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「数字」から「言葉」を紡ぎだす
~“データ活用”の7つのプロセス Vol.3~

分析力だけでは武器にならない~“データ活用”を成功させる4つのポイント~」で書いた“データ活用”の7つのプロセスについて、Vol.1で「分析とは何か?」、Vol2.は「“データ・ビジュアライゼーション”で思考する―情報に溺れず“考える”ためのスキルとは?」を書いたが、今回は「“要約”のプロセス」について書いていこうと思う。

1. 分析してグラフを描いて、本番はここから

“集計・分析”で数字を出し、“データ・ビジュアライゼーション”でグラフなどに図解化する。
その次の“要約”とは、その「数字」・「図解(チャート、グラフ)」から読み取れることを「言葉」にし「意味」を抽出するプロセスになる。

107_yasumatsu_011_2※「分析力だけでは武器にならない~“データ活用”を成功させる4つのポイント~」より抜粋

“データ活用”プロセスの順序は上図のとおりだが、弊社実施の「CRMデータ活用研修」では、“要約”のプロセスのワークから始めることにしている。経験上、この“要約”から入ると、「なぜ“データ・ビジュアライゼーション”が重要か」「“集計・分析”する際に見据えておくべきことは何か(闇雲に数字を出しても仕方がない)」など、前段のプロセスのキーポイントを意識しやすいため、このようなプログラム・デザインにしている。

実際、“集計・分析”→“データ・ビジュアライゼーション”→“要約”は、各プロセスの内容や必要となるスキルは異なるものの、時間的には一連の流れとして行うことも多いだろう。そのため、“要約”までを視野に入れて取りかかることは効果的な“分析”につながるし、また目的にそった“要約”ができそうかを判断できればミニマムで“分析”を切り上げて次プロセスに効率的に進むことができる。

“集計・分析”した「数字」は“データ・ビジュアライゼーション”を経て、“要約”され「言葉」になる。“分析”も“データ・ビシュアライゼーション”も、その「言葉」を紡ぎだすためのプロセスといっても過言ではない。 “集計・分析”や“データ・ビジュアライゼーション”のスキルを高めていく前に、“要約”についてしっかりと理解しておきたい。

2. 「数字」や「グラフ」から「言葉」を紡ぎだすということ

ヒトは「言葉」にすることで「意味」を理解できるようになる。

たとえば、「戦略とは」で書いたカエサル(ジュリアス・シーザー)のファルサルスの戦いの戦力分析( 『ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以後[上]』塩野七生著)として、

相手の戦力5.4万(重装歩4.5万、騎兵0.7万、その他0.2万)、カエサル側2.3万(重装歩兵2.2万、騎兵0.1万)

という「数字」(定量データ)がある。表にすると下記の通り。

107_yasumatsu_011_3 

そして、本書を読み進めると

歩兵騎兵ともに劣勢

という「言葉」が続く。

つまり、相手戦力の「数字」(定量データ)から、 「歩兵騎兵ともに劣勢」 という「意味」を抽出したことがわかる。表1の「数字」から直接的に「意味」を理解することは難しい。このように「数字」を解釈し「言葉」にすることで、「意味」の理解が進む。

なお、ここで「全体として劣勢」と“要約”したのでは、この後に行う戦略策定での「意味」が大きく変わってきてしまう。「歩兵騎兵ともに劣勢」と“要約”することが極めて重要になるが、その理由に関しては割愛するので本著物語を読んでもらいたい。この圧倒的劣勢の状況からカエサルが勝利するストーリーは、“戦略”を理解するためにも好事例であると思う。

3. Why? と So What?

図1を見てほしい。

107_yasumatsu_011_4

図1は、グラフの上の赤枠内の“要約”(「メッセージ」)を未記入にしているのだが、この赤枠の下のグラフだけのような「メッセージがない資料」には、随所で遭遇する。

最近聴講したプレゼンテーションにそうしたスライドがあったが、案の定そのスライドへの質問で時間を浪費した。口頭で説明し切れなくとも“要約”が資料に書かれていれば、読み手の理解が進み、より深い議論の時間に有効活用できたのではないかと思う。

レポート資料にせよ、プレゼンテーション資料にせよ、『メッセージ』が適切に伝わることが重要なことは言うまでもないが、さらに「メッセージはレポーティングやプレゼンテーションの相手のためだけのものでは決してない」ということも付け加えておきたい。

分析した本人にとっても、“要約”せずに分析結果をためておくと、いわゆるエクセルに埋もれる状態になる。“要約”し簡潔に「言葉」を書き留めておけば、何の目的でどのような結果を出したものなのか、その「意味」を瞬時に思い出すことができる。1つ1つの分析結果を“要約”し適切な「言葉」にしていくかどうかが、その後のプロセスを進めていく上での分水嶺(ぶんすいれい)になる。

では、実際に図1の赤枠の部分にどのような「メッセージ」をいれるか、“要約”を考えてみてほしい。このようなワークを前述の「CRMデータ活用研修」では最初に行う。

  • 「なぜWhy?」を5回繰り返すというのは、あまりにも有名だが、“要約”の際には「So What?」と自問する。
  • 「Why?」が掘り下げるための問いかけであれば、「So What?」 はまとめ上げるための問いかけになる。
  • 分析結果をレポートして、「で、それで? だから何?と言われた」というのはよく聞く話だが、まさに“要約”のプロセスではグラフを見ながら「So What?」(「で、それで?」「だから何?」)と問いながら進めていく。

再度、上記の図1を見て、「So What?」と問いかけ、“要約”を考えてみてほしい。

図1を“要約”し、どのような「メッセージ」を書いただろうか。参考までになるが、私は下記のように記述した。

107_yasumatsu_011_5

もちろんこれが答えではないし、そもそも“要約”に唯一の正解はないので、あくまで参考までということでお願いしたい。

上記の“要約”の正否はともかくとして、重要なことは「“要約”がない資料では読み手側に『数字』や『図解(チャート、グラフ)』から『意味』を抽出する作業をその場でさせることになる」ということだ。それは不親切な資料で、まるで「メッセージ」のない手紙のようなものだろう。

確かに、解釈をいれず数字だけを見たいという要望もあるが、その場合であってもレポーティングやプレゼンテーションをする以上は自分なりの“要約”(「メッセージ」)は用意しておきたい。

なお、“要約”(「メッセージ」)は「言葉」にする必要があるが、伝える手段は「言葉」だけではない。今回は、「言葉」で明示することにフォーカスをしているため、あえてグラフにデザインを加えていないが、本来であればデータ・ビジュアライゼーションを工夫し、図解全体でも「メッセージ」を表現するのがよい。

4. 陥りやすい誤り

“要約”というプロセスについて、簡単にできるという印象を持たれているかもしれない。しかし、これまでの経験から言っても、意思決定を左右しかねない重大な間違いのある“要約”は、よくある。繰り返しになるが、“要約”に正解はない。しかし、明確に間違いであるケースはある。

図2を自社の売上と考えて「So What?」と自問ながら、“要約”し赤枠に「言葉」を書いてみてほしい。

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この種の自社売上の“要約”として、「近年売上が低下しているのは、営業に問題がある。営業改革が急務である。」というようなものを少なからず見る。

「売上が低下している」まではいいが、売上低下と聞くと、営業の問題・営業強化などと特定の原因・解決策に結論づけてしまうケースが散見される。売上が低下している理由は、製品力の低下かもしれないし、サポート力の低下かもしれない、とにかくさまざまな可能性があり、このグラフだけでは営業力が問題かどうかまでは判断できない。

実際に営業について調べれば、事実として営業の問題があるかもしれないが、このグラフの段階からはそれを導き出すことができず、その「メッセージ」を示すには別の分析をする必要がある。それを営業の問題とするのは、あきらかに『論理の飛躍』になる。

このような論理の飛躍が最も陥りやすい誤りである。
ヒトは、持っている知識(思い込み)によって何らかの考えの癖(偏り)が出てしまう。その思い込みというのは偏った解釈を引き起こす。そして、ひとたび論理が飛躍した解釈をしてしまうと、その間違いが新たな強い思い込みとなり、一人歩きしてしまい全体として事実を見間違え、誤ったアクションにつながってしまう。

大小の差はあれ、このような経験は誰しもが持っていると思うが、それはヒトの特性だからこそである。それを克服するためには、徹底的に論理的思考を持って省みるスキルと強くしなやかな姿勢が求められるのだろう。

何となくロジカルな感じというのが最も危ない。「So What?」と自問し“要約”した「メッセージ」に対して、「本当にこれはこの数字・グラフから論理的に言えるのか?」と徹底的にロジック・チェックすることを忘れてはならない。

なお、図2については、私は下記のように記述したが、どうだろうか。

107_yasumatsu_011_7

5. 「言葉」に一言一句こだわる

極端に言うと、“要約”とは、「定量データ」を適切な「定性データ」に変換すること、と理解してもいいのかもしれない。

“要約”を見据えて“分析”すること、有用な「言葉」で「意味」を抽出できる“分析”を心がけること、が重要であって、「数字」を出すだけで満足してはいけない。高い分析力を駆使して、クリティカルな「数字」を算出したとしても、その「意味」を正しく「言葉」化できなければ読み手に伝わらず、価値にはならない。重要な「数字」を出しているにも関わらず、その「意味」を抽出しきれずに流れてしまうということは避けたい。また、「言葉」にしたとしても曖昧で漠然とした表現では、後々のプロセスで理解がズレてしまい、最終的な解決策実行における判断ミスにつながってしまう。

意味ある「言葉」をいかに紡ぎだすか。“データ活用”は、そこにかかっている。
“要約”のプロセスでは、心を無にして素直にあるがまま捉え、ロジカルシンキング(演繹、帰納)を徹底し、自身の思い込みや偏った見方を排除し、一言一句の細部にこだわり、意味ある「言葉」を紡ぐ。そうして紡ぎだされた「言葉」と「言葉」が織りなされていけば、問題の本質が浮きあがり、さらには解決に向けての新しい発想につながっていく。

次回は、意味を“統合・総合”し、発想するプロセスについて書こうと思う。

“データ活用”の7つのプロセスシリーズ

※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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