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統合する力・総合する力、そして発想する力【前編】 ~“データ活用”の7つのプロセス Vol.4~

これまで“データ活用”の7つのプロセスについて、

と続けてきた。

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今回のVol.4では、“6.統合・総合”と“7.施策企画立案・実行”について、書いていきたい。

さて、“集計・分析”と“要約”のプロセスを経ると、「数字」から紡ぎ出された多くの「言葉」が雑然と手元にあるという状態になっていると思う。そして、この「言葉」たちのそれぞれの意味を“統合・総合”して、価値を創出していくのが次のプロセスになる。

ところで、この“総合”については、

  • ž分析力だけでは武器にならない。分析結果を総合し、施策立案し、そして実行するという<データを“活用”すること>が求められている。(高まるCRMデータ活用ニーズ
  • ž“データ活用”には、分析(Analysis)の対義語である、総合(Synthesis)による“発想”が必要(実践!データ活用のススメ)
  • “データ活用”のプロセスを回すためには、「“分析”より“総合”、“ロジカル思考”より“クリエイティブ思考”が重要だ!」と、あえて言い切ってしまおうと思う。(分析力だけでは武器にならない
  • “分析”をどれだけ行ったとしてもその延長線上には、“戦略”はないということ、そして、“分析”の対義語である“総合”がキーワード(戦略とは

などとこれまで書いてきたが、今回の“統合・総合”とは何なのか。

誤解を恐れずあえて簡単に言うと、“統合・総合”することは、ストーリーを織りなすことであって、いわゆるロジカルに(ロジックツリーやフレームワークでMECEに)整理・分類することではない*1

“データ活用”の現場において、同様のデータや分析結果を得たとしても、新しいアイデア(ストーリー)を発想できることとそうでないことがあるが、この差は何が原因か、発想力とは何かというと、“統合・総合”する力の違いになる。
“データ活用”の実践において、この“統合・総合”で行き詰っていることは非常に多く、最難関のプロセスと言えるだろう。それは、このプロセスでは発散的・クリエイティブ思考がメインとなり、分析的・ロジカル思考を使って進めてきた“情報収集”・“分析”・“要約”までと必要なスキルが全く異なること、また、“統合・総合”のノウハウが広まっていないことが理由だと思う。

そこで、今回は“統合・総合”を行う際の3つのポイントを紹介したい。

 “統合・総合”を行う際の3つポイント

1. 整理しない、分類しない
2. 部分的にみない、全部としてもみない(全体としてみる)
3. 客観的に考えない、主観的にも考えない、分別よく考えない、我執にとらわれない

1.整理しない、分類しない

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ブレストが上手く行かない理由と同じ

収集・分析・要約したデータを“統合・総合”する際の陥りやすい間違いとして、整理・分類してしまうということがある。この問題は、“データ活用”だけではなく、ブレストをする際にも頻繁に見かける。

「ブレストとは、ブレインストーミングの略で…」などという説明は不要なほど普及し、実践されていると思うが、一流企業のリーダークラスの研修をいくつも見てきた経験からいっても、ブレストを正しくできていることは少ない。そして、経験則だが、秀才タイプほどブレストをできていないことが多いように思う。
ブレストの際、秀才タイプほど情報を瞬時に整理しようとする傾向がある。そういう人は“声が大きく”(必ずしも音声が大きいという意味ではない)全体への影響が大きいため、議論が収縮しブレストにならず、新たな発想が生まれず既知の答えに収束してしまうということになりがちだ。

ブレストには原則(ルール)がある[1]。それをしっかりと実践することが重要だが、それに反し、すぐにデータを整理・分類しようとする問題は非常に多い。

データを整理・分類するというのは、先に枠組み(フレームワーク)を設定し、そこにあてはめていくということになるが、そのように何か既定の軸で処理すると速く、意思決定など収束させる場合には効果的だ。しかし、それでは発想を広げこれまでにないアイデアを出し、新しいストーリー生み出すことはむずかしい。

“データ活用”でも全く同じで、収集・分析・要約したデータを整理・分類しても新しいストーリーは生まれず、分析結果を施策に落とし込めず“活用”に至らない。

塩野七生に学ぶ、“整理しない”ということ

塩野七生さん(『ローマ人の物語』などの著者)が、「膨大な史料をどう整理しているのか?」と質問されたことに対して、下記のように答えている。

「史料は整理しないんです。」

「史料なり情報なりはことごとく、私の頭の中に泳がせておく…(そうすると)一見無関係な事象、整理したとすれば別々の資料箱に入れられてそのままになったに違いない事象までが、遊泳中に勝手にくっついたりしながらもローマ人の歴史という一本の磁柱に向かって自然に吸い寄せられてくる……
一見ローマと無関係な事象でさえもローマ史と比較検討することもでき、それによって史書や研究所から得ただけでは平面的でしかなかった知識も、実感を伴うことで立体的に変わる……」[2]

まさにこれが“統合・総合”で、勝手にくっついたりしながら自然に吸い寄せられるという感覚や、平面的な知識が立体的に変わるという感覚であり、ロジカル*2にアタマで高速に思考して小奇麗に分類・整理するのでは決してない。「渾沌をして語らしめる」[3]という感覚が重要である。

中編に続く。

<補足>
*1. 全米ベストセラー『ハイコンセプト』(ダニエルピンク, 三笠書房, 2006.)でも、「議論」より「物語(ストーリー)」、「個別」よりも「全体の調和(シンフォニー)」が情報化社会に求められる感性(センス)として説明されている。
*2. ここでは演繹と帰納のことを指す。

<参考文献>
[1] ブレインストーミングの4原則, Wikipedia.
[2] 『日本人へ 国家と歴史篇』塩野七生, 文藝春秋, P.67, 2010.
[3] 『KJ法―渾沌をして語らしめる』川喜田二郎, 中央公論社, 1986.

“データ活用”の7つのプロセスシリーズ

※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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