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分析とは何か? ~“データ活用”の7つのプロセス Vol.1~

前々回、分析力だけでは武器にならない~“データ活用”を成功させる4つのポイント~で、

  • 分析への過度の期待=誤った認識があることが原因
  • “データ分析”だけではなく、“データ活用”をすることが重要
  • “データ活用”を7つのプロセスで理解すること
  • 7つのプロセスとは、1.調査・分析企画、2.情報収集・整形、3.集計・分析、4.データビジュアライゼーション、5.要約、6.統合・総合、7.施策の企画立案・実行

と書いたが、この“データ活用”の7つのプロセスに関してこれから全5回でまとめていくことを予定している。

今回は3.集計・分析になるが、
「“集計”とは、数字を集めて合計すること。たとえば、特定期間の売上明細データを合計して売上総額を算出すること。」
現場では“集計”した数字をどう“分析”していくかが課題になっている場合が多いので、 “集計”については上記で終え、“分析” に焦点をあてて話を進めていきたい。

“分析”とは、何か

「一言で言うと、分析とは何ですか?」と問われて、即答できる人はどれほどいるだろうか。
“分析”はビジネス現場で頻繁に使われている言葉だが、相互認識にズレがよくある言葉だと思う。

“分析”とは、そもそも何か。

たとえば、現場では「○○という問題に関して、分析しておいてほしい」、「△△を分析した結果・・・」というような話の文脈としては、“分析”するという言葉に「データから問題の本質をあぶりだして、効果的な解決策を立案する」という意味までが込められていることが多いのではないかと思う。

しかし、“分析”について、辞書で調べると

「分」:    分けること、区別すること。
「析」:    斧で木を割ること。分けること。とくこと。
「分析」: ある物事を分解して、それを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。

とある。(参照:広辞苑)

一言で簡単に言えば、“分析”とは「分けること」、もう少し加えると「モノゴトを明らかにするために分けること」になるだろうか。
“分析”という言葉は、この「分ける」という意味として厳密に使う方が誤解は起こらない。
少なくとも、“分析”に「企画アイデアを出して解決策を立案する」というような意味はないことには注意しておきたい。

なぜ分析(=分けること)が必要なのか

「モノゴトを明らかにするために、なぜ分けることが必要なのか?」
それは、分けて特定のある“部分”に注目することによって、“全体”としては見えなかった新しい事実を発見することができるからだ。

たとえば、全体売上が低下しているので「営業が弱い、営業力の強化が必要だ!」などと言われているという話はよく聞くが、このような場合、売上低下の真の原因が営業力かどうかをまず分析した方がいい。

なぜなら、データ分析により“部分”を見てみると、実は「A地域の売上が伸びている」、「B担当者の受注率は非常に高い」といった上手くいっているセグメントが見つかり、そして、その成功理由を聞いてみると、「その地域は製品ニーズにマッチした」、「その担当者は強固な優良チャネルを持っている」などというキーファクターが判明したりする。

つまり、“全体”では低下しており“営業力”が問題と思っていても、“部分”を分析してみると“製品”や“チャネル”など営業力以外の要素があり、それが成功の大きな要因になっているという事実が明らかになることも多い。

どの業界にも(たとえ全体が減少傾向でも)成長セグメントが大抵存在するもので、それは企業にとっては重要なセグメントとなるが、その重要な“部分”に着目することで、“全体”を見ているだけでは見出しにくいポイントや成功パターン(勝ちパターン)が明らかになってくる。だからこそ、“分析”して、“部分”に分けて考える必要がある。

分析力とは

ただ、“部分”に分けて“分析”すれば、必ず重要な“部分”が見つかり、示唆を得ることができるかというとそうとは限らない。成功するためには、分析力(上手く分ける力)が重要になる。

分析を繰り返し、何枚ものエクセル表やグラフを作成したものの、それに埋もれてしまい結局何が何かわからない状況になってしまった経験は、誰にでもあるのではないかと思う。
これは、とにかくモノゴトを分けてみたところどうしていいかわからなくなったという状況になるが、とりあえず機械を分解してバラバラにしてみたが、どう組み立て直していいかわからないことと同じことである。闇雲に分けていっても、なかなか重要な“部分”にたどり着かない。

では、どうすれば重要な“部分”に効率的にたどり着く効果的な分析(上手く分けること)ができるのか?

そのポイントを3つ紹介したい。

【ポイント1】アタリをつける

データベースに50項目あれば、単純に考えても分析軸の2つ組合せ(クロス集計)だけでも1,225通りある。では、それらの組合せをすべて実施していくのか?

当然ながら、すべてを網羅的に分析することなど現実的に不可能で、また、すべてではないにしても、とりあえず片っ端から分析していくことは効率が悪いばかりでなく、地図なしにジャングルを右往左往するようなものですぐに遭難することになる。

重要なことは、アタリをつけること。つまり、どの“部分”をどの“細かさ(深さ)”まで見るかが重要で、そこが分析の腕の見せ所になる(そのためには分析の目的と企画が明確になっていなければならないが、これは1.調査・分析企画でふれることにする)。

いまある情報から論理思考を使い、クリティカルなポイントを迅速かつ的確に見出し(アタリをつけ)、そこを適切な深さで深堀していく。それが分析力(上手く分けること)につながる。

【ポイント2】比較する

まず、下の写真を見て、この街の特徴を考えてみてほしい。

084_yasumatsu_09_2

これまでの経験からすると、なかなかここから多くの特徴を見出すことは簡単ではない。

では、次に下記の写真と先程の“比較”して、特徴を考えてみて欲しい。

084_yasumatsu_09_3

2つを比較してみるとどうだろうか。1つだけを見ていた時には見えてこなかった、街の中の様々な“部分”が浮き上がって見えてこないだろうか。
車の車線、信号、街頭、電線、自転車道路、建物・・・。

このように、比べるものをどう持ってくるかで見え方(視点)が大きく変わってくる。
適切な比較対象を設定するとどの“部分”をフォーカスすればいいかが浮き上がるため、効果的な分析をする(上手く分ける)ためには“比較する”ことも非常に重要になる。

【ポイント3】平均に騙されない

たとえば、顧客セグメントAと顧客セグメントBの平均年齢は全く同じ40歳、この2つの顧客セグメントは類似しているだろうか?

084_yasumatsu_09_4

このように、同じ平均40歳と言っても中身は全く異なる。このセグメントAに対して、40歳向けのソリューションを提供しても全く売れることはないだろう。
全体平均だけではなく、分布・分散を確認し、“平均のトリックに騙されない”ことが重要だ。

まとめ

ここではすべて紹介し切れないが、他にも多くの定石・考え方がある。
定石・考え方というのは、RFM分析を知っているなどという分析手法の知識レベルのことではなく、より普遍的なスキルのことである。
なお、こちらのオープンスクール5日間メール(無料)だけでも重要な情報が提供されているので紹介しておきたい。

今回は、データ活用の7つのプロセスの3.集計・分析の特に“分析”についてまとめた。次回は、4.データビジュアライゼーションについて書いていきたい。

“データ活用”の7つのプロセスシリーズ

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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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