Salesforceフローの「フロー変数」とは?
Salesforceフローを作成するうえで、必ず必要になる「変数(へんすう)」について、Salesforceフローを初心者の方でもわかりやすく解説します。
1. フロー変数とは?
Salesforceフローで利用できる「変数」とは、「フローの中で利用する情報を、一時的に保管しておく場所」のことです。
例えば、引っ越しをする時のことを想像してみてください。
家にある荷物を一時的にダンボール箱に詰めて、新しい家に運びますが、この「箱」が変数のイメージになります。
引っ越しの際、箱の中身がごちゃごちゃにならないように、「本を入れる箱」「キッチン用具を入れる箱」のように、用途ごとに箱を分けたり、マジックで名前を書いたりすると思います。フロー変数もこれと同じです。
「この箱には取引先の名前を入れる」「あの箱には請求金額を入れる」というように、用途に応じて管理するための「箱」を作成・利用します。
2. リソースについて
Salesforceフローでは、データの保管場所や定義のことを総称して「リソース」と呼びます。用意できる箱(リソース)には、大きく分けて以下の4種類があります。
① 変数(自分で何を入れるか決められる箱)
最も基本となる箱です。フローが動いている途中に、中身を入れたり、変更したり、取り出したりできます。
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用途: 計算結果の一時保存、レコード情報の一時保管など
② 定数(中身が決まっている箱)
事前に決めた値が入っていて、フローの途中で中身を変更できない箱です。
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用途: 消費税率(0.1)、固定の会社コードなど、変わってはいけない値を保管する
③ 数式(自動で計算してくれる便利な箱)
変数や定数の内容を活用して、複雑な計算やデータの加工を行った結果を作ることができる箱です。
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用途: 「今日から3日後の日付」を計算する、「姓と名」を繋げるなど
④ テキストテンプレート(長い文面を保管しておく大きな箱)
長い文章や、HTMLメールの本文などを保管しておくための大きな箱です。
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用途: Chatterへの投稿文面、送信メールの本文作成など
3. 箱の「型(データ型)」について
引っ越しの際、ダンボールに「ワレモノ注意」や「衣類」と書いて区別するように、変数にも「中に入れていいデータの種類」のルールがあります。これを「データ型」と呼びます。
データ型には以下の種類があります。
| データ型 | 定義・説明 | 具体例 |
| テキスト |
文字、数字、記号を含む文字列です。 |
・氏名: ・ID: ・コメント: |
| 数値 |
足し算や引き算などの計算に使用できる数字です。 |
・年齢: ・個数: ・割引率: |
| 通貨 |
金額を表す数値です。 |
・売上金額: ・商品単価: |
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ブール値 |
「真 (True)」か「偽 (False)」の2択を表す型です。 |
・チェックボックス: ・フラグ: |
| 日付 |
カレンダー上の特定の日付です。時間は含みません。 |
・生年月日: ・契約開始日: |
| 日付/時間 | 日付に加えて、詳細な時刻(時・分・秒)を含んだ情報です。 |
・レコード作成日時: ・会議開始日時: |
| 時間 |
日付を含まない、時刻だけの情報です。 |
・始業時間: ・ランチタイム: |
| 選択リスト | あらかじめ決められたリストの中から、1つだけ選ばれた値を扱います。 |
・商談状況: ・優先度: |
| 複数選択リスト |
決められたリストの中から、複数の値を選んで扱います。 |
・興味のある製品: ・対応可能言語: |
| レコード |
Salesforceのレコード1件分の情報(ID、名前、各項目すべて)を |
・取引先レコードそのもの (会社名、電話、住所などがセットになった状態) |
4. 変数の作成方法
ここからは、実際にフローの画面で「変数」を作成する手順を解説します。

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フロー画面の左上にある [ ツールボックス ] アイコンをクリックし表示
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[ 新規リソース ] をクリック
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[ リソース種別 ] から「変数」を選択

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以下の項目を設定して、保存します。
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API参照名
箱につける名前です。システム上で使うため、英数字とアンダーバーで入力します。
(例:var_AccountNameなど) -
データ型
データの種類(テキスト、数値など)を選びます。 -
デフォルト値
最初から入れておきたい値を入力します。空欄でも構いません(その場合は「空(null)」です)。 -
入力で使用可能
フローが始まる時に、外からデータを受け取る場合にチェックします。
(例:レコードページから起動して、そのレコードIDを受け取る時など) -
出力で使用可能
フローが終わった時に、データの中身を次の処理に渡す場合にチェックします。
5. 変数の利用方法
作成した変数は、フローの中で以下のようにして利用します。
箱に値を入れる(割り当て)
「割り当て」要素を使うと、箱に値を入れることができます。
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例1:
variable_Aに100という数字を入れる。 -
例2:
variable_Bに、お客様のお名前を入れる。
箱の中身を使う
分岐や作成などの要素で、箱の中身を利用します。
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例1:
variable_Aが100なら、次の処理に進む(決定)

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例2:
variable_Bの内容を使って、ToDoレコードを作成する(レコードを作成)


