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“データ・ビジュアライゼーション”で思考する
―情報に溺れず“考える”ためのスキルとは?
~“データ活用”の7つプロセス Vol.2~

分析力だけでは武器にならない~“データ活用”を成功させる4つのポイント~」で書いた“データ活用”の7つのプロセスについて、前回Vol.1では「分析とは何か?」を書いた。今回のVol2.はデータビジュアライゼーションに書いていこうと思う。

1. ただの数字の羅列からは、新しいものは生まれない

“集計・分析”はどの企業でもおこなわれている。たとえば、売上明細データから全体売上を集計し、さらに売上を拠点別、商品別、ブランド別、事業別などのグループ別に分析されていることも多いと思う。
しかし、適切な“集計・分析”がされていたとしても、その次のプロセスになる“データ・ビジュアライゼーション”を効果的に実施できているだろうか。

データ・ビジュアライゼーションとは、単にきれいなグラフを描くことだけではない。真のデータ・ビジュアライゼーションとは、情報にデザインを与えること。これによって、重要なことがらが数字に埋もれることなく、読み手のヒト本来の思考力を喚起、クリエイティビティを促すことができる。非常に重要なプロセスだが、“データ活用”のプロセスのボトルネックとなっていることが多い。

たとえば、“集計・分析”の結果を、【表1】のような“数表”のままでレポートしていないだろうか。
【表1】
094_yasumatsu_010_2

このような数字の羅列では、データから瞬時に重要な示唆を見出し理解することが難しい。
せっかくデータを“集計・分析”し、レポートしても、“数表”の状態では、数字を目で追うことに労力を使ってしまい、読み手に不親切な資料になる。そして、それをミーティングで使用することは会議全体の効率が悪くなり、低い生産性につながる。

会議でこのような“数表”の資料で説明がなされ、どこの数字を見ればいいのか探しながら難しい顔をして、始終“数表”とにらめっこし、最悪の場合、結局何がポイントだったのかまったく理解ができなかった、という会議の経験は誰にでもあることではないだろうか。

また、これはレポートを受ける立場だけではなく、分析者自身にとっても同様の問題が起こる。“集計・分析”し、このような“数表”にまとめて終わりになっていると、分析を深めていく新しい発見を得ることがむずかしい。ただの数字の羅列では思考は進まず、そこから新しいものは生まれにくい。

そこで、この“数表”から、まず売上金額の部分だけビジュアル化してみる。
【グラフ1】
094_yasumatsu_010_3

このようにビジュアル化すると直感的に「グループA」→「グループC」→「グループB」→「グループD」の順に売上規模が大きいことが一見してわかる。そして、グループAが最近急成長して首位を奪還したこと、以前トップだったグループBが低迷していることがわかる。さらに、ここまで見えてくると、成長性にグループ間で大きく差がありそうだということに気づく。

2.“データ・ビジュアライゼーション”で思考する

このようにデータをビジュアル化すると思考が進み、「ん?」と気になるポイントが出てくる。そして、その新しい気づきや疑問をさらっと流さず、注目して思考を深めていくことが重要になる。再度“集計分析”のプロセスに戻り、深掘りしていくことが、データ活用のプロセスを進める非常に重要なことになる。

このようにデータ活用のプロセスは決して直線的に一方通行に進むわけではない。新たな発見があれば、前のプロセスに戻りながらスパイラルアップするように進めることが必要になる。

ということで、【表1】より「売上成長性」を(各年売上金額)÷(初年売上金額)で算出してみる。
【表2】
094_yasumatsu_010_4

そして、同様にビジュアル化する。
【グラフ2】
094_yasumatsu_010_5

すると、グループDの「2004年以降の高い成長性」が目に入ってくる。グループAとCの成長、グループBの低迷は【グラフ1】で把握の通りかもしれないが、グループDの高い成長性は、【表1】や【グラフ1】から読み解くのは非常に困難だ。このように追加分析し、ビジュアル化することで新しい示唆を得ることができる。

次に、【表1】の顧客数をビジュアル化する。
【グラフ3】
094_yasumatsu_010_6

すると、グループAが圧倒的に高いことがわかる。
さらに【グラフ1】売上金額と比較してみると、【グラフ3】はグループ間の異なる傾向が出ているようにみえる。売上金額と顧客数は相関していないということは、客単価に違いがあるのではないか、という考えにいきつく。

その視点を深堀すべく、再度“集計・分析”し、売上金額を顧客数人口で割り、客単価を算出してみる。
【表3】
094_yasumatsu_010_7

同様に、客単価もビジュアル化してみる。
【グラフ4】
094_yasumatsu_010_8

すると、グループDは、2位のグループBの2倍以上あり、2004年以降急上昇し、直近では減少に転じていること、一方グループB,C,Aはそれほど変動ないことが一目瞭然になる。

繰り返しになるが、“数表”の数字を1つ1つ読みながら事実認識の方にアタマの大部分を使うのは、極めて効率が悪い。“数表”を確認するのに精一杯になり、活発な議論につながらず、新しいアイデアを出すこともむずかしい。

一方、ビジュアル化すると、上がっているのか、下がっているのか。他と比べてどうなのか。直感的に一目で理解することができ、ポイントになる事実を格段に見いだしやすくなるため、さらに思考が進む。とにかく重要なことは、“考える”ために“ビジュアル化”するのであり、“ビジュアル化”してから“考える”という習慣づけである。

3. “考える”ために“ビジュアル化”し“ビジュアル化”して“考える”ためのスキル

データをビジュアル化するためのスキルは、さまざまだ。今回は線グラフを使用したが、棒グラフ、積み上げ棒グラフ、散布図、バブル図などグラフの種類だけでも、用途に応じた使い方が異なる。

たとえば、今回のデータでいうと売上金額、売上成長率、客単価の3指標をバブルチャート1枚で表現することも効果的な可視化になる。(参考:マーケティングデータの把握におけるビジュアライゼーションの効用)

しかし、一方でバブルチャートや散布図より、よりスタンダードな棒・線グラフの組み合わせの方が効果的な場合もある (参考:統計非専門家の認知を促進するための情報の可視化)。その利用はケースバイケースで使い分けが必要になる。

データ・ビジュアライゼーションは目的に応じた定石があるが、今回はそのすべてを紹介することはできない。とにかく重要なことは「単にグラフ化すればいいというわけではないということ」である。そして、とにかく極限にまでシンプルに描くということ。複雑なグラフは、一見よさそうに見えるかもしれないが、内容は伝わりにくい。

“考える”ために“ビジュアル化”するのであるから、思考が促進するようにビジュアル化するよう工夫しなければならない。“ビジュアル化”して“考える”ということは、まずデータをビジュアル化して考え、考えながらビジュアル化を工夫し、ビジュアル化を工夫しながら考えるということが必要になる。実際、単純に見えるシンプルなグラフも、効果的なものを一度で作成できるわけではない。情報を削ぎ落とし、デザインをシンプルにしていくことは、高い技術が要求される。

ビジュアル化の工夫が上手くいけばいくほど、それだけ思考は深まる。ビジュアル化を工夫していきながらデータに向き合い、思考を深めていくのである。単に作業的にグラフを作成するだけではない。エクセルのグラフ機能でもさまざまな機能があるので、それらを駆使しながら、“考える”ための“ビジュアル化”を工夫し続けていくことが重要である。

4. まとめ:データ・ビジュアライゼーションのポイント

  • 数字・表のままでは思考は進まない
  • データの羅列はやめよう
  • データをビジュアル化してから考える
  • 考えるためのビジュアル化を工夫する

【補足】
なお、エクセルのカラースケールという機能があるが(下記参照)、“数表”だけよりは格段にいいが、やはりグラフの方が思考が進むし、表現力が高いため、まずはグラフで取り組むことをおすすめする。

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また、下記サイトも紹介しておきたい。
分析のための考え方」(Foresight & Company)

“データ活用”の7つのプロセスシリーズ

※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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