メールマーケティングにおけるKPIとは?決め方や便利なツールを解説
<この記事でわかること>
- メールマーケティングでは、成果につなげるために「開封率」「クリック率」「コンバージョン率」などのKPIを設定・分析することが重要です。KPIはKGI(最終目標)を実現するための中間指標として機能します。
- KPIを設定する際は、KGIから逆算して「配信数 × 到達率 × 開封率 × クリック率 × CVR」といった施策の構造を因数分解し、どこに改善余地があるかを見える化することが有効です。
- KPI改善のためには、件名や配信時間の最適化、セグメント配信、導線設計などの細かな施策を継続的に見直す必要があります。到達率や開封率といった“前提条件”の改善も軽視できません。
- こうした施策を効率よく行うには、メール配信システムの活用が効果的です。自動リストスクリーニングやABテスト、リアルタイムレポートなどの機能により、PDCAを高速に回せます。
メールマーケティングの効果を最大化するためには、成果の「見える化」が欠かせません。配信数や開封率、クリック率といったKPIを正しく設定・分析することで、現状の課題が明確になり、施策の改善につながります。
とはいえ「そもそもKPIって何?」「どこを見ればいいの?」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、メールマーケティングにおけるKPIの基本から、具体的な改善手法、ツール活用による効率化までを詳しく解説します。
<目次>
メールマーケティングにおけるKPIとは
メールマーケティングの成果を最大化するためには、まずKPIを正しく理解し、設定することが大切です。
ここでは、メールマーケティング施策の成果を測る上で不可欠なKPIの基本的な考え方から、最終目標であるKGIとの関係性、そしてKPIがなぜ重要なのかについて、基本からわかりやすく解説します。
そもそもKPIとは
KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)は、最終目標(KGI)を達成するための中間目標を数値で表したものです。目標の進捗状況を定量的に把握・管理するために使われ、適切に行動できているかを確認する指標となります。
KPIを設定する際は、単に測れるだけでなく、現実的に実行でき、目的としっかり関連し、日次や週次など、適切なタイミングで評価できることが重要です。KPIを設けることで、組織の活動を効果的にコントロールし、確実な成果へと導くことが可能になります。
KPIとKGIの違い
KPIとよく混同されがちな言葉に、KGI(Key Goal Indicator)があります。KGIは「売上高」や「成約件数」など、ビジネスの最終的な成果目標を示す指標です。
一方でKPIは、そのKGIを達成するために必要な中間プロセスを測る指標であり、行動レベルでの達成状況を把握するのに役立ちます。たとえばKGIを「年間売上10億円」と設定した場合、KPIには「月間メール経由での商談数50件」などが該当します。
KGIから逆算してKPIを設定し、両者を連動させて運用することが、目標達成に向けた確かな戦略の構築につながります。
メールマーケティングでKPIが重要な理由
メールマーケティングにおいてKPIを設定することは、施策の成果を評価し、改善を続けるために欠かせません。KPIを設けることで、ROI(投資対効果)を定量的に可視化できるようになり、限られた予算の中でどの施策にリソースを集中させるべきかといった判断にも役立ちます。
また、KPIを通じて開封率やクリック率、コンバージョン率などの指標を分析することで、PDCAサイクルを回すための基盤が整います。さらに、マーケティング部門だけでなく営業や経営層を含む組織全体で「何を目指すのか」という共通のゴールが明確になるため、全社的な目線の統一が図れます。共通の指標に基づいて議論・改善が行えるため、組織全体で一貫性のある戦略実行が可能になり、成果につながりやすくなるのです。
メールマーケティングの主要なKPIの種類
メールマーケティングの効果を測定するには、複数のKPIを多角的に分析する必要があります。
ここでは、代表的な5つのKPI「配信数」「到達率」「開封率」「クリック率」「コンバージョン率」について、それぞれの意味と役割を詳しく解説します。
配信数
配信数は配信したメールの総数を指し、メールマーケティング施策の規模を示す最も基本的なデータです。開封率やクリック率といった、ほかのKPIを算出する際の分母にもなります。
配信数は、ただ数が多ければ良いというわけではありません。関心の低い相手にまで送ると、かえってブランドイメージを損なう可能性もあります。やみくもに増やすのではなく、精度の高いターゲティングとの両立が大切です。
到達率
到達率は、配信したメールのうち、エラーなどが発生せずに受信者のメールサーバに正常に届いた割合を示す指標です。どんなに優れたコンテンツも、相手に届かなければ意味がありません。そのため、メールマーケティングの成果を支える大前提となる重要な指標です。
到達率が低い場合は、送信ドメイン認証技術(SPF、DKIM)の設定不備や、配信リストの品質が原因と考えられ、リストの精査や配信環境の見直しが必要です。
開封率
開封率とは、送信したメールのうち、実際に受信者が開封した割合を示す指標です。単なる配信数ではなく、メールが届いたうえでどれだけ読まれたかを測るため、メールマーケティングにおける重要な判断材料となります。
開封の検知は、メール本文に埋め込まれた画像データの読み込みによって行われるため、正確な数値を取得するにはHTML形式での配信が必要です。件名のABテストを行い、より高い開封率を目指して改善を重ねるのが一般的な方法です。
クリック率
クリック率は、メールを開封した受信者のうち、本文内に設置されたリンクやCTA(Call to Action)ボタンをクリックした人の割合です。メールで届けたコンテンツやクリエイティブが、読者の関心やニーズと合致していたか、次の行動を促すだけの魅力があったかを測る重要な指標といえます。
クリック率が低い場合は、コンテンツの見直しや、リンクの配置、セグメント配信の精度などを改善していく必要があります。
コンバージョン率
コンバージョン率(CVR)は、メールをクリックしてWebサイトなどに遷移した受信者のうち、商品の購入や資料請求、セミナー申込といった最終的な成果(コンバージョン)に至った人の割合を指します。売上などのKGIに直結しやすく、メールマーケティングの費用対効果を測る上で最も重要なKPIの一つです。
メール本文の訴求内容と、リンク先のランディングページ(LP)の内容に一貫性を持たせ、スムーズな導線を設計することがコンバージョン率を改善するうえで重要です。
メールマーケティングのKPIを決める方法
主要なKPIの種類を理解したところで、次はいよいよ自社の目的に合ったKPIを設定するフェーズです。ここでは、成果につながるKPIを具体的に決めるための3つのステップを、順を追ってわかりやすく解説します。
最終ゴール(KGI)から逆算してKPIを設計する
効果的なKPIを設定するためには、まず最終的なゴールであるKGIを明確にすることが出発点となります。たとえば「メール経由の売上を年間1,000万円にする」といったKGIを最初に定め、目標達成に必要なプロセスを逆算して設計する流れが基本です。
次に、メールマーケティングの施策がKGIの実現にどのような役割を果たすかを整理し、目的との関連性が高い数値指標をKPIとして設定します。KPIとKGIの関係性が明確であれば、進捗管理や改善施策も精度が高まり、成果につながりやすくなります。
中間指標を因数分解して施策の構造を可視化する
KGIとの関連性を明確にしたあとは、成果に至るまでの中間指標を因数分解し、施策全体の構造を可視化します。たとえば「配信数 × 到達率 × 開封率 × クリック率 × CVR = 成約数」のように数式で表すことで、どの指標が成果に影響を与えているかが把握しやすくなるでしょう。
また、どの段階にボトルネックがあるのかも明確になり、改善すべきポイントの特定につながります。各指標の関係性を可視化することで、改善の優先順位を論理的に判断でき、効率的な施策運用が可能になります。
過去データと業界平均をもとにKPI目標を数値化する
KPIの項目を明確にしたあとは、各指標に対して具体的な数値目標を設定します。目安となるのは、自社の過去の配信実績です。これまでの開封率やクリック率、コンバージョン率の平均値を算出し、現実的な基準として活用しましょう。十分なデータがない場合は、業界の平均値や他社事例を参考にするという方法も有効です。
目標は初回で完璧に定める必要はありません。短期的な達成目標と中期的な成長目標を段階的に設定することで、実行可能性を保ちながら柔軟な改善が可能になります。
メールマーケティングのKPIを決めるポイント
KPIの設定方法を理解したうえで、さらにその精度と実用性を高めるためには、押さえておくべきいくつかの重要なポイントがあります。ここでは、KPIを設計・運用する上で特に意識したい3つのポイントを解説します。
KPIはマーケティングと営業の連携を前提に設計する
メールマーケティングの成果が商談や受注といったKGIに結びつくケースでは、マーケティング部門と営業部門の連携を視野に入れることが望ましいでしょう。
リードの獲得から成約に至るまでの流れの中で、各部門がどのような役割を担うのかをあらかじめ整理し、共通認識を持っておくことが重要です。必要に応じて営業部門と対話を重ね、現実的で納得感のある指標を設定することで、よりスムーズな連携が期待できます。
また、定期的に進捗を確認する場を設けることで、状況を共有しながら柔軟に改善していく体制づくりにもつながるでしょう。
KPIが未達成のケースに備えて対策シナリオを準備する
KPIは一度設定して終わりではなく、目標に届かなかった場合にどのような対応を取るかをあらかじめ想定しておくことが大切です。たとえば「クリック率が目標を下回った場合は、CTAボタンのデザインを変更し、ABテストを実施する」といった具体的な改善策を事前に用意しておくと、施策の効果検証がスムーズに進みます。
もしKPIが未達だった場合、「問題の特定」「仮説の立案」「代替案の即時実行」の3ステップを繰り返しましょう。たとえば、開封率が想定より低い場合、「件名」「差出人名」「配信時間帯」のいずれに要因があるかを仮説立てし、ABテストで検証するサイクルをルール化すると、PDCAの再現性が高まります。
成果だけでなくプロセス改善も視野に入れたKPIを設計する
コンバージョン率のような成果に直結するKPIに加えて、施策の健全性や運用の質を評価するプロセス改善の指標も設定しましょう。たとえば、配信エラー率の低減やメール到達率の向上といった指標は、短期的には売上に結びつかない場合がありますが、安定した成果を継続的に生み出すための基盤となります。
こうした指標を設定することで、単発の施策で終わらせず、継続的に改善を重ねていく姿勢が組織に根づきやすくなります。施策をやりっぱなしにせず、改善点を見つけて対応し続ける文化を育てるうえでも、プロセスに着目したKPIの活用は欠かせないといえるでしょう。
メールマーケティングのKPIを改善する方法
KPIは、設定するだけでは成果につながりません。ここでは「到達率」「開封率」「クリック率」「コンバージョン率」の4つの主要KPIそれぞれについて、具体的な改善策を詳しく解説していきます。
到達率編:メールがきちんと届くようにするための改善策
到達率を高めるには、リストスクリーニングの定期的な実施が重要です。無効なアドレスやエラーが頻発するアドレスを除外することで、スパム評価を避けやすくなります。
あわせて、SPF・DKIM・DMARCといった送信ドメイン認証を設定すれば、なりすましと判定されるリスクを防ぎ、メールが正しく受信される可能性が高まります。こうした作業は手動では手間がかかるため、メール配信システムを活用して自動化するのがおすすめです。
さらに、IPアドレスの評判(レピュテーション)を維持することも、迷惑メールとして扱われないための大切な要素です。リスト、認証、インフラの3つを整えることで、メールが確実に届く環境が整い、マーケティング全体の成果にもつながっていきます。
開封率編:メールを開いてもらうための改善策
到達したメールを実際に開封してもらうには、第一印象である件名の工夫が大切です。受信者の注意を引くには、「数字」「緊急性」「具体性」を盛り込んだ言葉を選びましょう。
件名は15文字程度に要点を凝縮し、モバイル画面でも見やすい長さに調整しましょう。また、差出人名の表記も信頼性に影響します。企業名だけでなく担当者名を加えるなど、親しみや信頼を感じやすい名前を使用することで、開封率の向上が期待できます。
さらに、配信タイミングにも配慮が必要です。ターゲットの生活リズムや業務時間を意識し、反応されやすい曜日や時間帯に合わせて配信することで、開封される可能性を高められます。
クリック率編:メール本文から次の行動へつなげる改善策
クリック率を高めるには、本文レイアウトの工夫やCTAの配置だけでなく、「誰にどの内容を送るか」も重要です。「Synergy!」のような配信ツールでは、過去の行動に応じて配信内容を変えるシナリオ設計が可能です。
たとえば「資料請求はしたが申し込みに至っていない層」に対して、補足資料やFAQを案内するメールを送ることで、クリック率が平均の2倍以上になった事例があります。メールは単なる情報の押し付けではなく、相手の状況に応じて次の行動を後押しするコミュニケーションツールだと捉えましょう。
コンバージョン率編:受信者を実際の行動へ導くための改善策
コンバージョン率を高めるには、導線設計を見直し、CTAボタンの位置や文言を工夫して、ストレスなくアクションできる環境を整えましょう。フォームの入力項目も最小限に絞ることで、心理的・時間的ハードルを下げ、離脱を防ぎやすくなります。また、メールの内容に合わせてメッセージを出し分けることで、受信者の関心やニーズに即した情報を届けられます。
メール本文とランディングページの情報に一貫性を持たせることも重要です。表現や訴求ポイントにズレがあると信頼性を損ねるため、内容の整合性を保ちながら、受信者が納得して次のステップに進める設計が求められます。
これからメール配信システムを検討する方に知っておいてほしい基本の考え方
どんなシステムが自社にあっているのかを検討するためには、メールマーケティングの基本と考え方を押さえましょう!
メールマーケティングのKPI改善にはメール配信システムが便利
KPIを継続的に改善していくには、施策ごとのデータを正確に把握し、スピーディに対応する仕組みが欠かせません。安定して成果につなげるためには、高機能なメール配信システムを導入することが現実的な選択肢です。
ここでは、配信システムを活用することで得られる具体的なメリットや活用のポイントを解説します。
メール配信システムとは
メール配信システムとは、大量のメールを一斉に効率よく配信するために開発された専用のツールです。一般的なメーラーでは対応が難しい数千〜数百万通のメールを、短時間かつ安全に送信できるのが大きな特長です。専用サーバを用いたインフラと配信制御の仕組みにより、安定した運用が可能になります。
また、SPF・DKIM・DMARCといった送信ドメイン認証の自動設定や、IPアドレスの分散、配信タイミングの最適化など、迷惑メール判定を回避するための技術が標準搭載されています。フリーメールやキャリアメールへの到達率も高く維持でき、企業の信頼性を損なうことなく配信を行うことが可能です。
メール配信システムがKPI改善に効果的な理由
メール配信システムは、KPIを継続的に改善していくための環境を整える強力なツールです。たとえば、自動リストスクリーニング機能により、無効なアドレスやエラーの多い宛先をあらかじめ除外できるため、正確な到達率データを基にした改善が可能になります。
また、顧客の属性や行動履歴に応じて配信内容を最適化できるセグメント配信機能を活用すれば、ターゲットごとの興味関心に沿った情報提供ができ、開封率やクリック率といった指標の向上につながります。
さらに、件名や配信タイミングをABテストで比較検証することで、最も効果的な配信パターンを見つけやすくなり、PDCAサイクルの精度とスピードが向上します。
メール配信システムを導入するその他のメリット
メール配信システムはKPI改善だけでなく、マーケティング施策全体の再現性を高める点でも有効です。属人的な施策設計から脱却し、誰でも同じように配信できる「型化」や「共有」が可能になります。
CRM活用に失敗した企業の多くは、目的と手段が曖昧なまま導入を進めた結果、現場での活用が定着せずに終わっています。KPIはあくまで「組織で追う共通の指標」です。配信ツールを活用することで、営業・マーケの連携がスムーズになり、行動が可視化され、KPI改善に向けた現場のPDCAもスピードアップします。
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まとめ
メールマーケティングを効率化するには、適切なKPIを設定することが重要です。配信数、開封率、クリック率、コンバージョン率など複数の指標を組み合わせて分析することで、施策の精度を高めるとともに、予算やリソースを効率的に活用できます。
KPI改善を現場で着実に進めるために役立つのが、当社のCRM「Synergy!」です。「Synergy!」は顧客データの一元管理に加え、高度なセグメント配信、ABテスト、配信エラーの自動排除など、メールマーケティングに必要な機能をワンパッケージで提供。開封率やクリック率、コンバージョン率といった各KPIを可視化し、改善につなげやすい仕組みが整っています。
「Synergy!」をはじめ、シナジーマーケティング株式会社では、Salesforce導入企業向けMAツール「Synergy!LEAD」、さらには施策設計から運用代行、効果測定までを包括的に支援するデジタルマーケティング支援事業も展開しています。自社のメール施策を本気で改善したい、施策の成果をもっと伸ばしたいとお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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