Synergy!顧客データ分析アンケート/リサーチデータ分析・活用製造
老舗メーカーの交換部品ECサイトが「全社的な顧客基盤」として成長できた理由とは?
〜会員数・売上UPだけでなく社内文化醸成をも支援した事例〜
給湯機器や厨房機器などの製造販売を行う大手メーカー・リンナイ株式会社。その中で、「Rinnai Style(リンナイスタイル)」は、2006年に交換部品販売用のECサイトとして小さく産声を上げました。そこから約18年が経過し、今では「リンナイ社全体の顧客コミュニケーションの中心」といえるまでに成長しています。シナジーマーケティングは、2008年から2024年現在までの約16年の間、リンナイスタイルの成長を支える「並走支援」を提供してまいりました。
今回は、サイトを着実に成長させるために、当社の「並走支援」をどのように活用して課題を解決してこられたのか、4つのフェーズに分けてご紹介します。BtoBtoCの老舗メーカーで、「社内の理解を広く得ながらDXを推進し、エンドユーザーと直接繋がる仕組みを構築する」という難易度の高い試みを成功させた秘訣もお伝えしていますので、ぜひご一読ください。
写真右より
亀島 直人 氏
リンナイ株式会社 営業本部 営業部 eビジネス推進グループ 課長
司馬 由佳 氏
リンナイ株式会社 営業本部 営業部 eビジネス推進グループ 主事
鈴木 英利佳
シナジーマーケティング株式会社 DX事業部 マーケティングコンサルタント
井上 拓巳
シナジーマーケティング株式会社 クラウド事業部 第2アカウントソリューショングループ
※部署名・役職は取材当時(2024年7月)のものです
【第1期】初期段階から、サイト成長に必要不可欠な「エンドユーザーに対して丁寧なコミュニケーションをする文化」を育めた
期間 | 2008年12月~2014年11月 |
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並走効果 |
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鈴木 私たちシナジーマーケティングとのお取り引きが始まったのは、2008年からでしたよね。
亀島氏 はい。「リンナイスタイル」の立ち上げ後にCRMの構築を検討することになり、コストを抑えて導入できるサービスを探していた際に「Synergy!(クラウドベースの国産CRMシステム)」に出会ったことがきっかけです。社内だけでECサイトとCRMの両方を構築するのはリソース・コストともに難しい状況だったので、「ASP型でCRMを導入できる」という点に惹かれました。
井上 Synergy!導入後に「iNSIGHTBOX(MAツール)*1」も採用いただいたことで、より距離が近くなったように感じています。当時、弊社からはiNSIGHTBOXの効果的な使い方を、リンナイ様からはツールの使用感を伺うために月一回の定例会を実施していたのですが、それが今日まで続くことになるとは。本当にありがたいです。
亀島氏 かれこれ16年くらいになりますよね。あの時は「会員にメールマガジンを送信するたびに、少なくない数の退会者が出てしまうこと」が課題でした。原因は、メールの内容に関わらず、毎回すべての会員に配信していたことでした。定例会で伺った方法でメールの内容に適した会員のみに最適化して配信する形にしたことで、無事解決しました。
退会者数が抑えられただけでなく、「このメールの内容が刺さる会員の属性とは?」を考える過程で、エンドユーザーに対する「顧客視点」を一層意識するきっかけにもなりました。会員数が少ない初期段階から、最適なコミュニケーションの取り方を試行錯誤する経験をしたことで、「顧客と丁寧に向き合う文化」を育むことができました。
井上 エンドユーザー向けのECサイトを成長させる上では欠かせない視点であり、文化ですよね。今思い返してみると、すでに2008年の段階で、サイト規模拡大を見据えた顧客基盤の構築に着手されはじめていたように感じています。
*1 「iNSIGHTBOX」は、現在サービス終了。メール受信者の価値観によって顧客セグメンテーションができる「Societas」は、引き続きサービス提供中。お問い合わせはこちらから。
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【第2期】「リンナイスタイル」に対する社内認識が変化したことで、リンナイ社初のエンドユーザー向けキャンペーンが実現!
期間 | 2014年12月~2017年11月 |
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会員増加率 |
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課題 |
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並走効果 |
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井上 2013年頃から定例会の議題が大きく変わりましたよね。それまではメールコミュニケーションの改善やツール活用方法などの議題が中心でしたが、より本質的なマーケティング課題へとシフトしていった印象です。
亀島氏 そうですね。その2つ以外のご相談は、リンナイスタイルに蓄積されたエンドユーザーのレビューを使った「商品改善のための分析」が最初だったように思います。現在は自社で分析していますが、最初はデータ分析に強みを持つシナジーマーケティングさんに依頼しました。
井上 レビューの対象商品は、高機能ガスコンロ「DELICIA(デリシア)」を購入したお客様を対象に抽選でプレゼントしたダッチオーブンでしたよね。営業部内で亀島様に相談があって実現した、エンドユーザー向けのキャンペーンだったと記憶しています。
亀島氏 おっしゃる通りです。「DELICIAを購入したお客様にTポイントを付与したい」といったご相談も井上さんにしていましたよね。Tポイントを付与するキャンペーンは、今でこそよくあるキャンペーンの1つですが、実施した当初は以前の弊社では考えられない画期的な挑戦でした。
参考:Rinnai ニュースリリース(2016年)|デリシア購入で絶対!もらえるT-POINT5,000ポイント
井上 あの時は、当社にTポイントを付与するキャンペーンを手掛けた経験がなかったので、内心頭を抱えていました。無事実施できてよかったです(笑)。
亀島氏 経験がなくても、前のめりかつ柔軟に対応いただけたのでとても助かりました。今まで受けたことがない相談・要望が、さまざまな部署から寄せられるようになってうれしい悲鳴でしたが、同時に、どのような対応がベストなのか頭を悩ませることも増えていたので……。
どんな相談でも受け止めて、一緒に解決策を考えてくれるシナジーマーケティングさんがいてくれたおかげで、この施策も無事実施することができました。単純に引き出しが多いだけでなく、豊富な実務経験を持つスタッフさんも多く、私たちが直面している課題・問題に対して、最適な担当者を紹介いただけたことも大きかったですね。
この頃、「シナジーマーケティングはただのツール屋ではなく、顧客ごとにカスタマイズした課題解決の提案を持ってきてくれる会社」という認識に変わったのを覚えています。当時も今も、リンナイの社風や実務を熟知した上で、都度適切なサポートをしていただけるので、非常に心強く思っています。
井上 うれしいお言葉をありがとうございます。このキャンペーンを機に、社内における「toC」への意識も変わっていったと伺っています。
亀島氏 はい。「toBと同じくらいエンドユーザーと繋がることも重要である」という意識が社内全体に浸透していくきっかけになりました。メーカーなので、これまではどうしても代理店様との取り引き、つまり「toB」の部分さえ大事にしていれば大丈夫、という認識が強くて……。大きな変化ですね。
同時に、うちの部署に対する社内での認識も「サイト経由で部品交換のサービスをやっている部署」から「エンドユーザーとコミュニケーションを取るプラットフォームを運営している部署」へと変化していったように感じています。
井上 キャンペーン実施前は、リンナイ様の他部署の方と会話していても販売数を伸ばすための話題がメインでしたが、実施後は「エンドユーザーはどう思うか?」といった顧客目線の話題が明確に増えたように思います。
弊社は、「どのようなご相談であっても、お客様にとってベストな形で実現するための手段を一緒に模索していく」というスタンスです。そのスタンスで並走させていただいた結果、「顧客中心」「顧客目線」の考え方をリンナイ様の文化として新たに浸透させることに貢献できていたなら、とても光栄です。
【第3期】新規サイト会員登録者数150%達成を支えた、密なコミュニケーションとリソース・スキルの適時提供
期間 | 2017年12月~2024年3月 |
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並走効果 |
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鈴木 2017年に、亀島様と司馬様が所属するeビジネス推進室の管轄が管理本部から営業本部に変更になったと伺いました。
亀島氏 「リンナイスタイルを顧客基盤の中心として位置付け、より一層活用する」といったスタンスが全社的に鮮明になったことがきっかけです。所属部門が変わったことで、「会員数の増加」が大きなミッションになりました。ミッションを達成するためには、より細かいサイト分析をする必要が出てきて、その部分をシナジーマーケティングさんにご依頼しました。
司馬氏 一般的なマーケティング支援会社に依頼すると、依頼前にある程度社内で業務・状況整理をしないといけません。一方で、シナジーマーケティングさんは整理前の検討段階から並走してくださるので、コミュニケーションやコストも圧縮でき、検討から実行までをスムーズに進められます。迷わずご依頼しました。
鈴木 サイト分析に関するご依頼で印象的だったのは、「購買者がどこのサイトから入ってきたのかわからない」問題です。商品を購入するための入り口が「リンナイスタイル」と「それ以外のサイト」で複数あるけれど、実際は裏側ですべて繋がっていて「カート自体は1つ」という仕様で……。各商材がカートインされた際に、その流入元をどのように切り分けて判別するかが焦点でした。
司馬氏 流入元の切り分けをするために、シナジーマーケティングさんには、イメージベースのアイデア出しから始めて、実際に実現可能か検証し、可能ならば評価基準をどのように設定するかまで相談させてもらいました。イメージの段階から実装に移るまでの一連のプロセスをワンストップで対応いただけたので、一気通貫に素早く進めることができたと考えています。
鈴木 同時に、GA計測環境の構築、トップページの改修、会員登録や購入の導線改善などのサイト分析・改善を行い、それを軸に細かなPDCAを回していきましたよね。
司馬氏 はい。一例ですが、ログイン画面の変更で新規サイト会員登録者数が150%に到達するなど、私たちだけでは実現できなかったミッション達成に効果的な施策を実行できました。「リンナイスタイルが、今まで以上に着実に成長していっている」という手応えがありました。
当時は、社内のリソースに制約があり、GoogleAnalyticsのアップデート対応などをはじめとする最新のデータ分析ノウハウを常に把握しておくことが難しい状況でした。弊社の足りないリソース・スキルを見定め、適時提供してくれる「並走支援」は、かゆいところに手が届く、非常に便利なサービスだと改めて感じましたね。
<サイト改善の施策一例>
【今後】リンナイという同じ船に乗った仲間として、シナジーマーケティングと共に「一歩踏み込んだ顧客コミュニケーション戦略」を打ち立てていく
期間 | 2024年4月~ |
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課題 |
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井上 2020年から2022年にかけて実施されたECシステムのリプレイスも含めたフルリニューアルを経て、リンナイスタイルは、今や「全社的な顧客基盤」にまで成長されました。大きく飛躍できた要因の1つとして、「小さなところからスタートして、段階的にプレゼンサス(存在感)や位置付けを上昇させる」というプロセスを踏んだ点があると考えています。
「最初から結果を出そうと大きなところからスタートしたことで周囲の期待値が大きく高まった結果、短期的な成功が求められてしまい、結局うまくいかない」ケースも散見される中、非常に堅実に歩まれてきた印象です。
亀島氏 リンナイスタイルを立ち上げた当初、私たちが営業部門の所属でなかった点が大きいと思います。「エンドユーザーの声を聞くこと」「エンドユーザーと繋がっていくこと」を重視するマインドが会社全体に浸透したことで、リンナイスタイルは「全社的な顧客基盤」として確立できたと考えています。数字を上げるための施策ももちろん重要ですが、振り返ってみれば、「エンドユーザーに対して丁寧なコミュニケーションをする文化の醸成」が、成功に至るための一番の鍵でしたね。常に私たちと目線を合わせ、真摯に向き合ってくださるシナジーマーケティングさんと協働したからこそ、成し得たことです。
司馬氏 一般的なマーケティング支援会社だと、大規模な計画を提案してくることが多いですよね。でもそうではなく、まずは小規模な計画から始めて、トライアンドエラーを繰り返しながらサービスの成長にあわせて計画規模を拡大していくアプローチ方法が、会社の規模を問わず最適だと思います。「短期間でのサイトの売上・会員数向上」といった大規模な取り組みからスタートしなかったからこそ、社内文化の醸成ができたのではないでしょうか。
井上 今後は、どのような展開をお考えですか。
司馬氏 顧客データをもとに「エンドユーザーに対して、どのような価値を提供できるか」「エンドユーザーは、リンナイになにを求めているのか」を分析した上で、エンドユーザーとキャッチボールをしつつ精度を高め、製品やサービスの向上に繋げていきたいですね。
亀島氏 エンドユーザーとコミュニケーションを図るための基盤がやっと整ってきた印象です。この顧客情報をどのように有効活用していくかが、今後の大きな課題ですね。
今、弊社は顧客情報を「製品やサービスの向上にどう繋げていくか」「顧客コミュニケーション戦略をどのように策定・実行していくか」を検討・実施する、大変重要なフェーズに入っています。 私たちはもちろんのこと、他部署からも「シナジーマーケティングさんは、まるでリンナイの社員のようだね!」との声が数多くあがっています。ぜひシナジーマーケティングさんには、同じ「リンナイ」という船に乗った仲間として、引き続き、並走支援をしていただけるとうれしいです。
鈴木・井上 リンナイ船の乗組員として、これからもご期待に添えるようにがんばります!本日は貴重なお話をありがとうございました。
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。