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顧客ロイヤルティーを高めるメリットとは?CRMを利用した高め方も解説

顧客ロイヤルティーを高めるメリットとは?CRMを利用した高め方も解説

人の気持ちや感情など、心理的要因に根ざした行動を読み解くためのキーワードとなるのが「顧客ロイヤルティー」です。
顧客ロイヤルティーとはどのようなものであり、高めていくと企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。CRM(顧客関係管理)を利用した顧客ロイヤルティーの高め方とあわせて解説します。

顧客ロイヤルティーとは、顧客からの信頼や愛着を意味する言葉

顧客ロイヤルティーとは、顧客が企業の商品やサービス、ブランド、または企業そのものに対して抱く「信頼や愛着」を意味する言葉です。ロイヤルティーは英語でLoyaltyと書き、「忠誠心」を意味します。なお、「ロイヤルカスタマー」という言葉を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。ロイヤルカスタマーとは、商品・サービスやブランド、企業に信頼を寄せ、継続的な購入・利用をしているロイヤルティーの高い顧客のことです。

顧客ロイヤルティーは通常、新規顧客が商品やサービスを最低1回は購入・利用し、企業や商品に対して何らかの好印象を持っている状態から生じます。単発的な商品の購入だけではなく、顧客がいわば「ファン」になって長期的に商品を購入してくれれば、企業側は継続的に利益を向上させることができます。

マーケティングの世界でよく使われる「1:5の法則」とは、新規顧客獲得のコストは、既存顧客維持の5倍かかるという意味です。近年、競合他社との差別化が難しくなり、新規顧客の獲得コストはますます増加する傾向があります。そんな中、既存顧客の顧客ロイヤルティーを高めて安定した売上向上に結びつけるという考え方は、より重視視されるようになっているのです。

顧客の4つのセグメント

顧客ロイヤルティーは、「心理ロイヤルティー」と「行動ロイヤルティー」の2つに分けられます。

  • 心理ロイヤルティー
    心理ロイヤルティー(または態度ロイヤルティー)は、顧客が企業や商品に対して抱く感情面のロイヤルティーを指します。信頼、愛着、思い入れといった感情が該当し、具体的には「あの企業の商品なら安心」「あのブランドのモノを身に着けると幸せな気持ちになる」といった状態が挙げられます。
  • 行動ロイヤルティー
    行動ロイヤルティーは、顧客の行動面に表れるロイヤルティーを指します。顧客が実際に商品を継続的に購入する、サービスを利用し続ける、ほかの人にすすめるなどの行動が挙げられます。

心理ロイヤルティーと行動ロイヤルティーの高さは、必ずしも連動しているとは限りません。2つのロイヤルティーの組み合わせによって、顧客は下記の4つにセグメントすることができます。

<顧客ロイヤルティーの4象限>

顧客ロイヤルティの4象限(出所)Dick and Basu(1994)に基づき作成

「心理・行動ロイヤルティーが両方とも高い」顧客

心理と行動が一致して高い状態にある顧客は「真のロイヤルティー」と呼ばれ、企業やブランドが最も重視すべき顧客層(ファン層)です。

「心理ロイヤルティーは高いが、行動ロイヤルティーは低い」顧客

心理ロイヤルティーは高いが行動ロイヤルティーは低い顧客は、企業に好意的な印象を持ってくれているが何らかの理由により行動に表れていない顧客で、「潜在的なロイヤルティー」と呼ばれます。
憧れてはいるものの高価で買えない高級車、興味はあるものの立地的に遠くてなかなか利用できないリゾートホテルなどが該当します。

「心理ロイヤルティーは低いが、行動ロイヤルティーは高い」顧客

心理ロイヤルティーは低いが、行動ロイヤルティーは高い顧客は、一見、優良な顧客のように見えますが、実は心理面での結びつきが低い顧客です。「見せかけのロイヤルティー」とも呼ばれます。たまたま買いやすい、利用しやすいからといった理由で顧客となっていますが、そこに心理的な強い結びつきがあるわけではありません。そのため、状況が変われば簡単に別の選択をするおそれがあります。

「心理・行動ロイヤルティーが両方とも低い」顧客

心理・行動ロイヤルティーが両方とも低い顧客は、その企業に興味や関心がない、あるいは認知していない顧客です。つまり、「ロイヤルティーなし」の状態といえます。

顧客ロイヤルティーの指標

顧客ロイヤルティーを把握するには、顧客の状態を定量評価するための指標を用いるのが一般的です。その指標は、主に下記の4つがあります。

顧客満足度

顧客が企業に対して抱いている満足度を表すのが顧客満足度です。顧客満足度を測るにはいくつか方法があり、中でもポピュラーなのはCSI(Customer Satisfaction Index)と、CSIをベースに日本版としてカスタマイズされたJCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)です。JCSIは、顧客が商品やサービスに対して抱く「購入前の期待」や「購入後の満足」を中心に、6つの項目でアンケート調査をしてその結果を分析します。

なお、顧客満足度はあくまで顧客がどれだけ商品やサービスに満足しているかを示すものであり、そのまま顧客ロイヤルティーを表すものではありません。顧客満足度が高くても、その後のサポートが十分でないなどの理由で、顧客が離れることもある点には注意が必要です。

顧客継続率

顧客継続率(リテンションレート)は、一定の期間中に取引を継続している顧客の割合を示す指標です。対象期間を決めた上で、期間開始時の既存顧客数、期間終了時の総顧客数、期間中に増えた新規顧客数を調査して計算します。

<顧客継続率の計算式>
顧客維持率=(期間終了時の総顧客数-期間内の新規顧客)÷期間開始時の既存顧客数×100

顧客継続率は、サブスクリプションサービスやSaaSなどにおける、顧客ロイヤルティーを探る際によく用いられます。

LTV

顧客との取引を始めてから終わるまでの期間中に得られた利益の総額を示すのが、LTV(Life Time  Value)です。「顧客生涯価値」と訳されます。
LTVの計算式はいくつかあり、代表的な計算式は下記のとおりです。

<代表的なLTVの計算式>
(1)LTV=平均購入単価×平均購入回数×継続期間
(2)LTV=平均購入単価×粗利÷解約率
(3)LTV=年間取引額×収益率×継続期間

上記の計算式のうち(1)は、LTVの基本的な計算式です。主にリピート商材のLTVを算出したい場合に用いられます。
(2)は、解約率が重要な要素となる商材のLTV算出によく用いられます。主にサブスクリプション型の商材やサービスに用いられる計算式です。
(3)は、収益率をもとにした計算式となっており、主にBtoB商材における自社の利益を算出する際に用いられる計算式です。

NPS®

NPS(Net Promoter Score)は、顧客が商品やサービスを「他人にもすすめたいか」を調査して評価する指標です。

対象者に「あなたはこの商品(サービス・企業・ブランド)を、親しい人にどのくらいすすめたいと思いますか」と質問し、0~10点の11段階で答えてもらいます。その点数で回答者を「批判者(0~6点)」「中立者(7、8点)」「推奨者(9、10点)」の3つに分類し、下記の計算式でNPSを導き出します。

<NPSの計算式>
NPS=推奨者の割合-批判者の割合

顧客満足度が顧客の現在の満足度を数値化するのに対し、NPSは顧客の未来の行動を測定するものとされます。スコアが高いほど顧客が商品やサービスを継続的に購入、あるいは利用する可能性が高く、企業の業績(収益)との相関が高いことでも知られています。

※:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。

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顧客ロイヤルティーを高めるメリット

顧客ロイヤルティーを高めると、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとして、下記の5つが挙げられます。

リピート率の向上

顧客ロイヤルティーを高めるメリットとして、最も効果を実感するのはリピート率の向上でしょう。顧客ロイヤルティーが高いほど、顧客はその商品を繰り返し購入するようになります。特に、消費財などはその傾向が強く表れます。

商品だけでなく、企業自体やブランドに対する顧客ロイヤルティーが高くなれば、同じ店舗に何度も足を運んで商品を購入する頻度が増えるようにもなります。その現象は、ECサイトでも同様に起こるはずです。リピーターが増えることは、売上の底上げや安定化につながります。

解約の抑制

解約の抑制は、特にサブスクリプションサービスなどで重要となるメリットです。顧客ロイヤルティーが高い状態を保っていれば、利用中のサービスの解約は抑制されるでしょう。
サービスの内容に満足しているだけでなく、信頼感や親しみを感じている顧客は、他社サービスへの乗り換えを考えることも少なくなるはずです。商品の場合は、顧客が1つの商品の後継モデルを選び続けていくといった行動が見られます。

顧客単価アップ

顧客ロイヤルティーが高い顧客の購買行動は、より上位の商品を購入するアップセル、関連商品を併せて購入するクロスセルにつながる可能性が高くなります。例えば、気に入っている店舗で洋服や生活雑貨を購入するときには、目的の商品といっしょにほかの商品も同時購入するといった行動が目立つようになります。
つまり、顧客ロイヤルティーの高い顧客ほど、顧客単価が高くなっていくのです。最初は安価な商品を購入していたとしても、継続利用するうちにだんだんと高価な商品を買うようになることも期待できます。

口コミによる拡散効果

顧客ロイヤルティーが高まると、その顧客が友人や知人に商品やサービスをすすめる可能性も高くなります。実際に商品を購入して使っている人の口コミ情報には説得力があり、新たな購買行動や顧客獲得につながるケースも少なくなく、その拡散・宣伝効果は場合によって広告以上ともいえるでしょう。

個人の情報発信力は、SNSをはじめとするインターネットによって強まってもいます。顧客自身が商品やサービスの魅力についてコメントすることは多いです。さらに、顧客ロイヤルティーの高い顧客がいると、企業側のSNSなどを通じた情報発信に対するレスポンスの多さや、情報拡散の速さなどが向上する傾向があります。

新規開発・サービス改善

顧客ロイヤルティーの高い顧客が多くなれば、顧客側からの意見や要望、提案を得る機会も増えてきます。そうした生の情報を新たな商品開発やサービス改善に反映させ、より需要にマッチしたものを提供するというサイクルも確立できるでしょう。
口コミ行動が促進されると、このような「共創」に近い効果も得られるようになります。

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CRMを利用した顧客ロイヤルティーの高め方

顧客ロイヤルティーを高める方法にはさまざまなものがあります。ここでは、CRMによる顧客ロイヤルティーの高め方についてご紹介しましょう。

CRMによるマーケティング施策で顧客ロイヤルティーを高める

そもそもCRMとは、企業が顧客と良好な関係性を構築し、その関係を長期間にわたって継続していくためのマネジメント手法を指します。Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略で、「顧客関係管理」と訳されます。

CRMを行えば、顧客データにもとづいたメールマーケティングによる施策などを用いて、顧客一人ひとりの状況に応じたアプローチが可能です。そのことにより、顧客との良好な関係の構築を目指していけます。

CRMの「顧客との良好な関係構築」と「顧客ロイヤルティーの向上」は、まったく同じものというわけではありません。しかし、CRMによるマーケティング施策を継続的に行っていくことが、顧客ロイヤルティーを高める有効な方法のひとつとなることは間違いないでしょう。

マーケティングに必要な属性データや顧客行動データを管理する

CRMにおいて顧客との関係構築のベースとなるのが顧客データです。顧客データには、顧客の氏名・住所・年齢・性別などの属性データはもちろん、購買履歴などの行動データも含まれます。行動データの一例としては、問い合わせ履歴や、メルマガのクリック数や・クリック率、店舗でのクーポン利用の回数、アンケート回答などがありますが、それらのデータもシステムで管理可能です。

こうした顧客データは、顧客のことを深く知るための手掛かり・基盤となります。その際、すべてのあらゆるデータを検証するのではなく、まずは自社にとって必要となるデータは何かを明確にしていきましょう。一人ひとりの顧客が、これまでどのように自社や自社の商品と関わってきたかをデータから読み取ることができれば、その顧客が求める最もマッチしたアプローチの仕方も見つかるはずです。

メールマーケティングによって顧客との関係を構築する

CRMでの顧客に対するアプローチ方法でよく利用されるのが、メールマーケティングを用いた施策です。メールマーケティングは、メールを用いて顧客に対して情報提供や反応に応じたアクションをし、顧客のニーズを引き出したり、購買行動を促したりする手法です。

メールマーケティングには顧客の検討度合いやアクションに合わせたメールを送る「ステップメール」、見込みの高い顧客に対して顧客が欲するタイミングで自動配信する「リターゲティングメール」などがあります。これらは、顧客が商品やサービスと接触して興味を持った時点から、購入して利用を続けるあいだのすべてのプロセスで満足度を高めるという、「顧客体験(CX)」の向上に結びつきます。こうした方法を上手に活用すれば、顧客とのつながりを徐々に強化していくことが可能です。

もちろん、メールマーケティングだけが顧客とのつながりを作る唯一の方法ではありません。例えば、既存顧客を対象とした会員サイトを作り、そこで顧客が求めるような情報発信、ナーチャリングのためのコンテンツ提供、各種サポートなどを行うことも、より良い関係構築に役立ちます。その場合はメールマーケティングを、その会員サイトへのアクセスを促すためのツールとして利用することができます。
いずれにせよ、顧客データを基盤として顧客のことを知り、各種施策を用いて顧客とのつながりを作って強化していくのが、CRMの基本的仕組みです。

まとめ:顧客をよく知り、つながりを強化するCRMによって顧客ロイヤルティーは高まる

顧客ロイヤルティーを高めるには、顧客に対する理解を深め、顧客接点の創出や強化、顧客体験の向上などを目指すことが重要です。CRMはそのための方法のひとつとして、顧客についてよく知り、つながりを強化することに大きく役立ちます。

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Synergy! – CRM・顧客管理システム

CRMについて、詳しくはこちらの記事もご参照ください。
【日本経済新聞掲載】CRMツールの活用で顧客ロイヤルティー向上に挑む象印マホービン

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