D2Cとは

D2C(D to C)とは、Direct to Consumerの略で、メーカー・ブランドと消費者が、流通業者などを通さずに行う取引のこと。2000年代後半頃からアメリカのスタートアップ企業を中心に発展し、消費者と直接取引ができる効率の良さが注目を集めている。販売は実店舗ではなく自社ECサイトを軸におこなうことが多く、自社ECサイトの設置は避けては通れなくなっている。

従来の販売モデル(B2C)との違い

D2Cと似た用語に、B2Cがある。
B2C (B to C)とは、Business to Customerの略で、企業(法人)と消費者の取引のこと。
従来の、ブランド・メーカーが製造し、小売店経由で商品を販売するビジネスモデルがB2Cにあたる。

従来の販売モデル(B2C)とD2Cの違い

D2Cのメリット

メリット1)消費者との接点を創出

従来のB2Cビジネスでは、メーカー・ブランドが消費者像やニーズを把握しづらい状況にあった。しかし、D2Cでは消費者との直接的なコミュニケーションが可能になるため、消費者のフィードバックをサービス改善や製品開発につなげやすい。

また、作り手の顔が見えることや、双方向のコミュニケーションが取れることは、「安心感」という付加価値をつけ、他社との差別化が図れる。

メリット2)顧客データを収集・蓄積しやすい

自社でECサイトを持つことで正確な顧客データが収集できる。蓄積されたデータの分析をもとに顧客の行動プロセスや、潜在的なニーズを把握できれば、効果的なマーケティングを行える可能性が高まる。PDCAを回すことで、売り上げアップも期待できる。

メリット3)収益性が高い

製造から販売までを一貫してメーカー・ブランドが行うD2Cビジネスは、中間業者のコストがかからず非常に収益性が高い。
販売価格を抑えることで、高品質の商品を従来の価格より低い価格で消費者に提供することも可能。

メリット4)販売方法の自由度が高い

大手プラットフォームや小売店の規制に制限されることなく、メーカー・ブランドの販売方針に沿ったさまざまな販売方法を、柔軟に実施することができる。

D2Cのデメリット

デメリット1)販売環境構築・顧客獲得にコストがかかる

自社ECサイトを構築するための初期コストが必要になる。構築した環境を維持するのにも一定の費用が発生するため、中長期的なコストを確保しておく必要がある。さらに、顧客獲得のための広告やマーケティングのコストと、ノウハウも必要となる。

デメリット2)売上が軌道に乗るまでに時間がかかる

製品や販売経路(ECサイトなど)の消費者認知が課題となる。
ブランド認知度があまり高くない企業やスタートアップ企業は、特にその傾向が強い。

D2Cで成功するためには

D2C成功のポイント1)商品・サービス力

  • 唯一無二に近い価値を提供できているか:ありきたりな商品・サービスではなく、独自性が求められる。
  • LTV向上を狙いやすい商材か:新規顧客獲得のコストは既存顧客維持の5倍といわれており、大変ハードルが高い。一定周期で消費され繰り返し購入されるような商材を選定すれば、新規顧客獲得に膨大なコストを費やし続けるリスクを減らすことができる。
  • ECに適した商材か:物販系分野のBtoC-EC市場規模は年々増加している。その内訳をみると、商材分類ごとのEC化率に差があることがわかる。一概には言えないが、EC化率が高い商品はD2Cにも適している可能性が高い。

▽物販系分野のBtoC-EC市場規模

物販系分野のBtoC-EC市場規模(引用:経済産業省)
(引用:経済産業省

D2C成功のポイント2)コンテンツ力

D2C企業の多くが「消費者のニーズに適した高品質コンテンツ」を「定期的」に発信している。有益な情報を定期的に届けることで見込み顧客を顧客に育成し、既存顧客をリピーターに育成する。最終的にはファン化を目指す。
オウンドメディアメールマーケティング、ポッドキャスト(音声配信)、Youtube(動画配信)、冊子などがコンテンツとして活用されている。

D2C成功のポイント3)コミュニケーション力

メーカー・ブランドと消費者、または消費者同士のコミュニケーション活性化を促し、サービス改善や製品開発、ファンの育成につなげる。

(例)

  • SNSに投稿した画像のユーザーコメントで新商品を決定
  • SNSのLive配信で顧客との交流を図る
  • 消費者参加型の商品開発
  • ワークショップの開催

D2C成功のポイント4)消費者が希望する支払い方法をより多く用意する

自社ECサイト以外でも購入できる商品の場合、支払い方法や決済手段に付随するポイントサービスなどで購入先を選定する可能性がある。

D2C成功のポイント5)柔軟な配送対応

欲しいと思ったタイミングで商品を購入し、早く手もとに届くことを希望する消費者もいれば、スピーディーでなくてもよいから受け取り日時を指定したいと考える消費者もいる。製造から商品到着(場合によっては顧客からの返品)までの流通体系を整理し、柔軟な対応を心がけることが大切である。

シナジーマーケティングのD2C支援事例

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