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【連載:定着の壁 第2回】「環境が理由」で3割が離職を検討。成果以前に、働き続けにくい現場が一定数存在する理由

【連載:定着の壁 第2回】「環境が理由」で3割が離職を検討。成果以前に、働き続けにくい現場が一定数存在する理由

【連載:定着の壁 第2回】
「環境が理由」で3割が離職を検討。
成果以前に、働き続けにくい現場が一定数存在する理由

こんにちは。シナジーマーケティングの和田直之です。
前回は、現在のマーケティング実務の現場が、熟練者だけで支えられているわけではなく、経験1年未満が56.1%という構成の中で回っていることを見てきました。
だからこそ、AIやツールの成果を持続させるには、「使える人がいるか」ではなく、誰が担当しても継続運用できる設計になっているかが重要になる、という話でした。

では、そうした現場で、実際にどのような負荷が生じているのでしょうか。
今回の第2話では、成果以前の問題として、業務環境そのものが働き続けやすさにどう影響しているかを見ていきます。

全5回で扱うテーマ

全体を通して扱うテーマは、次の通りです。

業務環境が離職意向につながる構造

多くの企業では、離職の話になると、まず待遇や評価制度、キャリアパスに目が向きます。
もちろんそれらは重要です。
ただ、今回の調査結果を見ると、それだけでは捉えきれない現実があります。
それは、日々の業務環境が、一定数の実務者にとって「働き続けにくさ」の要因になっているということです。

今回の調査では、
「現在の業務環境(ツールの使いにくさ、業務負荷、相談相手がいないなど)が原因で、退職や転職を考えたことがあるか」
という問いに対し、
「具体的に検討している」が12.2%、「検討したことがある」が18.3%となりました。
合計すると、30.5%が業務環境を理由に離職を検討した経験があることになります。

現在の業務環境(ツールの使いにくさ、業務負荷、相談相手がいないなど)が原因で、退職や転職を考えたことがあるか」
という問いに対する回答

この数字は、かなり重いものです。
約3人に1人が、給与や待遇ではなく、日々の業務環境を理由に退職や転職を意識したことがある。
しかも注目すべきは、「いつかそう思うかもしれない」ではなく、すでに具体的に検討している層が1割を超えていることです。

ここで言う「業務環境」には、ツールの使いにくさ、業務負荷、相談相手の不在などが含まれています。
どれか1つだけなら、小さな不満に見えるかもしれません。
しかし、それらが日々積み重なることで、現場では「続けにくさ」として蓄積されていく。
この構造が見えてきます。

現場のストレスを生む「3つの要因」

では、何がそこまで現場の負荷を高めているのでしょうか。
調査では、業務上のストレスや「辞めたい」と感じる主な要因についても聞いています。
その結果、上位3項目は次の通りでした。

  • 経営層や上司からの過度な期待:18.5%
  • 企画などのコア業務に時間を割けない不満:18.3%
  • 社内に相談できる相手がいない孤独感:18.2%

業務上のストレスや「辞めたい」と感じる主な要因

この3つがほぼ横並びで並んでいるのは象徴的です。
現場のストレスは、単一要因で説明できるものではないということです。

期待される。
だが、考える時間がない。
しかも、相談できる相手もいない。
この状態では、どれだけ本人に意欲があっても、疲弊しやすくなります。

特に重要なのは、「企画などのコア業務に時間を割けない不満」が上位に入っていることです。
これは単なる忙しさの問題ではありません。
本来、自分が価値を出したい仕事に時間を使えず、運用や対応や細かな作業に追われている感覚が、現場の不満を高めていることを示しています。
言い換えれば、“成果を出せないこと”より、“成果を出すための仕事に集中できないこと”のほうが、現場にとって強いストレスになっているのです。

また、「社内に相談できる相手がいない孤独感」がほぼ同水準で並んでいる点も見逃せません。
マーケティングや広報の実務では、判断に迷う場面が少なくありません。
設定が正しいのか、運用方針はこれでよいのか、優先順位はどう考えるべきか。
そうしたときに、相談相手がいない状態は、負荷を何倍にも増幅させます。
同じ仕事量でも、「1人で抱えている」と感じるだけで疲弊しやすくなるのは、現場経験のある方ほど実感があるのではないでしょうか。

さらに、4位と5位には、

  • ツールが難解で使いこなせず、成果が出ない焦り:12.6%
  • 現場のスキルを無視したツール導入:12.0%

が入っています。
つまり、ツールそのものへの負担感も確かに存在しています。
ただし、それは単独の問題というより、期待・時間不足・孤立感と重なったときに、より大きな負荷として表れると見るべきです。

ここで大切なのは、ツールを導入すること自体が悪い、という話ではないということです。
問題は、その運用が現場にどう着地しているかです。
高機能なツールを入れても、使い方を覚える時間がない。
設定に迷っても相談できない。
成果への期待だけが先に高い。
こうした状態では、ツールは業務を助ける存在ではなく、むしろストレスの増幅要因になりかねません。

この構造を見ると、離職意向の問題を「個人の我慢の問題」にしてはいけないことがわかります。
現場が弱いわけでも、根性が足りないわけでもない。
そうではなく、期待に対して、時間と支援と運用余白が足りていないのです。
それが、定着しにくさとして表に出ています。

まとめ

第2話で押さえておきたい結論は、ここです。
離職を生むのは、成果が出ないことそのものではない。
期待に対して、考える時間も相談先もない環境が、継続意欲を削っている。

今のマーケティング現場で起きているのは、単なる忙しさではありません。
本来の仕事に集中できない。
困っても支援を得にくい。
その状態で成果だけを求められる。
この構造が、静かに定着率を下げていくのです。

では、その負荷をより具体的に生み出しているものは何なのでしょうか。
次回は、現場が日々どれだけノンコア業務に時間を奪われているのか、そして小さな業務停滞がどのように思考時間を削っているのかを見ていきます。
「忙しい」の正体が、どこにあるのかを、もう一段深く掘り下げます。

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