅広いマーケティング支援を展開し、企業の顧客基盤の強化を長年にわたりサポートしています。「安心して配信できる仕組みを整えたい」「法対応を意識しながら効率的に運用したい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。
 
	
CRMシステム「Synergy!」の特長が機能別でわかる資料です!
関連情報
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。




